エスニック

信用失墜

 牛肉の産地すり替えに端を発した雪印の偽装問題ですが、どうやら狂牛病騒ぎのかなり以前から長期かつ組織的に偽装を続けてきた疑いがあるようです。日を追う毎に次々明るみに出る実態は我々の日頃の信頼というものがいかに根拠の薄い上に成り立っているかということを思い知らせくれました。

 今まで我々一般の消費者は食品か否かを問わず、商品についているラベルというものは普通疑うことはなかったと思います。
 しかし、今回の事件のようにラベルが簡単に偽装できてしまう土壌の上に成り立っているとしたらどうでしょう。雪印が長年にわたって偽装してきたということは、別の見方をすれば第3者のチェックを受けることがなかったからだとも言えます。
 そうなると、途端にすべてが疑わしくなってきます。産地や原材料、製造年月日はもちろん、「添加物は使用しておりません」「遺伝子組換え大豆は使用していません」「燃やしてもダイオキシンが出ない材料で作りました」などなどのコピーは本当に信用出来るのでしょうか。

 スーパーでは毎日多くの売れ残りがあるはずなのに、並んでいる野菜や肉・魚は絶えず当日入荷したものばかりのはずはないのでは?ダイオキシン問題で騒がれた産地のものでもこっそり別の産地を語って売られたら、あなた見分けはつきますか?見ただけでは産地すらわからない牛肉を「天然飼料で育てた」牛かどうかなんて判りますか?
 「安心の**マーク」なんて当てになるのですか?運転免許証のように免許を取ってもその後違反をしない保証なんてなにもないのではありませんか?

 ラッピングされた肉や魚は店の貼るシール一つで簡単に製造年月日は変わります。味付け肉が安いのは売れ残りの肉を使っているから、というのは常識ですし、生鮮野菜がいつもシャキッとしているのは薬を使っているから、というのももはや常識です。

 小売がこんな状況にあるのですから、せめて荷物が集約されていてチェックのしやすい「製造」「卸」の段階では今回のような事件が起きてはならなかった筈です。しかも偽装が何年も前からされていたということは雪印のみならず見過ごしていた行政側の責任も重大です。
 製品・品質表示は流通過程の見えない消費者が手にすることの出来る貴重な情報です。これを偽る行為は絶対に許されるものではありません。

 信頼は一瞬にして崩れてしまうものですが、築くのには実に長い時間がかかります。
 最近の食品に関わる問題は、食の安全を確保するには我々消費者側にも無頓着でいてはいけないということを警告しているのではないでしょうか。  (2月3日記)

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