エスニック

自分のリストラ

  第二次公的資金注入の申請が終了し、大手15行合計で7兆4千億円を超える額となった。金融不安解消の為とはいえ湯水の如く資金をばら撒く政府の金融政策には呆れるばかりである。積もりに積もった累積公的債務は600兆円を超え、対GDP比率では先進国で堂々のトップとなった。浮上の兆しの無い景気の中、誰も金を使わないならと政府は更に借金を重ねて商品券を配り、金融機関を助ける為に株を買い支えているのである。
 金融不安が囁かれる中、国営銀行たる郵便貯金の残高は250兆円を突破した。1200兆円といわれる個人金融資産全体の20%、630兆円あまりの現金預貯金では実に40%にあたる額である。絶対に潰れないからと逃げ込んだ先の郵貯資金の行き先が、不安におののく金融機関の救済に使われているという矛盾を一体どれだけの利用者が意識しているのだろうか。一時期に比べ是正されたとはいえ、郵貯金利と資金運用部への預け入れ金利の利ざやは最終的に税金から支払われる事が理解されているのだろうか。つまり、郵貯利用者の利子を税金で支払うという構図になるのだ。

 内需拡大を錦の御旗に、拡大経済路線こそが日本経済活性化の道であるかのごとく政策が打ち出されるが、人口構造からして働き手が減っていくにも拘わらず経済規模全体としては拡大を続けなければ、現在の財政赤字は払えないことになる。働き手1人あたりの負担額は飛躍的に大きくなるわけだ。
 将来、消費税や医療負担、年金負担は間違いなく大きくなるだろう。構造的な財政改革ももはや手後れになりつつあるとも思っている。しかし、現在の金融政策を一片も賛成・納得していない以上、今この時点から財政赤字拡大に対する手助けはしたくはない。

 私は最近、自分の銀行口座、生命保険、損害保険の見直しを図った。銀行口座は給与の振り込みと料金支払いように1口座、外貨貯金用に1口座と2つだけ。生命保険はリニューアルされたといっては積み立てを下取りに乗り換えを勧められる従来のパッケージ型から、「配当」「年金」部分を削除し「医療保険」が大部分の「オーダーメード」型に乗り換えた。
 損害保険に関しても殆どが「掛け捨て型」でその時々のニーズに合ったものだけを選ぶようにしている。勿論、それぞれ従来の保険料より安く抑えている。昨年末に投資信託の窓口が解禁になったように、資産運用や各保険は将来必ず進化する。それまで積み上げてきたものを御和算にしなくて済む様、個人年金としての積み立て運用部分は別で考えるつもりだ。

 私の周りで動く金など資産と呼ぶには程遠い額ではあるが、少なくとも自分の意志でいつでも動くものであるべきだと思っている。


99年3月10日 ThinShin


次へ

もどる

エスニック