エスニック

いろんな角度

  「マインスイーパ」ってゲームありますよね。ウィンドウズのオマケで付いてるゲームのひとつの。
御存じない方の為に簡単な説明をしておきますと、碁盤の桝目状にフタが伏せてあり、そのうちいくつかに爆弾が隠されています。外枠に接してなければ通常はひとつのマスのまわりには8つのマスが存在しており、爆弾に隣接しているマスを開けると接している爆弾の個数が現われます。例えばあるマスを開けて「3」とあったら、周囲8つのマスのうち3つに爆弾が隠れている事を示しています。この数字を参考に爆弾を避けていき、その他全てを開けたらクリアとなるわけです。決して高度なテクニックが必要なわけでもなく、ある程度パターンを憶えたらあとは如何にマウスを早く動かすかがタイム短縮のカギになります。

至って単純なゲームなんですが、意外とムキになってハマリ易いんですね。私も随分とお付き合いいたしました。最近あまり自分でする事が無くなったんですが、会社では女の子が、家では妻がすっかりハマッていて未だによくお目にかかります。

負けず嫌いの妻は鼻を鳴らして毎晩このゲームと格闘していますが、攻略していて壁にあたると、時間をかけてでもそこで真っ向勝負を挑みます。ところがタイムトライアルなのですから別の方面から、または反対側から攻略するとスムースにクリア出来たりします。「行き詰ったら別のほうから」というアドバイスは彼女をタイムを飛躍的に向上させました。

こんなことを引き合いに出したことがバレたら妻に怒られそうですが、一方向からではなく別の視点からも物事を見るという事は、あらゆる事に共通する「コツ」ではないでしょうか。子どもの頃、よく親から言われた「相手の立場になって考えなさい」というアドバイスなどは、シンプルながら究極のアドバイスではないでしょうか。

とかく相場を相手にする場合、偏った相場観ほど危険なものはありません。波に逆らっている自分に気付いても、それを訂正できないことは命取に繋がります。相場観とは異なりますが、私がマネージャーの仕事に就いた当初、いつも頭の中を占めていたのは「如何にパフォーマンスを上げるか」ということでした。何か秘密の法則らしきものを発見するつもりにでもなっていたのでしょうが、あっという間に限界が来ました。自分の中に立ちはだかる壁に嫌気が差して、初心に戻ろうとファンドの概念や他の金融商品、投資環境などから見直しました。そして運用を委託する側から顧問業を考えた時、やらなくてはならない事が山のように見えてきました。

以前と同じような仕事をしているように見えますが、私の頭の中を占めているのは「如何にパフォーマンスを下げないか」ということです。背中に「カチッカチッ」とクリック音を浴びながら…。


99年3月11日 ThinShin


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