エスニック

根負け

 ゆうたにはこれ無しでは生きて行けないものが2つある。ひとつは私の耳たぶ。そしてもう一つが掃除機である。

 ゆうたの掃除機に対するただならぬ執着ぶりは今も続いており、手ごろな大きさの棒を見つけては掃除機をかけるマネをするのはもちろん、私が掃除機をかけるとストーカーよろしく後をついて離れない。
 特に掃除機を押入にしまう時などは今生の別れのような泣きようで、悪いことをしたわけでもないのに毎度毎度申し訳なく感じるほどである。

 罪悪感からと言うわけではないが、さすがに根負けしておもちゃの掃除機を買ってやることにした。
 が、いざ探して見ると、女の子向きなのか見つけた3種類ともピンクしかなかったので、仕方なく1番安いやつを買ってやった。
 ウチに帰って包みを開けてやると、あ然とした表情で見つめるだけだったので、「もしやハズしたか?」と心配したが一度手に取ると健気にもたいそう気に入ってくれて、そのまま抱いて寝るかの勢いである。

 これで万事解決かとも思えたが、週末に掃除機を出すとおもちゃは放り出していそいそと後を付け回してきた。

 やはり本物の魅力には敵わないらしい。

↓三度のメシよりこれが好き!

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