ここ数日、ゆうたは殊更ワガママでほとほと手を焼いていた。 ウチに帰るなり玄関から靴が脱げないと泣き喚き、食事を始めれば牛乳をよこせとコップを投げ、ゴハンに手をつけないまま果物だけ齧っては投げる。それを咎めると今度は泣き疲れて寝るまでグズリ通しである。 朝になっても寝起きからグズリ、着替えはさせない、パンは投げる、靴は投げる…。とにかくひきつけを起こすんじゃないかと思うほどヒステリックに泣き叫ぶのである。 その前の週に体調がイマイチだったので、まだ具合が悪いのかなとも思ったが、園に着くとピタリと泣き止むのである。聞けば確かに園では至って元気で機嫌もいいらしい。 ということは親の愛情不足か、とちゅまと2人で心配していたのだが、先日絵本の「いやだ、いやだ」を見せながら「ほら、ルルちゃんはいつもイヤだイヤだって言ってたら、みーんなにもイヤだって言われちゃったよね。ゆうたもイヤだイヤだばっかり言ってるとそうなっちゃうよ」と語りかけると、まるで憑き物が落ちたかのごとくピタリとグズリが止まったのである。 あまりの効果にこちらもあ然としたが、ろくにしゃべれない段階でもここまで相手の言っている事が理解できるとは思いもよらなかったので、それだけで素直に感心してしまった。 ただ怒鳴って叱るばかりでなく、ひとつひとつ語りかけてやればちゃんと伝わる、そう思えばこちらもヒステリックにならずに済むというものである。 と言っても怒らないからって調子に乗るなよ。ゆうた。 |
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