エスニック

呪文虚しく

 毎晩、寝る前に3冊(←お決まり)の絵本を読み聞かせるのだが、ここのところずっとゆうたより私のほうが先に寝入ってしまっている(らしい)。別にヘトヘトに疲れているわけではないのだが、どうも2冊目に入ると急に睡魔に襲われ、だんだんロレツが怪しくなり、知らぬ間に本を開いたまま、ついでに口も開いたまま沈没しているのである。

 不思議なことに睡魔に意識を占領されつつも、沈没する直前、自分のロレツが怪しくなりうわ言のように訳の分からない話をしていることも憶えていたりする。
 先日も「アラジンと魔法のランプ」を読んでいるといつものように眠たくなり、ランプから魔人(←デビルマンみたいな緑色の肌)出てくるあたりで「・・緑色の胸板が・・むにゃむにゃ・・」などと呟いていた。
 他にも「さるカニ合戦」で、さるがハチに刺されるところで「ジェームスの鼻にハチが・・」と機関車トーマスの話になっていたこともある。

 モトより寝ぼけているのですぐに忘れてしまうのだが、ふと気づくとゆうたがジッと私の顔を見つめ
「パパ元気になれーっ!」と呪文をかけたりしてくれる。それでも支離滅裂な話が止まらない時は「寝ちゃダメーッ!」と「八甲田山」ばりのゲキを飛ばしてくれる。
 にもかかわらず、ほとんど私の方が先に落ちてしまう。3歳児に寝かしつけらてるようでなんとも情けない。

 ところが続きはもう少しあって、寝入ってしまっても30分くらいでまた目が覚めるのである。隣を見るとさすがに力尽きたゆうたが絵本の途中を広げたまま寝てしまっている。可哀想に、頼りにならないオヤジは呪文の甲斐なく、自分に絵本を読み聞かせてるのかのようにさっさと寝てしまい、ゆうた一人絵本の続きを読んでいたようで照明も点けたままである。
 なんだか私としては、無理心中で死に切れなかった男のような後ろめたい気分である。

 子どもを寝かせた後でないと新聞を読んだりPCに向うこともままならないので、夜中は結構貴重な時間なのだが、頭は半分眠りにかかっているのでなんとなくボーッとしており頭を使う作業はあまり出来ない。そのくせ、じゃいっそ寝てしまおうかと思っても中途半端に眠ったばかりに眠気はちっとも襲ってこない。こうしてウダウダと夜更かしを続けてしまうのである。(今日も夜更かし)


「生まれましたハガキ」の採用写真




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