夏に飼っていたカブト虫が死んだ頃から、「死」というものの実感がゆうたに出てきたようである。
それまでもテレビの子供番組でも簡単に人や怪獣が死んだりするのを観てはいたが、前日まで元気に動き回っていたカブトが翌朝には固まったまま動かなくなり、骸(むくろ)となってそこに残るということが死という現実をグッと近づけたのだろう。「パパも死んじゃうの?」
「そうだなぁ。いつかはね。」
「ダメだよ、死んじゃ」
「パパも死にたくないけど、最後はみんな死んじゃうんだよ」
「じゃ、オラ(←最近自分をこう呼ぶ)が大人になるまで死んじゃダメだよ」
「わかった、約束するよ。その予定もないし。」
「オラ、パパが死んでもお墓に入れないんだ。」
「おいおい、どうする気だい?」
「パパがいないの寂しいもん。ずっとベッドに置いといてあげるよ」なんだか書いてみるとグロいが、幼いわが子に真剣な眼差しで言われると嬉しいもんである。
まあ、カブト虫もしばらく埋めずにそのまま虫かごに入れておけ、とゴネていたので扱いが同じと言えなくもないが。
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