エスニック

高度4000m

 今日(2000/11/18)、ついにスカイダイビングをやってきた。
3年越しの悲願達成である。
思えば長い道のりだった。
2年前、ネットでスカイダイビングのサイトを見つけて、「やりたい!」と決意したものの、当時は結婚の準備でバタバタしており結局時間が取れず断念。
 去年は時間はあったのだが、ゆうたが産まれて2ヶ月の時に友人と1週間ほどハワイへゴルフに行ってしまったので、重ねてスカイダイビングまでとなると「鬼」のレッテルを貼られそうだったのでやむを得ず断念。
 そして今年は9月に1度行ったものの台風の影響で豪雨にブチ当たり中止。雨男の本領を発揮してしまった。
 何度目の正直と言うのか判らないが、今日は朝からピーカンで、これで文句はあるまいと思っていたが、逆に快晴過ぎても風の強いことが多く、そうするとパラシュートを開いてから大きく流されてしまい、目的のドロップゾーンに降りられなくなるので、一概にいいとは限らないらしい。

 場所は栃木県藤岡町。渡良瀬川河岸にある湿地帯がドロップゾーンになっている。
 集まった体験ダイバーは10人ほどだが、その身内の見物客達を合わせると20人以上になったろうか。ほとんどが同じ会社の仲間が中心となっているとかで、赤ん坊を含むフランス人家族が8人ほど居た。何も日本でやらなくてもフランスのほうが安いだろうに、とも思ったが。
 ちゅまとゆうたも見に来てくれていて、しばらくはフレンチベイビーと遊んでいたが、河原で待っているのも寒いからと駐車場で待つとことにした。

 スキューバダイビングなどもそうだが、天候に左右されやすいスポーツの場合、気持ちに余裕を持っていないとやきもきさせられることが多い。私もそうだったように、やっと都合をつけて参加したのにとか、遠距離からきたのだから、というのでなんとかして強行して欲しいという気持ちになりがちだが、万一トラブルが起きれば軽くは済まないので決して無理をしないのが鉄則。
 また、スタッフ達も気さくで楽しい人たちが多いが、ともすればこちらが客であるということを忘れがちになる。自分達は慣れっこなので待機中に車の中で寝ていたり、コーヒーを飲んだりしているが、慣れない客は暇つぶしの用意など考えてないのでただボーッとするしかなかったりする。客がつまらぬ思いをしているということまでは気持ちが及ばないのである。
 結局2時間ほど吹きすさぶ風の中で待機させられたが、なんとかヘリも飛べるようになった。

 集合場所のドロップゾーンから車に乗って数キロ先のヘリポートへ向かう。
 ダイビングももちろんだが、ヘリコプターにも一度乗ってみたかったので、これも楽しみの一つであった。
 いつもは10人以上乗れる中型を使用しているようだが、今日はやっと6人が乗れる小型機だった。プロペラ音は派手だが、飛行機の様に加速をする必要が無いので離陸は非常にスムースである。殆ど垂直に上昇して行くので景色は動かずにどんどん小さくなって行く。
高度2000mからは上はもう感覚的には変わらない。2000mも4000mも同じである。
4000mまで上がるのに恐らく10分とはかからなかったと思う。
風が強かったので流される距離を想定し、ポジションを決める。
その間に私はインストラクターのお腹に括り付けられる。
パイロットからOKサインが出る。
私は撮影(ビデオ&写真)も申し込んでいたのでカメラマンも一緒である。
ハッチを開けるとさすがに冷たい風が吹き込んでくる。
パイプデッキに足をかけて下を見降ろすが高すぎて怖いという実感も沸かない。
 
さあ、行くぞ。

「GO!」の掛け声と共に飛び出す。
あっという間に風を切る音で何も聞こえなくなる。
落下速度は時速200kmに。
体勢が安定するとカメラマンが目の前に来たが、どんなに叫んでも声は届かない。
手振りでパフォーマンスを試みるが風圧で手の動きが幼稚になる。
よだれが口の端から飛んでないか気になったが確かめようもない。
小さく縮こまっていた景色が拡大していく。
(あぁ、あれがさっきの駐車場か)と思った瞬間、グイッと持ち上げられるような感じがしてパラシュートが開いた。

 昔の丸型と違いパラグライダーのようなかまぼこ型だが、パラグライダーより落下速度がかなり速い。

「パラグライダーより速いですね」

「似てるけど、やはりパラシュートだからね。パラグライダーはやったことあるんだ?」

「ええ、体験コースでですが。」

「そう、じゃ理屈がわかってるなら、操縦してみる?」

ということで、リード(操縦するロープ)を貸してもらった。
幾らか遊んだ後、「じゃ、思いきり右を引いてみよう」と声がかかる。
思いきり引くとキリモミしながら落下していく。

「ウヒョーッ!」

外側に放り出されそうな勢いである。

「目が回ったんで、返します。」

ドロップゾーンの広場が足元に広がっていた。
滑り込むような格好で着地。
インストラクターと握手をしていると、カメラマンも後から降りてきて最後の記念撮影。

「あー爽快」と一言。

いい思い出になりました。

 ちなみにヘリを飛び出してからパラシュートが開くまでが40〜50秒。
 パラシュートが開いてから着地までが約7分。
 ヘリに乗っている時間を含めても20分足らずで、料金は3万円(プラス撮影料)なり。
 決して安いとは言えないかな。

 せっかく掴んだ話のネタ、少しでも元取ろうと思って、セコセコと書いてみた。



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