第1章 伴走の依頼

1.伴走のきっかけ

私がボランティアとして伴走を始めたのには、ちょっとわけがある。
ある出来事がもとで、一時的ながら目に障害を負うという経験をしたことがあるのだ。

中学3年の冬、高校入試目前、
放課後の学校で、サッカーをしていて、友達の蹴ったボールが私の右顔面を直撃してしまった。
それが原因で、右目は眼底出血を起こし、全く見えなくなった。
翌日から病院に通い、少しずつ快復して行き、どうにか正常な視力に回復することが出来た。

そして、今から6年前。 
走り始めて3ヶ月後、ちょうど年末のことである。
早朝ランを始めると、目ががちかちかしはじめたのである。(火花のような)
快復せず、どんどん悪化して行った。
気づいた時には、被写体が何重にも見える、まるでトンボの目のような状態になってしまった。

病院に行って診断された結果は、網膜静脈血栓。
視力も0.1以下に下がってしまった。(現在は1.5)
それから1ヶ月以上に及ぶ検査後(毎週ごとの、糖尿病の疑い、脳腫瘍の疑いなどを一つずつチェックするような検査が続いた)、突発性であることが判明。

二月中旬に2度ほど(片目づつ)レーザーによる手術をうけ、視力を取り戻すことが出来た。
手術による後遺症で、視野は若干狭くなったが。

こんなふうに目の障害を体験した私は、少しでも目の不自由な人の役に立ちたいと思って
いた。「伴走」というボランティアの仕事に出会ったのは、そんな時だった。


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