9.郡上八幡へ、そしてついに向地さんが切れ喧嘩する

美濃市役所を過ぎ、郡上八幡を目指す。
市役所を出てすぐ、浅井さんの奥さんがエードを行っていた。
一昨年、去年は柴本さんがエードをやっていた、その柴本さんは今年選手で参加しているため期待していなかったが有ったので嬉しかった。
立ち寄り二人でトイレを済ます。

ビールを飲み、出発する。

浅井さんの奥さんは、旦那の大会に何時もついてきて献身的にサポートしている人。
何度もサポートをしてもらった事が有り、優しい奥さんである。
旦那さんは今年トランスアメリカに出場するので、無事に完走出来るように応援したいと思っている。


美並の道の駅を過ぎ、80kmあたりでモミさん達のエードに立ち寄る。
小休止ををして出発。

モミさん達のエードを過ぎ、5キロぐらい過ぎたところ

私から向地さんに
"皆から向地さんの事を我侭だとか色々と話を聞いていたが、聞いた話とは違う様な気がする"と言い出した。
この事が原因か、向地さんが切れてしまい、
"城定さんには優しさが無い""プライドがありすぎるのではないか??""人を見下していないか"とか色々と言って来た。
スタート前から喧嘩を覚悟していたし、喧嘩を吹っかけるようなことも言っていたので、やっと訪れたと思った。
向地さんのようなランナーとは、喧嘩する事で御互い信頼できるようになると思っていたからである。
これは絶好のチャンスと思い、向地さんの主張を聞くようにする。

この喧嘩で初めて、向地さんから琵琶湖1周マラニックでぎっくり腰なったことを聞かされる。
遠慮して私に隠していたのだった。
琵琶湖1周マラニックの時、160キロでぎっくり腰になったがさくら道を完走したいが為、杖を付きながら残り40キロを歩いたとの事である。
健常者ならとっくにリタイアしているのを完走してしまった向地さん、
視覚障害者の精神的な強さを知らない健常者なら確かに我侭に思えるのだろう。

伴走をやると視覚障害者の精神的な強さを教えてもらえる。
ここでも向地さんの精神的な強さを教えてもらう。

この話を聞き、ゴールは確実であることが見えてきた。
また向地さんが私に遠慮していて、しっくりこなかった原因もわかった。

向地さんが切れ、腹の虫が治まらない、ここで最終手段を出す。
"ここで止める?やめたら私は一人でゴールを目指すよ。私は向地さんを時間内完走させたいから引き受けたので止めるのだったら意味無いから"と言い放った。
向地さんも完走が目標であり、二人の気持ちがどうにかここで一つになり始めてきた。
二人でゴールを目指す事にする。

郡上八幡に20時02分到着。


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