0282   2004.6.30
▼サルビア

小学4、5年生の頃の話。小学校で、サルビアを各児童ひと鉢ずつ育てるということがあった。別にサルビア日記などを書かされた記憶はないから、多分「情操教育」の一環だったんだろう。

小学生には夏休みというものがあるので、その間学校においておくと枯れてしまう。それで、各鉢は(拉致被害者の子供たちのように……いやこんな補足はいらなかったか)はじめて児童それぞれのうちに帰ることになった。

私はそのころから植物(というか生物全般)が好きだったので、液肥(スプレーで葉に噴霧するやつだったと思う)をやったり、手をかけて育てた。

夏休みが終わって各家庭に戻っていたサルビアがまた小学校に集まる。すると私のサルビアが群を抜いて大きく、葉が青々として艶があった。あたりまえだった、あんなに世話をしたんだから。しかし私はここで予想もしない言葉を級友から聞いたのだった。

ずるい。

これは衝撃的な言葉だった。物事を忘れやすい私がいまだに覚えているんだから、本当にショックだったんだろう。そうだった、学校というのはそういう場所だった。すべてに優劣がついてしまう。生き物に対する気持ちにさえ。

今ならそんな言葉は、ちゃんと受け流せるけれど、その当時はまったく消化できなくてモンモンとした。

いまだにサルビアの赤い花を見るとあの当時を思い出す。あの時は言えなかった、生き物を大切に育てて何が悪いんだ、というセリフを、もう顔も忘れてしまった級友に心の中で言い返してみる。