環境と持続可能な社会

 環境問題はこれまで、けっこう誤解されていたように思えます。それは「環境か経済か?」という二律背反のもののように論じられていたからです。しかし、経済が元気でなければ地球をきれいにするという大変な仕事はできません。「環境も経済も」が正しい考え方でしょう。環境に配慮しつつ発展する社会のことを「持続可能な社会」、と呼ぶようになったのはまだ最近のことです。

 社会を持続可能な状態に保つことは、生きている人間の責務と言ってもいいでしょう。「持続可能な社会」とは、将来の世代の権利を侵すことのない社会であり、環境を破壊し、将来の世代の生物圏をどんどん奪っている現代とはかなり異なるものなのです。

 持続可能な社会に移行するための方法論はいくつかあります。私が最初に「これだ!」と思ったのがナチュラル・ステップです。持続可能な状態とはどのようなものか科学者の徹底した議論により定義をし、その状態の中で自分たちが生き残るにはどのように自分達が変革しなくてはならないか? を考えそれぞれ実践していく手法なのです。行政にも、企業にも、市民団体にも変革を求めるのです。変革できたものが生き残り、変革できないものは滅びることにより、持続可能な社会が実現します。ここの日本法人で2003年9月まで理事をしており、日本の森林についての政策提言等に取り組みました。その成果「森林コンセンサスドキュメント」が発表されています。

 2006年6月まで最も力をいれていたものが神奈川のローカルアジェンダです。10年ぶりに改訂された「新アジェンダ21かながわ」の策定では検討委員会小委員会の副委員長を務めました。改訂後、アジェンダを推進するために「かながわアジェンダ推進センター」を設立、代表理事を務めました。え? アジェンダ21をごぞんじない? 21世紀も人類が持続可能であるために国連で各国が協議して定めた計画です。それの地域版をローカルアジェンダといい、神奈川では「アジェンダ21かながわ」として1993年に策定され、2003年に改訂されたのです。アジェンダについて詳細は、「街づくり講座」をごらんください。 なお、2004年2月、このセンターは「地球温暖化対策の推進に対する法律」が定める神奈川県地球温暖化防止活動推進センターの指定を受けたので、そのセンター長でもありました。

 2008年に、持続可能な社会に移行するためにはまず持続可能な様式で人々が暮らしている地域を作ることだと思い至りました。人は「見たものしか信じない」からです。そのためにHOSP!(持続可能なコミュニティを本気で作る大人たちの会)を設立し、いくつかの地域で活動しました。東日本大震災で被災した大船渡にはかなり注力し、仲間と大船渡再生グランドデザインを作成しましたが残念ながら活動は中断しています。

 どのような考えで活動しているかを理解いただくために、インターネット番組すごいぞ!おとな! ―持続可能なまちづくりと地域プロデューサーの役割― を制作しました。また、常任理事を務めている日本未来学会でも”持続可能な暮らしとコミュニティの未来”というテーマでシンポジウムを開催しました。この「持続可能な地域づくり」の活動は現在コミュニティネットワーク協会の研究室長として那須などで取り組んでいます。

     

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