政策への市民参加と地域情報化

  社会が持続可能になることと同様、社会にとって重要なことは「自分たちのことは自分たちで決めることができる」ということでしょう。複雑化し、グローバル化した現代社会ではしばしばこの当然の権利が侵害されます。
 人々の代表であるはずの議会ですら、社会で何が起こっているか把握できてないように見えます。特に、科学技術の分野では、しろうとが意見をさしはさみにくい状況が目立っています。

 これは、民主主義の社会が健全でない状態にあることを示しています。このような状況に対処するため、民主主義の進んだ欧米では市民が直接参加する手法を開発し、成果を挙げています。特に、デンマークで生まれた「コンセンサス会議」や「シナリオワークショップ」が卓越した手法であると考えます。
 
 このような考えを持つ有志が集まり、「科学技術への市民参加を考える会」が発足しました。社会各層に市民参加の手法を提案し、日本で市民参加を成熟させていくことを目指してコンセンサス会議の実践マニュアルの作成などを行いましたが活動は大きくは広がりませんでした。現在では、市民参加の活動は、地元横浜での横浜交通まちづくり協議会の活動がメインになっています。この協議会では、横浜市との協働で人と環境にやさしい交通システムを横浜で実現することを目指しており、私は副代表を務めています。

 これらの活動の前には、インターネットを使って市民が合意形成を行い、行政へ提言を行うための電子会議室システムの開発などを手がけておりました。その成果は藤沢市の市民電子会議室などに結実しました。

 地域での活動も大切なので細々とやっています。これからの時代、地域はとても大事です。失業、環境破壊、人権侵害などなど、様々な問題が顕在化するのが地域であり、その多くの問題は地域で自分たちで解決するしかないからです。また、企業とNPOの利害が対立するのはもちろんよくあることですが、地域に実際に問題が起こったら、環境NPOと人権NPOの意見がするどく対立することも珍しくありません。そこに、知恵が必要です。
 
 横浜に住んでもう長いです。横浜・神奈川は市民活動が盛んです。しかし、その連携はいまひとつのように思えます。ネットワークを使って、人々をつなぎ、おのおのの活動を連携させるような活動が、阪神・淡路大震災を契機に始まり、その流れに私も加わりました。その流れは、「神奈川情報ボランティアネットワーク」というゆるやかなつながりのグループになりました。現在はほとんど活動していませんが鏑木の地元での活動の原点です。

 2009年、横浜開港150周年を記念して、地域の活動を発信し、またその活動の連携を進めるため、仲間といっしょに横浜市民放送局を開設しました。まちづくりの拠点として育てていきたいと思っています。また、地域のための電子出版にも取り組み、みんなでつくる市民活動ガイドの電子出版にあたり、編集長を務めました。この本は電子出版という特徴を活かし、横浜の市民活動とともに本も成長して版を重ねるようにしたいと思っています。
     

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