サントリー美術館で開催中の、「information or inspiration? 左脳と右脳で楽しむ日本の美」を観覧しました。同一作品に対し、五感で感じる展示とテキスト中心にしっかり解説する展示の両方を提供。観客は展示室を2回めぐります。
個人的には途中にある傘のインスタレーションが良かったですけど(^^;ゞ。
一番気になったのは、文字情報多い方の展示。あえて多めにしているんでしょうが、お客さんがこのテキストをものすごく熱心に読んでいて、ほとんど(人によっては全然)作品を見ていないということ。作品の方が展覧会の中心だと思ってましたが。なんだか怖い光景でした。
作品を理解したいから解説を増やして欲しいという要望とか、作品の理解を深めるため解説を増やす努力とか、いったい何だったのか。
ここでずっと前のヤな記憶が蘇った。
ある博物館の事務方の偉い人が、「客はまず解説を読む。解説を大きく、作品の手前におくべきだ」。……それじゃ作品見えないのに。
上野動物園・国立科学博物館・東京国立博物館による、三館園連携企画「上野の山で動物めぐり」。今年は「ツノのある動物」。動物園、科博は様々な動物に対応できるものの、作品保存のため展示替えが避けられない東博が、動物選びに常に苦しみ、動物園、科博もそれを尊重してきました。ツノに着目とは、うまいアイディアですね。
明治時代にグラスゴーからきたシカの絵や、「マジカル・アジア」でも登場した、目と鼻の穴がお金になっている、欲望バレバレの中国のヒツジ。「吉祥」も字の中に「羊」が入っていて、基本、めでたい。ディスプレイも凝ってます。
インドネシアのワヤン・クリは、スイギュウの革を材料に使っているということで、素材としてのツノの使用例として展示。キャラは宇宙最高の神ブトロ・グル(シヴァ神に当たる)。数あるキャラから、ツノのあるウシに乗っているキャラを選んだあたりがナイス。
現説編年表・展覧会編年表・研究会編年表に情報を追加しました。
国立新美術館の「トルコ至宝展 チューリップの宮殿 トプカプの美」、終了間際に行ってきました。恐れていたほどは混んでいなくて幸いでした。たいへんよかったです。
大学で最初に言語学の授業を覗いたとき、著名な先生なものだから、私みたいな半分野次馬の学生がワンサカ。その状況を考慮してかどうか、先生は冒頭で、ウラル語族とアルタイ語族をウラル=アルタイ語族などとまとめられるかどうか疑問、ましてそれに日本語が属すなんて考えがたい、と話されました。
一般人まで何となく頭の片隅に入り込んでいた「専門用語」……のようなものが、本物の専門家の前で、幻だったと気づく瞬間でした。
亀田俊和氏(@kamedatoshitaka)の著書『観応の擾乱』(中公新書)について、亀田氏ご本人が人名索引を作成し、pdfをTwitterで配布されました。「考古学のおやつ」でもこちらに置かせていただきました。
現説編年表・展覧会編年表・研究会編年表に情報を追加しました。
リトアニアで考古学の論文集を買ったら、英語やロシア語やドイツ語の論文が載ってましたが、一番足が地についてそうな論文はリトアニア語でした(別言語の要約があったのでわかった)。土地の文化を知るには現地語が必須と痛感した瞬間であり、文化の中枢は言語にありと悟った経験でした。
Twitter で用いている名前が「おやつMaster」になりました。以前からウェブサイトやハッシュタグの「#考古学のおやつ」を人名みたいに使うのはどうかと思っていたのです。運営方針は今まで通りなので、よろしくお願いします。
2012年設立の「日本おやつ協会」が「おやつ検定」を実施していて、合格すると「おやつマスター」に認定されるそうですが、当方とは関係ありません。
管理人が「おやつMaster」を名乗った方が先(1998年)ですし。
天皇の生前退位、新天皇即位というという、現代人にとって経験のない出来事への接し方として、人々が年越しそば、初日の出、たこ揚げ、書き初め(元号の揮毫や人文字など)といった正月行事を、知らず知らず引用しているあたり、文化の観察として興味深いですね。
翻って、正月行事の意義を考えるヒントにも。
と思ってみていたら、この論理はいきなり破綻しました。
この日の過ごし方として、仮装して渋谷に繰り出した若者は、正月行事ではなく、ハロウィンを引用しています。