木村朗国際関係論研究室
コラム・バックナンバー

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No.6 TITLE:鹿児島県議会での「非核神戸方式」の陳情審査の傍聴を終えて DATE:14 Mar 1999 18:24:03

 先日(3月12日)、鹿児島県議会の企画建設委員会を傍聴してきた。「錦江湾・鹿児島の海の非核化をめざす意見広告の会」が提出した鹿児島県内港湾の非核平和利用を求める陳情書が審議されるのを自分自身の目で確かめるためであった。

 審査は、最初に陳情書の趣旨説明とこれまでの県の対応の説明が県の港湾課長によって簡単になされた後、出席した委員(議長を含めた11人)の間でほとんどまともな質疑応答もされることなく、1人の委員(社民党選出の福山秀光議員)の反対はあったものの圧倒的多数(10対1)で不採択となった。こうした結果は、事前にある程度予想していたものの、通り一遍の説明だけでほとんど実質的な議論さえ行われないないという状況にはあきれると同時に強い憤りを覚えた。

 港湾課長の説明によれば、鹿児島県では、これまで県内港湾に入港する米軍艦艇が核を積んでいるか否かをそのつど外務省に照会(電話で!)し、外務省からアメリカ側から事前協議の申し入れがないので核搭載はないものと考えるとの回答を受けた上で入港を許可しているとのことである。また、ある議員は「(外務省の回答からみて)非核3原則」は守られていると認識している。陳情は不採択とすべきだ」と主張した。

 しかし、こうした政府・外務省の見解・論理をうのみにした鹿児島県当局や県議会(あるいは県議)の対応は、地域住民の生命と安全を守るべき地方自治体がその独自の判断を放棄した、きわめて主体性を欠く無責任な姿勢でであると言わざるをえない。

 周辺事態法案の衆議院での本格審議がすでにスタートした。高知県に続き、函館市でも非核港湾条例が継続審議という形で事実上廃案とされることとなった。石垣市での市長主導の非核港湾条例の試みにもストップがかかったようである。しかし、その一方で、全国の自治体で周辺事態法案など新ガイドライン関連法案に反対する動きも広がっている。

 今春に4年ぶりに行われる統一地方選では、この新ガイドライン問題が本来ならば重要な論点として取り上げればならないはずであるが、残念ながら今のところ事態はそのようには動いていないというのが実情である。わたしたちは、高知県や函館市・石垣市の非核港湾条例の試みに連帯するとともに、今度の統一地方選で新ガイドライン問題が重要な争点となるようにこれから各方面に積極的に働きかけていく必要があると思われる。

 1999年3月14日(「STOP!周辺事態法案 鹿児島相談会U」の準備会を終えて)
                                 木村 朗

 

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Composed by Katsuyoshi Kawano ( heiwa@ops.dti.ne.jp )