木村朗国際関係論研究室
コラム・バックナンバー

Last Update :02/02/11

 

No.38

 

TITLE:国際法は報復を明確に禁じている」 DATE:02.12. 2002 

     

 今回のアフガニスタン攻撃は、国際法が禁じている報復戦争というべきであり、国連決議にもとづかない一部の国による武力攻撃であって、直ちに中止すべきです。

 国連憲章では、国際紛争の平和的解決を義務付け、武力行使を禁じています。国連による軍事的な強制措置と自衛権の発動による武力行使は認めていますが、これはあくまで例外的措置です。

 国連の強制措置は、平和的解決の努力を尽くしたうえで最後の手段として認められるものです。自衛権による武力行使も国連が適切な措置をとるまでの限定的なものに制限されています。

 今回の武力行使はどれにも該当しません。テロ実行犯の特定や逮捕、処罰に向けた取り組みは始まったばかりで、平和的解決の努力を尽くしたとはとてもいえません。

 自衛権の行使も、相手が特定される形で攻撃が今も続いているような、差し迫った危機的状況にあるわけでもなく、認められるものではありません。

 日本は憲法で、国際紛争の平和的解決を義務付けただけでなく、いっさいの武力行使を禁じました。これが最後の手段として武力行使を認める国連憲章とは違う点で、恒久平和の精神を先駆けているのが月本なのです。その日本が報復戦争に加担してはなりません。

 日本は、戦時だけでなく、平時から、この憲法の精神で国際貢献することが求められているのです。お金だけではなく、人の貢献も、教育、技術の提供などやれることはたくさんあります。

 ところが、平時にやるべきことをやらず、戦時にできないはずの自衛隊の派兵をやろうとしているのが、今の日本です。

 軍事力によってテロを根絶できないことは、パレスチナ紛争をはじめ歴史が証明しています。

 テロの背景にある貧困や差別といった問題の解決にあたることこそ求められています。その分野

で日本は役割を発揮すべきです。それこそが憲法がうたう、国際社会で日本が「名誉ある地位」を占める道なのです。

                                                        (2001.10.14(日)「赤旗」日曜版に掲載

     

 

                                      インデックス(平和コラム・バックナンバー)へ木村朗国際関係論研究室平和問題ゼミナール

CopyRight(C)1999, Akira Kimura. All rights reserved.
Composed by Katsuyoshi Kawano ( heiwa@ops.dti.ne.jp )