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No.60
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TITLE:
「志布志事件にみるメディアの役割ー警察情報を疑う視点持つべき」
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DATE:23 .4. 2008
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マスコミ倫理懇談会「メディアと法」研究会が二月二十九日、新聞協会会議室で開かれ、鹿児島大の木村朗教授が「志布志事件にみるメディアの役割」をテーマに講演した。二〇〇三年四月の鹿児島県議選をめぐって起きた冤罪事件の報道を論じた上で、メディアには「犯人視報道を行うマイナスの側面と、権力犯罪を暴くプラスの側面がある」と指摘。権力と一定の距離を取り、警察情報を疑う視点を持つよう求めた。
県議選で当選した中川信一氏が集落の住民に現金百九十一万円を配ったとして、中川氏や住民らが公職選挙法違反で逮捕、起訴された「志布志事件」は〇七年二月、被告全員が無罪となり、冤罪が明らかとなった。木村氏は「これは冤罪ではなく、警察・検察による悪質なでっち上げ、国家権力の犯罪だ」とし、再発防止には弁護士同席を含む捜査の透明化、可視化が必要だと述べた。
一方、メディアに対しては「当初、警察発表を鵜呑みにして、犯人視報道を繰り返した」と批判。その上で「一部のメディアがその後『この事件はおかしい』と気付き、警察・検察内部の良心的な人からの情報提供を得て、事件の流れを変える大きなきっかけを作った」と述べた。
木村氏は、志布志事件の経緯から、こうした「メディアの二面性」が明らかになったと指摘。今後の報道に向け「警察発表への過度の依存から脱却し、権力の暴走をチェックすべきだ」と述べた。また、定期的な意見交換などを通じ「弁護士とメディア関係者の協力関係」を構築するよう主張した。
(『新聞協会報』2008年3月11日号に掲載)
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