電子工作をはじめよう -11
LEDを光らせる



今回は、光る半導体、LED(Light Emitting Diode) =発光ダイオードの使い方です。

電圧と電流の関係

LED のまえに問題... 500Ωの抵抗に2Vの電圧がかかっているとき、この抵抗にはどれだけ電流が流れるでしょう?

オームの法則 電圧(E)=電流(I)×抵抗(R) より、電流(I)=電圧(E)÷抵抗(R)となります。 この式に値を代入すると、I = 2÷500 = 0.004[A] = 4[mA] で、答えは4mAということがわかります。

では、LEDの場合は?

同じように計算しようとすると、LEDの抵抗はいくつ?

いえいえ、LED は半導体の仲間。E=I×R のように電流と電圧が比例関係にはないのです。では、どうするのでしょう?

電流−電圧の関係がわかるグラフを見ればわかります。

上のグラフは、あるLEDに電圧をかけたときに流れる電流です。もし1.8Vの電圧がかかっているときには、 4mAの電流が流れることがわかります。

次に、LEDにかかる電圧が大きくするとどうなるでしょう。1.9Vで8mA、2.0Vになると17mAの電流が流れることがわかります。 このように、LEDにかかる電圧が少し大きくなっただけで、流れる電流が一気に大きくなることがわかります。 逆に、流れる電流が多少変わっても、LED両端の電圧(Vf)は1.7Vくらいで、それほど変化しないことがわかります。

さっきから、電流、電圧の話ばかりですが、LEDは光るのです。いつ光るのかというと、電流が5mA以上流れていれば、 たいていのLEDは光っているのがわかります。10mA流せば、もっと明るく光ります。20mA流すと、かなり明るいです。 グラフのLEDは20mAでも大丈夫ですが、LEDによっては20mA流すと壊れてしまいます。

電流制限抵抗

では、1.5Vの単3電池2本直列でこのLEDを点けるにはどうすればよいでしょう?

LEDをそのまま電池につなぐと、LEDが壊れるということは、グラフを見ればもうわかるでしょう。 電流が流れすぎるからです。

10mA流して光らせたいと思います。グラフから、1.95V の電圧をLEDにかければよいことがわかります。 でも、こんな電圧にぴったり保っておくのは大変です。もし電圧が少し上がって2.00Vになると、電流は17mA流れることになり、 明るくなってしまいます。逆に電圧が少し下がれば、今度は一気に電流が減り、消えたり、暗くなったりします。 それに、グラフの右上を見ると「Ta=25℃」と書いてあり、温度が上がると電流−電圧の関係もこのグラフ通りではなくなってしまいそうです。

このように考えると、LEDを一定の明るさで光らせるのは大変です。

では、どうするか? LEDの明るさは、流れる電流で決まります。電流を中心にして考えればよいのです。 電流を一定に保ってやれば、一定の明るさで光ってくれます。

とにかく電池からLEDに電流を約10mA流したい。LEDを直接電池につなぐと、とんでもない電流が流れてLEDがこわれるし。 もっと流れる電流を減らしたい。

このようなとき、電気が流れるのをじゃまする(電流を抑える)働きをする抵抗の出番になります。 電池とLEDと抵抗を直列に接続すればよいのです。抵抗値はいくつにすればよいか? これは簡単です。

1.LEDに10mAくらいの電流がかかってが光っているとき、LEDにかかる電圧は1.9Vです。

2.電池の電圧は3V、LEDと抵抗は直列につながっているので、抵抗にかかる電圧は 3-1.9 = 1.1V

3.抵抗に流れる電流はLEDに流れる電流と一緒(直列だから)で10mA

4.抵抗(R)=電圧(E)÷電流(I) だから、1.1V÷10mA = 110Ω

110Ωの抵抗は、入手しにくいので、100Ωの抵抗と10Ωの抵抗を直列につないでもよいですが、 すこしくらい電流が変わったところで、問題ではないので近い値として120Ωの抵抗を選べばOKです。

上の図のように接続すればよいのです。

ダイオード?

ダイオードは順方向に電圧がかかっている場合、電流が流れますが、 逆方向に電圧をかけても電流は流れません。

LEDはその名の通り、ダイオードの仲間です。逆向きにつなぐと電流が流れず、光りません。順方向に電圧がかかるように 接続します。

LEDの記号は矢印のようです。この矢印の向きに電流が流れるのです。LEDに電流が流れ込む端子を「アノード」(anode=陽極) 流れ出す端子を「カソード」(kathode=陰極)と呼びます。アノード(+側)はカソード(−側)よりも端子が長いので区別できます。

ここで、1つ注意点を。「逆向きにつなぐと電流が流れない」と書きましたが、逆向きに5V以上の電圧をかけると LEDが壊れてしまうので、注意しましょう。

簡単な抵抗値の決め方

なにやら面倒なことを書いてしまいましたが、LEDを点けるのは簡単です。 上で、「流れる電流が多少変わっても、電圧はそれほど変化しない」と書きました。ならば、 LED両端の電圧(Vf)はいつも1.7V だと思って計算してしまってもよいでしょう。 たとえば、5Vで10mA流してLEDを点灯させたければ、 (5-1.7)/0.01=330Ω のようにグラフを見ずに簡単に求まります。

ただ、最近では青や白、純緑色LEDが出ていて、これらのLEDはVf=3.4Vくらいあり、Vf=1.7Vで 計算すると、点かないので注意が必要です。 電子ホタル 部品集めで「電圧の関係で、青、白は使えません。」 と書いたのは、このためなのです。乾電池2本直列=3.0Vでは、青や白のLEDは点灯できないですから。


(c) 1999 Ishijima Seiichiro
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