電子工作をはじめよう -8
テスターの使い方



見えない電気を見るために

回路が今どうなっているのか、見ただけではわかりません。 作った回路が動かないとき、何かの電気製品が壊れたとき、 「電流は流れているのか」、「電圧は出ているのか」などをテスターで調べ、回路の様子をうかがいます。

テスターは、「電気屋さんの聴診器」といった、大切な道具なのです。

今回は、テスターの基本的な使い方です。ここでは、デジタルテスタを例に説明します。 詳しくは説明書を参照してください。

レンジ切り替え

テスターは、電圧、電流、抵抗値などを1台で測ることができます。 どれを測るのかを決めるのが、レンジ切り替えスイッチです。
(最近のテスタは、「モード切替」と言った方がいいのかもしれませんが)
一番大切なスイッチなので、テスタで一番大きなスイッチがついています。 回すスイッチが多いです。

V に合わせると電圧が、Ωに合わせると抵抗、Aに合わせると電流が測れるといった具合です。

モードを切り替えるときには、プローブ(赤と黒の棒)を測定点から外してから切り替えます。 回路につないだまま切り替えてはいけません。

また、プローブを測定点に当てる前に、レンジを確認しましょう。間違ったレンジになっていると、 テスタを壊したり、回路をショートさせてしまうことがあり、危険です。 プローブは、先端の金属部分ではなく、後ろの方を持つようにします。

電圧を測ってみる

テスターを電圧計として使うことが一番多いと思います。試しに電圧を測ってみましょう。 電池を用意してください。

レンジ切り替えスイッチをV(電圧)に合わせます。プローブをどこにもつないでいないときには、 表示がコロコロ変わるでしょう。テスターは、2本のプローブ間の電圧を測ろうとしているのですが、 どこにもつながっていないためにわからず、困って? 迷っているのです。

2つのプローブの先端をくっつけて、ショートさせてみてください。表示が0になるはずです。 プローブ両端の電圧が0に定まり、それをテスターが測定しているのです。

今度は電池の電圧を測ってみます。電池の電圧を測れば、「どのくらい電池に元気があるか」目安に なります。交流、直流切り替えスイッチで、「直流」にします。[〜]の表示は交流です。 レンジは、オートにしておきます。(レンジ切り替えスイッチは V です。)

赤のプローブを電池の+極に、黒のプローブを電池の−極につないでみます。 電池の電圧が表示されます。1.5V ぐらいの表示が出ていれば、電池はまだまだ使えそうです。 V(電圧)モードでは、黒のプローブ(-)に対して、赤のプローブ(+)の電圧がどれだけ高いのかを測定しているのです。 試しに、赤のプローブを電池の−極に、黒を電池の+極につないでみると、 表示が−になるはずです。(アナログテスタでこれをやってはいけません。針が逆に振れてしまいます)

今度は、交流を測定してみます。一番身近な交流は、コンセントに来ている電気です。 100V あり、さわると危ないので、気をつけてください。プローブの先端金属部分をさわらないようにします。 金属と反対の方を持って、感電しないようにします。

交流、直流切り替えスイッチを「交流」にします。オートレンジで、V(電圧)のままです。 2つのプローブ先端が互いに振れると、ショートしてしまうので、ぶつからないように気をつけて、 コンセントにプローブ先端を入れてみます。

テスタにはコンセントに来ている電気の電圧が表示されます。いくつだったでしょうか? ぴったり100Vではないかもしれません。コンセントの電圧は、多少変動するのです。

交流モードでは、赤、黒の区別は意味を持ちません。赤を右に入れても、右に入れても同じです。

抵抗値を測る

こんどは、抵抗値を測ってみます。抵抗を用意します。レンジ切り替えスイッチをΩ(抵抗) に合わせ、プローブを抵抗両端に当てれば、抵抗値が表示されます。抵抗の色帯とテスタに表示された抵抗値 が一致したでしょうか。抵抗には誤差が含まれているので、例えば1kΩの抵抗をつないでもぴったり1kΩの表示 にならないかもしれません。

テスタは、赤(+)のプローブから黒(-)のプローブに電流を流したときの抵抗値を測定します。


今回は、テスタを使って電圧、抵抗値の測定方法を紹介しました。 電流の測り方は、また後で紹介しようと思います。
回路がおかしいとき、サッとテスタを取り出し、「ここがおかしい!」なんてすぐにわかると、 プロかもしれませんね。


(c) 1999 Ishijima Seiichiro
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