電子工作をはじめよう -9
ACアダプタを使った電源の作り方



便利な電源ACアダプタ

今回は、ACアダプタの使い方を紹介します。回路は電源がないと動作しません。電源として一番簡単に用意できるのは電池でしょう。ところが、電池はエネルギーがなくなると交換しなくてはなりません。コンセントがあるところで使うなら、そこから電気を取った方が経済的です。

しかし、コンセントに来ている電気は交流の100Vです。電圧が高く、また+/-が変化する交流なので、そのままでは作った回路につなげることができないでしょう。そこで便利なのが、ACアダプタです。どこの家にも1つはあるものでしょう。 ACアダプタは繋ぐだけでコンセントの100Vを直流の低い電圧に変換してくれます。

選び方

ACアダプタには、たくさんの種類があります。使う回路によって合うものを選びます。 ACアダプタの背面には、出力電圧や電流などが記されています。

例えば、OUTPUT : DC4.5V 500mA と書いてあれば、出力電圧4.5V, 最大出力電流500mAということになります。DCとは、直流のことです。ACは、交流です。試しに、ACアダプタの出力コネクタにテスターを当てて、電圧を測ってみてください。書かれている出力電圧よりも大きな電圧が出ていることが多いです。大体1.3〜1.4倍くらいになっているでしょう。このように、ACアダプタの多くは記されている出力電圧よりも大きな電圧が出ていることが多いので注意しましょう。

ACアダプタが供給できる電流には限度があります。それを示しているのが最大出力電流です。例えば500mAと書いてあれば、ACアダプタから500mA以上の電流を取り出してはいけません。このようなACアダプタは、最大消費電流1Aの回路に使うことは出来ません。最大出力電流1A以上(余裕をもって1.3A以上)のものを使う必要があります。

DCジャックの使い方

ACアダプタにはDCプラグが付いているものが多いです。ACアダプタを使うには、DCジャックのつなぎ方を覚えなくてはなりません。

DCジャックには、いくつかの大きさがあるので、使うACアダプタに合うものを選びます。 DCプラグは、内側と外側に端子がついています。どちらが+かは、アダプタの背面に書いてあります。

+ -( ●- −  こんな記号があるでしょう。この場合、外側が+, 内側が−であることをしめしています。 (中央の極が+なので、センター+と呼びます)

一方DCジャックには3つの端子があります。+/-以外にもう一つ? 一体何に使うのでしょう? それは、電池を繋いで使えるようになっているのです。アダプタを繋いでいないときは回路の電源が電池に接続され、アダプタを繋ぐと電源がアダプタの外側の端子につながるようになっているのです。DCプラグを差し込むとその切り替えスイッチが働いて、電池側が切り離され、ACアダプタ側につながるようになっています。この機構のおかげで、電池とACアダプタを直接つながり、電池へ電流が流れ込んでしまわずに済みます。

センター+のときは、上の回路図のように繋げばよいのです。(センター−のときは、回路図の+/-を全て反転させて繋ぎます)電池を使わないときには、繋がなくてもいいです。この場合DCジャックの2端子だけを使います。 まず、センターの端子ですが、これはDCジャックの後ろから出ている場合がほとんどです。テスターを導通レンジにして、センターのピンとその端子が導通していることを確認してください。あとの2つの端子の見分け方は、ACアダプタをコンセントに差し込み、センターともう1つの端子間の電圧を測ってみればわかります。電圧があった方が回路図の3番の端子になります。 残った一本が電池を繋ぐ2の端子になります。

2の端子はDCジャックの横に、3の端子は下に、1の端子(センター)は奥に付いていることが多いです。 間違えないように繋がなければなりません。

3端子レギュレータの使い方

ACアダプタから出力される電圧はゆらゆら変化しています。いつも5Vぴったりの電源を欲しがっている回路にこのようなACアダプタをつないでは困ります。うまく回路が動いてくれないこともあります。また、上で書いたとおり、ACアダプタの出力電圧は背面に記されている電圧より大きな電圧が出ていることがあります。では、どのように目的の電圧を得ればよいのでしょう。

このようなとき、便利な3端子レギュレータという部品があります。IC の一種です。ACアダプタの出力のような、ゆらゆら変化する電源(安定化されていない電源)をぴったり変化しない電源(安定化された電源)にするための部品です。

3端子レギュレータは、78XXのような型番が付いています。XXの部分は出力電圧を表しています。7805なら5V、7812なら12Vです。上の回路図の通りつなぐだけで動きます。型番が書いてある面(顔といいます)に向かって左の1番ピンが入力、真ん中の2番ピンが-(グランド)、右の3番ピンが出力となります。1番ピンの側はACアダプタなどにつなぎます。3番ピンから安定化された電源を取れます。 3端子レギュレータを使うときには、すぐそばに0.1μFのセラミックコンデンサ、100μF程度の電解コンデンサをつなぐようにします。

3V, 5V, 12V, 15Vなどぴったりした電圧が欲しい場合は、その電圧の3端子レギュレータが用意されていますが、その他の電圧が欲しい場合にはダイオードをつないだり、可変3端子レギュレータを使ったりします。使い方はいつか紹介します。

3端子レギュレータ78XXシリーズの最大出力電流は1Aです。これ以上の電流は流れないように、保護回路が内蔵されています。また、入力側につなぐ電圧はいくつでもいいわけではありません。大体出力側の電圧+3Vくらいの電源をつなぎます。 5Vが欲しいなら、7805を使い、安定化されていないACアダプタなら出力電圧5Vのものを使えばOKでしょう。

便利なスイッチング方式のACアダプタ

ACアダプタはでかく、コンセントの場所を占領してしまうので、じゃまなことが多いです。最近では小さなACアダプタが利用されるようになりました。今までの大きなアダプタには、電圧を下げるためにトランスを使っていて、そのために大きかったのですが、最近の小さなアダプタはスイッチング電源というものを使っています。

スイッチング電源のいいところは、小さいだけでなく、出力電圧が安定化されているということです。 このようなアダプタは、背面に表示されている通りの電圧がぴったり出てきます。だから、3端子レギュレータなどの安定化回路をつながなくて済みます。


今回は、コンセントから回路に電力を供給するときに便利なACアダプタを紹介しました。 間違ってACアダプタの出力をショートさせたりして、最大出力電流より大きな電流を流してしまうとアダプタの中にあるフューズが飛んでしまい、使えなくなってしまうことがあるので、注意しましょう。


(c) 1999 Ishijima Seiichiro
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