修理ノススメ
実践例題集-1



実践例題1 FAX (症状)黒い線状の幻覚が現れる

6年ほど使ってきたFAXがあり、送信すると送り先の印刷物に黒い線が現れるようになってしまいました。

うちのFAXの読みとりがおかしいようです。とりあえず、原稿を読みとる部分をティッシュできれいに拭いてみましたが、直りませんでした。

いよいよ分解です。FAXを裏返し、全てのねじを外し、カバーを開けます。機械を分解すると、その構造に感動します。開けてみると、原因がすぐに分かりました。ほこりがたくさん積もっているのです。原稿から反射してくる光を伝える鏡にも、ほこりが積もり、真っ白になっていました。

何枚か鏡があり、カメラのようなイメージセンサで原稿を読み込む仕組みになっていました。ほこりのせいで、常に黒い点ができて、それを送信していたので送り先に黒い線が現れてしまったのです。内部をきれいに掃除し、鏡もきれいに磨きました。

分解したときと逆の順序で組み立てます。最後にカバーをかぶせ、ねじを締めれば、完了です。が、私が組み立てると、1,2本ねじが残ってしまうのです。 どこかで、ねじを締め忘れてしまったのですが、がたついているわけでもなく、もう一度分解するのも面倒なので、まあ、いいということにしました。(本当はよくない!!)

早速、原稿を送信してみます。 送り先には、きれいに出力されました。


実践例題2 ハンドクリーナー (症状)食欲がなく、元気がない

15年ほど前に、誰からかもらったハンドクリーナーがあります。工作をした後や、砂糖をこぼしたときなど、ちょっとしたときに、気軽に使えるので重宝しています。しかし、最近特に吸引力がなく、充電してもなかなか回復しなくなりました。内部の充電電池が古くなってしまったのです。よく使ってきたので、電池がくたばってしまうのも当然です。ハンドクリーナーなど、今では安く売っているのですが、小さい頃、このハンドクリーナーの充電器を分解し、感動した記憶があるので、直すことにしました。

本体を分解すると、4本のNi-Cd電池が入っていました。単2電池サイズのものが入っていると思ったのですが、そうではなく、もう少し小さい物でした。太さは単2電池と同じで、長さは単4電池と同じという、変わったサイズです。

秋葉原でこの電池を探すと、1200mAhで1本780円しました。これでは高いので、1100mAhの単3のNi-Cd電池を4本使うことにしました。1本210円なので、電池ボックスを入れても、1000円もかかりません。

黄色いものが、交換した充電式電池です。タブなしの電池なので、電池ボックスに入れてから、組み込みました。

電池ボックスがうまくはまるように、カッターでクリーナーの内部を少し切り、古い電池を新しい電池に交換しました。最近の充電電池は、小さくてもたくさん電流を流すことが出来て、容量も大きいので、単3でも十分働いてくれると思います。

しばらく充電し、スイッチを入れると、勢いよく吸い込むようになりました。交換した電池が小さいのが心配だったのですが、使ってみても、今のところ問題ないです。

電池を交換しただけで、古いハンドクリーナーが、すっかり元気になりました。これからも、がんばって働いてもらいたいものです。


実践例題3 電子体重計(症状)働かないのに電池を食う いつもは、まじめだった

体重計の中身を見たいという気持ちもあり、分解してみました。

ケースは、人が乗る上の部分と、床に着く下の部分に分かれていました。ねじで止まっているわけではなく、上下を結ぶバネを外すと、パカッと開きました。上の板から中の棒へと力が伝わり、棒の先についた歪み計が働くようになっていました。

 

斜めにVの字に2ほんある棒に体重がかかるようになっています。Vの交点にあるのが、ストレンゲージです。

基板には、マイコンが載っています。

今回も、内部にたくさんのほこりが入っていたので、きれいにしました。床の上に直接置いてあり、中にほこりが入りやすい構造だったので、ほこりが貯まりやすかったのでしょう。 壊れていた原因は、スイッチの調子が悪いということでした。押しボタン式のスイッチなのですが、ゴミが詰まっていて、うまく戻らなくなっていたのです。そのため、電気を無駄にしていました。

組み立てるときには、どのようにバネをはめるのかわからず、悩んだのですが、組立て方がわかると、「よくできているなー」と、再び感動しました。


実践例題4 Ni-Cdバッテリー(症状)充電しても全く復活しない

いつも2本一組で使っていた、単4Ni-Cd電池があるのですが、いくら充電しても全く復活しないのです。寿命のため充電しても復活しなくなったり、使い方が悪かったということでもなく、充電出来なくなったという状況です。

完全に放電しきっている場合、いつもより長く充電しなければなりません。数日間充電してみたのですが、充電できていません。電圧を測ってみたところ、2本のうち1本が0Vになっています。テスターのディスプレイには、0.000mVと表示されているのです。 これは、ふつうの状況ではありません。抵抗を測ってみると、0Ωです。一体、この電池はどうしたのか?

どうして抵抗が0Ωになっているのか解らなかったが、「古くなったNi-Cd電池は、内部の電極がさびたりして、電流が流れにくくなる。高い電圧を瞬間的に何度かかけて、ショックを与えてやると、直る。」という噂を思い出し、試してみることにしました。

あまりにもたくさんの電流が流れてしまうのは困るので、実験用の可変安定化電源で15Vに設定し、Ni-Cd電池につないでみました。一瞬バチッとなります。5回ほどやって、再び電圧を測ってみると、1.2V程度ありました。なんと、復活してしまった!

電圧を測っているうちに、次第に電圧が下がってきたので、すぐに充電しました。1日充電したら、すっかり充電でき、元のように使用できるようになりました。

果たして、この方法が正しい方法なのか、どうして抵抗が0になったのか、解らないのですが、直ったのは事実です。どうしてこんな現象が起こったのか、解る人は、教えてください。

この現象について、おかださんより掲示板にコメントを頂きました。ありがとうございます。以下に載せます。

修理のコラムにありましたニカド電池の短絡は樹状結晶によるものと思います。この種の電池ではかなりの頻度で発生するようです。

電極の一部が木の枝のような結晶を生成してそれが成長しセパレータを突き破り短絡するものです。
一般的にはこれが発生したら寿命と考えるのでしょう。
アマチュア的には大電流を流して溶断させて復活させるのは面白いと思いますが液漏れ、破裂の危険が伴いますのでお勧めできる方法ではありません。
アルカリ電解液は短時間で皮膚などに損傷を与えます。 リチュウム電池などでは短絡による火災の問題がありますので電池メーカはかなり神経質に対処しているようです。外部からこのような電流を流さないように電子回路やフューズなどが入っているものがほとんどです。

---寿命との関係について---

放電特性(容量)の低下で寿命というのが普通です。

どの程度の低下で言うのかは確認していません。容量の低下がなくても短絡した場合には結果として寿命となるでしょう。
短絡は寿命の末期に発生することが多いようです。

保存は放電状態にしておくのがよいとされています。これもニカド電池が使われ始めたころ(開発当初)は満充電で保存するといわれていました。
そのころはメモリー効果なんていう言葉もありませんでした。
多数直列に充電するより1個ずつ充電するほうが長持ちします。

注意:試す場合は、危なくないようにしてください。

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(C) Ishijima Seiichiro 1999
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