修理ノススメ
実践例題 5  ビデオデッキ



テープが出てこない

居間で7年ほど使ってきたビデオデッキがあります。 ある日、テープ取り出しボタンを押しても、テープが出てこなくなりました。 チリチリチリというテープが絡まるような音がして、電源が切れてしまいます。

おかしいので、分解してみました。(このページのネタが久々に出現しました。)

テープ引っ張り放題

側面にあるネジ5本を外すと、カバーが外せました。 そのまま電源を入れ、取り出しボタンを押すと、カセットからテープをどんどん引き出してしまいます。 引き出したテープがこすれ合ってチリチリ鳴っていたのです。

どうやらテープを送ろうとしているにもかかわらず、巻き取ることができず、カセットからテープを引っ張りだしています。

カバーを外したところ

写真を見ると、回転ヘッド、その右にピンチローラーが見えます。 ピンチローラーがテープを左からどんどん引き出すのですが、カセット右のリールが全く回転せず、 テープを巻き取りません。その結果、ローラー横に引き出されたテープが貯まってしまいます。

行き場を失ったテープが...

回転ヘッドの左上にあるモーターでカセットの出し入れをしています。このモーター1つで複雑な動きをさせています。カセット出し入れ機構が良くできているので、よくこんな物が作れる物だと感心してしまいます。 一番右にある穴あき金属ケースに入っているのが、スイッチング電源で、ここから基板へ電力を供給しています。 左の基板は、ビデオ信号を入出力する基板です。高周波回路が金属ケースに入っています。

テープ巻き取り機構

テープを巻き取る部分です。左右の黒い歯車付きの物がテープを巻き取ります。 その間にある歯車が左右に移動するようになっていて、テープを巻き取る方の歯車に動力を伝えるようになっています。テープを引き出される方は、テープに引かれて回ります。カセットデッキなどでよく使われている機構です。

左のテープを巻き取る歯車を囲むようにある、白いバンドは、ブレーキです。自転車のバンドブレーキと同じ仕組みです。右の方にも別の形のブレーキがついています。

カセットを入れると、ちょうど写真の上から乗せるようにカセットをセットします。すると、写真上に見えるピンチローラーが移動しながらテープを引き出し、ヘッドにセットするようになっています。

プレーヤー故障の定番?

「テープを巻き取らない」となると、プレーヤー故障の定番、「ベルトが切れている」ということが考えられます。今度は裏のカバーを外し、穴から中を覗いてみます。やはり、ベルトが掛かっているべきところにありません。

テープ送りは一つのモータで行っているのですが、上の写真にある、左右に移動する歯車へ動力を伝えるためのベルトが緩くなってしまったのです。そのため、ローラーはテープを引き出すが、テープを巻き取らないということになってしまいました。

機械部分が載ったメインの基板を取り出すため、前面のカバーを外しました。

前面カバーを外したところ

機械部分に隠れていた数本のネジを外すと、メインの基板と機械部分がゴッソリ外れました。

ベルトを注文

サービスセンターでビデオの型番と詳しい説明をして、ベルトを注文しました。 部品の注文は、案外簡単にできます。きちんと説明すれば、どの部品が必要なのか調べてくれます。

今回は1日で手に入りました。

交換・組み立て

ベルトをセットしたところ

ベルトをセットしました。右上にあるモーターでテープを送ります。左下にあるプーリーは、基板の裏にある左右に移動する歯車に力を伝えます。右下のモーターは、ヘッドを回転させるための物です。傾いて取り付けてあります。

試しに再生してみると、画像が汚く見るに耐えませんでした。ヘッドが汚れてしまったのです。 クリーニングカセットを使ってもあまり改善されなかったので、ヘッドクリーニング液を綿棒につけて掃除すると、きれいな画像が出るようになりました。

ベルトの交換だけで、ビデオが元気になりました。

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(C) Ishijima Seiichiro 1999
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