6.「お役所の掟」の嘘と現実の姿
個人的には最初は応援していたのですが、その後はひどい話ばかりで。特に、部下に迷惑をかけているという点がまったく書かれていません。
「何も言わずに」出かけたら当然部下はその分の仕事を引き受けるわけですし、「決裁」を得るために待ってないとだめでしょう。前述のように「キャリア」として特別待遇を受けている反面、責任が求められているにもかかわらず、部下に無駄なサービス残業を課す。自己中心的でおよそ信じられません。
また仕事を放棄して勝手に有給を取るというのも「干されている」わがままと言わざるを得ません。再三強調している「能力を生かしていない」という言葉に、それが象徴されています。不遇であれば不遇なりにすることがあるはずです。ましては特別待遇を受けている「キャリア」なら。
阪神大震災のとき各省庁からも各都道府県からも近隣市町村からも、また各地のボランティアが駆けつけ、世界からも救援隊が来ている中、神戸にいた厚生省の職員(しかも精神系の医者ですよ!)にもかかわらず、有給で米国講演はないでしょう。
精神系の医者なら恐怖がまたくるのでは、と震える被災者に対し治療ができたはずです。
しかもそれに対し、アメリカで高い評価を得たなんて自慢。はっきり言って米国の日本たたきの材料として利用されているだけです。
いずれにしてもあのような人物のいうことは話半分にしていただきたいと思います。
実際の業務は夜は8時くらいに霞ヶ関を出られれば早い方で、終電で帰る事も多々あり、忙しい時期はタクシー帰りもざらです。なぜそんなに忙しくなるのでしょう。
一つには、国会対応があります。国会での質問は、現実的には些末な質問も多く、行政の概要は知っていても細かい内容すべてを把握することは不可能です。
そこで国会というものは事前に質問が知らされ、それをもとに役所の方で回答骨子(「台本」ですね)を書いて、それを大臣や政府委員に「レクチャー」し、それをもとに大臣たちはなるべく自分の言葉で答弁します。ですから、新聞でいうような「官僚の答弁棒読み」などではありません(そういう人はよほどの○○)。
問題はその質問内容が前日の夜遅くにならないと来ない場合が多いということです。その結果、各省庁ではいわゆる「待機」状態となり、更に夜遅くなるとタクシーで帰らざるを得ないため、その分国民の税金が無駄になります。なんとかしてもらいたいものです。
だったら質問取りなどしなければよいではないか、という意見もありますが、議員の中には細かい数字を大臣が知らないと鬼の首を取ったように騒ぎ立てる場合も多く、また今の大臣の激務(昼間一日中国会にいていつ自分のところの行政を把握しろというのでしょう?)を考えるとそうせざるをえないのです。根本的には、大臣はその道の造けいの深い人、またはそういうブレーンを持っている、本当に優秀な人のみになってもらいたいです。
小沢自由党党首が言っているように「政治家は大枠の論戦をし、詳細の数字とかは後で事務方に提出させればいいではないか」というのが現実のものとなればこのような無駄も減ってくるでしょう。
二つ目の原因は人員不足です。国家公務員はいろいろ課がありますが、「併任」が異様に多く、また係員が不足しています。ですから、一人が2つ以上の係長役と係員役を兼ねるケースが少なくありませんつまりほとんどの係長は部下を持っていないのです。私も係長を2つ併任し、部下はいません。
仕事は何ら減っていないにもかかわらず、行政改革ということで人員だけはどんどん減っていくのですから、当然その結果として仕事が増えるわけです。本来は不要な仕事を減らした上で人員を削減するはずなのに、その逆を行っているわけです。結果として事務が停滞し、逆に対国民サービスという点で支障を生じています(自分の仕事しかわからず、電話の「たらい回し」が生じるなどいい例でしょう)。
そのような状況なため、「その人がいないと分からない仕事」が多く、商社同様、休み中でも居場所を「登録」しなければならないケースもしばしばなのです。
三つ目はやはり異動期間の短さです。「フランチャイズ」を持つ技官、例えば建設省などの例外はありますが、基本的には2年で今までいた部署と全く異なった部署に行かされます。もちろん若干は関係ある場合もありますが、基本的には一に近い状態から勉強しなくてはなりません。
これでは以前の業務を把握するために土日に来てあるいは持ち帰ってファイルをめくり、業務的にも一に近いところからやり直すことにもなります。
例えば商社などは大砲からゆりかごまでなどといってあらゆる商品を扱っているといいますが、普通は鉄鋼なら鉄鋼を中心に原則同じ畑の中を歩くことになっていると聞きます。
ただ、確かに多忙な課に3年も4年もいたら体が壊れてしまうかもしれないし、広い視野を養えるといった利点もあるので、何ともいえませんが・・。
四つ目は引継ぎと資料整理の悪さです。従来後任への引継ぎは評価の対象となっていなかった(?)ため、本来引継ぎをきちっとすれば、あるいは資料整理がきちっとしていればすぐ済む話を何時間もかかって調べなければならないという状態が多々ありました。また、異動先が多忙な課だとついつい・・ということも。
この点についてはこちら側の都合であり、最近はいろいろと手は打たれていますが、現在改善中です。
それに実際のところ本当に忙しい課ではそれずらできないということも本当にあるようです。
とりあえずはこんな感じです。
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