3)たとえば道路公団

 私も特殊法人すべてに知識が十分にあるわけではないので、道路公団の例を挙げさせていただきます。

 道路公団は「民営化」というのがまず第一に上がっています。

 しかし、今すぐにすべきことは民営化ではありません。まず「経営健全化のためのローカル道路の廃止」及び「工事凍結」です。

 なぜなら、この状況下で税金を投入する余裕がないからです。だとしたら必要な税金の投入量を減らす(いずれゼロにする)方策がはじめにありきになるのは当然のことです。

 「民営化」はあくまでもそのための方策の一つであり、目的ではないのです。「民営化」「廃止」などと議論をする前に、税金の投入を(最終的に)やめるためにはどうしたらいいのか。まずは大幅に減らすにはどうしたらよいのか。そこからはじまるのではないでしょうか。

 そう言う議論が行われていない現状一つとってみても非常に危険です。
 「地方の命綱」とかそういう議論ではもはや無いのです。

 その際の要因として
(1)地方の問題として
・地方の過疎化との関係
・地元建設業の破綻につながるのか
・「高速道路」が必要か
・国道で問題か

(2)国全体の問題として
・赤字路線の「利子」の問題
・「維持費の問題」(人件費ゼロで借金返済できないならそもそも無理)
・すでに作ってしまった不採算路線の借金をどうするか

などが存在すると思います。

 これらを検討した上で、「必要路線」「不必要路線」を切り分け、私は、

1)採算がとれる路線はそのまま
2)維持費のみなら採算はとれるが、利子を考えるとそこまでは疑問

という路線を引き続き残し

3)維持費も含め全く採算がとれない

という路線は必要というなら当該都道府県に譲渡し、そうでないなら使用を停止する、くらいのことをしないと民営化なんてしたって財政上は全く意味がないと思います(単に「民営企業」の利払いのために税金を投入することになる)だと考えます。

 「建設はじめてんだからもうやめられない」とNHKでうそぶいていた杉山議員(自民党)のようなどうしようもない○○議員もいましたが、実際国鉄改革では、完成寸前で放棄されたローカル線もいくつもあります。
 「やめられない」は日本のことを考えない「○か者」の発言です。
 道路公団について必要なのは、まずは路線別採算性の検討だと考えます。

 どうしても(赤字でも)、地方にとって必要な路線かどうかを識別するのは実は簡単です。利子部分は国が引き受けるとして、借金の返済も含め都道府県に所有権を移せばいいのです。国鉄と同じ「第三セクター」です。

 もちろん、本四連絡橋(のうち少なくとも1つ)など採算面で疑問があっても必要なものもあるでしょう。それは国土開発の観点から国が引き受けざるを得ません。しかしそれはきわめて少数なはずです。

 バブル期と違い、今なら都道府県もその必要性を真剣に考えるはずです。「あればいい」という次元で、もはやものを考えるべきではないのです。

 しかし、それでも、愚かな一部政治家はこのあたりを議論せず、「地方のため」「地方をつぶす気か」と言っているわけです。
 こういう国会議員達は本当に「国会議員」なのかと強く糾弾したい。「県会議員」では?と。

 この問題は次の項で書きたいと思いますが、今の日本の状況をわかっているのか、と言いたいです。
 
 いずれにせよ、道路公団については、特殊法人のままでも、民間になっても、この「愚かな政治家問題」が解決しないと意味がないと思います。
 このように、特殊法人の問題の多くは政治家がらみの問題が大きいと思います。

 ましてや、「民営化はしても良いが高速道路は建設してもらう」などというふざけたことを言っている政治家はもはや今の日本には不要です。みなさんぜひ落選させましょう。

 組織票で締め付けがあっても「投票しました」と言って投票しなければ無記名投票ですしね(特に都市部)。

 政治家は、落選すればただの人です。

 特殊法人の根本問題、それは愚かな政治家の「税金は自分たちの金」と勘違いしているところから来ていると断言します。

4)愚かな「県会議員」的国会議員が国を滅ぼす

 最大の問題は、日本全体を見て公正な判断を下すべき政治家達が「公正」でないということです。よく「族議員」という言葉があるので、役人出身の政治家や、そのための役所の応援団が問題のように思えますが、実はそれは違います。

 なにより地元の選挙対策のための「癒着政治家」が最大の問題です(最近はそれも族議員と言うようです。正しい)。
 他にも「労働組合」を支持母体としている政治家、「マスコミ」を支持母体としている政治家、「イデオロギー」をよりどころとしている政治家など、結局、様々な「族議員」ばかりです。

 特に、鈴木宗男氏は「地方を重視」ということで、広い一般道があるところに高速道路を造ることについて、「鮭を早く運ぶために必要。これで東京の人は美味しい鮭を食べられる。東京の人も利益を得ている」などと言ってます。

 バカではないか、と。

 こういうことを正気で言っている国会議員がいること自体大問題です。

 「鮭を美味しく食べるため」に何百億もの税金を投入し、それだけではありません。利子の赤字もその後も延々と税金で投入し続けるのです。

 これは、道路公団が悪いからこういう赤字が出るのでしょうか。道路公団が企業努力をすれば、1時間に車が数台しか通らない高速道路が黒字に変わるのでしょうか?

 また、静岡県選出の杉山氏は、「第二東名はここまで作ったんだからもうこのまま工事を続けるしかない」と抜かしています。
 この人は、国鉄の「未成線」のことを知っているのでしょうか。国鉄でも工事の9割が出来ていても、赤字で将来も黒字が認められない路線は工事中止の実例があるのです。

 今も、橋本派の古賀誠氏を中心に、地方切り捨てだの訳の分からない議論が出ているのですが、この期に及んでまだ高速道路を造ろうとしています。

 いいかげんにしろ、と。その都道府県の人による税金ではなくて、日本全国から集めた税金なんだぞ、と。

 古賀氏は講演で小泉改革が日本を潰す方向に持っていくのなら「抵抗勢力」と言われようと抵抗すると言っています。だったら訳のわからん高速道路建設を体張ってやめさせろよ。

 改革を妨害しておいて、「改革がうまくいかない」というふざけた政治家をもっと糾弾すべきです。たとえて言えば、畑に肥料をまくのを反対しておいて、「大根が全然育っていない。この責任は大きい」と言っているようなものです。

 こういう「視野が狭い」「自分だけ良ければいい」「ごり押し」政治家をもっとマスコミが叩いて欲しいと思います。そう言えば、古賀氏は、「役人が何人か倒れてもいいからさっさと法案作れ」とか発言したこともあります。そのときの法律、その後どうなっているのかこの人は知っているのでしょうか?

 法律も作ったあとの運用が一番大切です。高速道路もしかり。その場限りで役人を何人も倒れさせて作ってもフォローをしないと何の意味もありません。結局その場限りのパフォーマンス政治家と言うことです。

 ましてや総理総裁候補というのは国民をバカにしているとしか思えません。自治会長候補の間違いでは?

 そう言った意味では、我らが役所も含め、特殊法人、公益法人を極力なくすというのは役に立つかも知れません。確信犯政治家どもの介入を減らすという意味で。

 しかし、今も「北陸新幹線」とか訳の分からない話が進んでいますし、ホント政治家というのはどうしようもないと思います。

 で、そういう政治家は自分たちの「エゴ」を隠すために「役人批判」をするわけです。曰く「官僚が法律を作る」「気がついたら官僚の線路がしかれている」「官僚の利権の壁」「天下り」と。

 政治家を自分の支持者などのために良いように使っているから文句が言えないだけじゃないですか?キャリア制度を維持したのは結局利用価値があるからでしょう。

 やはり後援会禁止法を作っても良いのではないでしょうか。「固定票」でその一部の人に税金が偏るなら、まだ「人気投票」の方がまだましかもしれませんよ、国民のためには。

 特殊法人改革が独立行政法人になろうが、認可法人になろうが、こういう「県会議員的」政治家の問題を何とかしない限り、解決しないと思います。

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