1.選挙に向けて・・
 選挙になると必ず国民に口当たりの良いことを言って、実際は全く異なっていることをやっている例が多く見られます。あるいは選挙戦で主張してきたことと正反対のことをやる場合があります。その最大のものはやはり村山政権でしょう(散々自衛隊を批判し、自衛隊員まで批判してきたくせに政権とった瞬間・・)。
 このようなことが何故生じるのでしょう。

 これは、本気で政党が政権をとろうと思ったら、公約を曲げざるを得ないからです。
 なぜならば、国政というのは単純なものではなく、様々な要因がいろいろからみあっているからです。ですから、必要なときは国民に負担を求めなければなりません

 しかし、それを隠して(分かっていなかったらそれこそホントの○○です)、選挙のたびにいい加減なことを言う政治家のいかに多いことか
 そういった政治家は、確信犯で国民に嘘をついていることになります。

 ここでは、どういった「公約」が怪しいか、そしてどういう考え方で政治家を選ぶべきか、そういう事について書きたいと思います。

2.これは絶対うそつき!のタイプ(視界10メートル型)

 よく公約などで一つのことを連呼している政治家がいます。
 例えば「各駅に託児所を作って女性の働きやすい環境を作る」という公約を掲げた候補者などは、その内容が具体的であり、かつ目標に向かって邁進し易いため、候補者の努力によってはある程度までは実現可能かもしれません(政治家経験豊富な者がそういうことを言っていたら国政に関する視野の広さという点で問題ですが)。
 新人候補の主張としては悪くないのではないかと思います。
 そういった意味ではこの定義には入りません。

 一方で、これはどう考えても無理だろう、という公約があります。「非武装中立(中立ですから日米安保破棄ですね)」などというには最たるものですね(主張している方には是非鍵のない家で一生暮らしていただきたい
 ここではそういった類の公約について述べます。

1)庶民いじめの消費税を廃止!/消費税を引き下げます
 こういう公約を挙げる人に限って、消費税がどれだけ滞納されているのか、そして何故消費税が(比較的)公平なのかを理解していないところにあります。
 サラリーマンの大半が所得税が徴収されています。一方で様々な控除で税金を納めなくても良い層があるわけです。
 ならば、使ったら使っただけ税金を納めるこれを公平と言わず何というのでしょう。

 お金を持っているから使うのです。その分は所得税を減税すればいいのです。つまり差別が生じる可能性のある「所得」に対する課税ではなく「消費」に対する課税、ということです。ここで初めて議論になります。どちらが良いのか、と。

 ちなみによくある消費税反対論者の殺し文句「税金を納めたい人は私に投票してくれなくて結構。でも税金を納めたくないなら投票して下さい」・・・あんたアホか。
 この候補者の根本問題は、「税金」というものの理解が根本的に欠けており、かつ国家公務員も納税者であることを忘れている点でしょう。
 つまり人民は権力者や使用者(企業)に搾取されるという時代遅れの考えから脱却できない点です。にもかかわらず、自分が「歳費」(税金)を返上したなんて話は聞きません。

 税金の論議は日本は先進国中でもっとも税金が低いという事実をふまえ、「税金」=「行政サービスの対価」、すなわち行政サービスをどこまで求めるか、という議論を行わないと根本論ではありません。

 税金を低くして高い行政サービスを求めるのは不可能です。
 税金を一定額にして相応の行政サービスを求めるか、税金を下げ、最低限のサービスだけ求め、後は自主的にやるか(これを「夜警国家」といいます)。

 ですから、このような議論で正しいのは「税金を有効に」「所得税(消費税)に関して税制を改めるべき」「最低必需品は非課税(でも、昔批判の多かった物品税に似ているような気もします・・)」という議論であり、単に消費税で国民をいじめるとかいうのは感情論であり、政策とは言えません。
 くどいようですが、大蔵官僚でも消費税を納めています。

<当選させてはいけない政治家>
・消費税反対としか言わない人

<論点>
・所得税と消費税どっちをとるか(または他に有効な税方式があるか)
・生活必需品は非課税とされているか
・消費税がきちんと国庫に行く仕組みを考えているか
・消費税非課税最低基準引き下げの論議はなされているか?

2)福祉充実
 これをよく公約に挙げる人がいるのですが、ではその財源は、と聞きたいですね。
 充実は良いけどそのためには金(税金)がいるんだぞ、と。

 そういった財源問題に一切言及しないで、福祉で充実した社会を、などというのは「それができたら苦労しない」というところでしょう。
 しかもその「福祉」の定義が曖昧です。少なくとも「お年寄りの暮らしやすい社会」とか「弱者が安心して暮らせる社会」なんていう公約はいい加減の極致です。
 年輩者の年金額を本当に知っているのでしょうか。弱者は本当の弱者なのでしょうか。やる気のない者ではないですか?

 本当の福祉とは、恵まれた者が弱者に還元し、「みんなが楽しく暮らす」社会です。そしてそのためには儲かった者がより多く払う「税」という形式が、現時点では一般的に取られているのです。
 それを批判するなら、ではどうやって福祉を充実するのか。これを述べない候補者はダメですね。

<当選させてはいけない政治家>
・財源に言及せず福祉充実、年金の支給額増額などと言っている人

<論点>
・財源について具体的な額とともに言及しているか
・福祉とは何か。投票率の高い高齢者向けのリップサービスではないか?
 

3)ばらまき政策(公共事業投資)許すな
 これもいい加減ですね。「ばらまき」なんていってますけど、これは従来型の公共事業投資をやめろと言うことなのでしょう。
 では逆にどうしたらよいかを述べるべきです。

 公共事業削減や廃止を言うなら、そういった人たちの雇用問題に言及しないと問題は何も解決しません。倒産や失業者を出すだけです。
 これを言わない政治家はその時点で失格です。

 「公共事業よりIT革命や福祉事業へ」と掲げる方が最近良くいらっしゃいます。
 しかし、例えば建設業界から福祉産業や情報産業へ転職が簡単にできると思っているのでしょうか?
 現在リストラされた年配の事務職希望者が多くいる一方で、技能職は逆に人員不足です。
 これがいわゆる「雇用のミスマッチ」というものなのですが、上のスローガンはまさにこれを助長するものなのです。いかにして円滑に労働力移動を図るのか、また失業対策をどうするつもりなのか。
 ここがポイントなのです。

 これが述べられていない限り、その政治家の言う政策も「口当たりの良い夢の話」です。
 机上の空論なら誰でも言えます。

 さらに、公共事業の問題は、「公共事業が問題なのか」その「配分方法」に問題があるのかも明確ではありません。

<当選させてはいけない政治家>
・公共事業は無駄、と頭から決めつけている人

<論点>
・公共事業=雇用対策と理解しているか
・「雇用のミスマッチ」について言及しているか
・中央集権のせいでこうなるというなら北海道庁の談合をどう説明しているのか(説明で きないでしょう)。

4)役所批判型
 よくいるのが「官僚の不正糾弾」などと言っている候補者です。
 いや、不正を糾弾するのは結構ですが、それでなに?という感じです。

 官僚の大部分が真面目に働いているところを考えると、不正を糾弾することが目的となっているのは本末転倒で、本来は不正が無くなるような仕組みを考えるべきなのです。

 ましてや、大臣のくせに官僚をスケープゴートにして、実際の政策はおろそか、という民主党(旧自由党)の幹部の例もありますし、マスコミに人気のある自民党の女性議員も大臣時代、出張で昼食くらい選ばせろとかわがまま言ってレストランを2カ所取らせた例(キャンセル料は大丈夫だったのか?)などもありますね。

 そもそも「議員の視察」が最悪で、偉いセンセイですからアゴアシ付きでやらないとご機嫌を損なうわけですね。
 
 国家公務員倫理法も「特別国家公務員」の国会議員は適用除外ですし、自分の支持者への便宜を図る要求を平気やってくる(自民から共産まで)など、まずは政治家が襟を正せと言いたいですね。こちらが「状況を確認はできるが便宜は図れない」と言うと、呼び出して文句いう場合もありますから。
 議員の給料を上げるときは全会一致、税金による旅費などを削減する時は反対する野党。

 それを棚に上げて良くもシャアシャアと、というのが率直な感想です。
 いずれにせよ、個別の批判では政策立案能力がないために批判し易いところを挙げているにすぎないと断言できます。

<当選させてはいけない政治家>
・官僚は悪い、としか言わない人

<論点>
・官僚の不正糾弾は結構。でも政治家(特別国家公務員)は?
 例えば、6月2日のお昼に解散したので、国会に出勤は1日半。しかし、歳費は137万円満額もらえます。税金の無駄遣いを糾弾するなら28日分返上したら?
・官僚に頼るから官僚の支配になる。国会議員はしっかり勉強して欲しい。

5)「自民独裁許すな」型
 そもそも自民党の一党政権を許しているのは野党がだらしないからで、野党がきちんとした政策担当能力を示せない根本的な問題を隠してます。
 選挙で選ばれた議員が憲法で定められた間接民主制に基づき指名された首相なのに、「自民独裁は民主主義に反する」「国民は望んでいない」などは、根本的に民主主義というものが何かを勉強し直した方がいいと思います。
 国民が望んでいないなら次の選挙で勝つか、と。ましてや小選挙区制にした時点で間違えてるってーの。

<当選させてはいけない政治家>
 「自民独裁許すな」と言っている人

<論点>
・選挙で選ばれている以上、独裁ではないわけです。議論の余地はありません。民主主義の勉強をやり直した方がいいですね。
 

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