出発前に戻る

 

 

第1日目(2000年8月17日・木曜日)

 またしてもほとんど眠れなかった。4時過ぎに起きなくちゃというプレッシャーに負けた形、情けない限りである。2年連続の睡眠不足、どうせならと思い、去年と同じく鴬谷駅を5:07に出発する山手線で、まずは浜松町に向かう。これまた去年と同じく、座席はほとんど埋まっていた。まだ早朝なのに、すでに大汗をかいているサラリーマンが乗っている。大変なんだなとは思うが、こっちは旅行モード全開だ。すいませんねえ。

 浜松町で乗り換え、今度は東京モノレールの乗客となる。去年と同じ時間に行動するのもさすがにアホらしくなったので、去年より1本早くして5:27の列車に乗った。座席は5割程度しか埋まっておらず、静かなことこのうえない。寝たら起きられそうにないので窓の外をキョロキョロすると、大田区の方角がだいぶ暗い。雨でも降っているのでは?飛行機が揺れたらヤだな・・・

 朝もはよから大混雑の羽田空港、さすがに夏休みで家族連れが目立つ。なんてったってお盆が明けたばかりで、お盆に用事があった人やお盆を外した人は、ちょうど繰り出す時期なのだろう。そんな羽田から、今回の旅行で空路北海道入りするのはわずかに2人だ。先発している連中が起きているのか確認の電話をすると、バッチリ起きていた。彼らが起きてくれないと、今日の計画がパーになってしまうのだ。それにしても、羽田から千歳までの飛行機と、札幌市南区Ts家から一般道で千歳までがほぼ同じ時間なのか・・・

 飛行機は順調に飛んでいる。例によってJAS103便、機材はB777。ともすれば全席でゲームが楽しめると広告が出ていたが、この機材ではないらしい。もしゲームができたとしても、どんなのができるのだ?変わったサーヴィスだ。外を見ると、関東から出たあたりで晴れてきた。何か見えるかと機内のモニタを確認すると、十和田湖のそばを通るはずである。真下に見える水は十和田湖?とか言っていたら、なんとそれは陸奥湾だった。なんで間違えたんだろう?

 有珠山に邪魔されることなく、まったく見事なくらい定刻に千歳空港到着。すでにTsたちも到着していて、アッサリと合流する。とりあえず空港内で朝食を食べるが、僕は自宅で済ませてきたので、コーヒーを飲む・・・はずが、ソフトクリームに惹かれてしまった。どうも北海道にくると、アイスや牛乳を摂取しまくるような気がするのだが・・・いくら北海道とはいえ、さすがに晴天で暑かったからということにしておこう。

 この日のルートは、現地ガイドたるTsに完全にゲタをあずけてある。まずは彼の運転で支笏湖畔を抜け、苔の洞門へ。どういったわけでこういった地形になったのかわからないが、とにかく画像を見ていただこう。こういった状態が数百メートル続き、周囲の岩はビッシリと苔が生えている。風も涼しく感じられるが、さすがに夏休み、だいぶ人出がある。

(写真提供・へら氏、まるねさん)

 

 小1時間ほど散策してから出発、国道276号を大滝村のほうへ。途中、道の駅「フォーレスト276大滝」で昼食。大滝村の名物はまいたけということで、まいたけカルビ丼なるものを注文してみたが、出てきたのは普通のカルビ丼だった。さらに、きのこ汁も頼んでみたが、やたらとぬるい。どうなってるんだろう?

 昼食後は、僕がハンドルを握った。なぜかハッチバックを開けっ放しで走り出すという暴挙を犯し、さんざんコキおろされながらの運転だ。誰だよ、閉めないで堂々と車に戻ったヤツは・・・犯人は杳としてわからず、なんだかハメられた気分で運転することしばし。スキーでお世話になったルスツリゾートの脇を通り越し、留寿都村内の“赤いくつ公園”なる場所へ。赤い靴履いてた女の子がどうのこうのという話らしいが、それよりも見せたいものがあるとTsがうれしそうに言う。彼が半笑いで指差したそこにあったのは・・・

高らかに笑う浪越徳治郎先生。「命の泉」も涌き出している。
(写真提供・へら氏)
 出身がこの近くで、疎開もこっちのほうにしていた縁で立てられたそうな。先日逝去された先生の御冥福をお祈りいたします。

 羊蹄山にまっすぐ向かう道道をひたすら走り、お次は京極の吹き出し公園へ。羊蹄山麓には、山から地下水となった水が地上に出ている箇所がいくつもあり、その中でもここはメジャーな場所らしい。なんせ、水お持ち帰り用タンクなんかも売られていて、誰もが凄い勢いで水を汲んでいる。リヤカーにポリタンクを満載し、数十リットルを一生懸命持ち帰る人なぞ、いったい何に使うんだ?肝心の水は、真夏だというのにかなり冷たくておいしい。天然の冷水をうまいと感じられるのは、幸せなことだ。

 再び国道276号を倶知安方面へ走る。それから国道5号・国道229号を通り、積丹半島をドライブする。積丹といったらウニが有名ということくらいしか知らないので、楽しみだ。途中、泊原発の近くを通ったときにオービスレーダーが激しく反応した。何か目に見えないものが・・・

 外は快晴である。穏やかに晴れ渡った日本海を見て、Tsが「こんなの日本海じゃない」と言ったのが印象的だ。どこまでも静かな日本海沿いを、ひたすら走る。積丹半島というと、数年前にトンネルの上の山が崩落して犠牲者が出たことがあった。その後に開発局が危険なトンネルがあるか調査したら、危険箇所だらけだったことを覚えている。実際に現地に行ってみると、積丹の岩盤は本当に危険だ。切り立ったほぼ垂直のガケが海のすぐそばに立っていて、そこをなんとか削って国道が走っているようなものである。その岩は裂け目だらけで、落石防護ネットなんて役に立つのだろうか?俺の運転中に、崩れてくれるなよ。

晴れ渡る日本海。

それを眺める僕たち。(写真提供・まるねさん〜2枚とも〜)

 

 積丹半島をぐるっと周り、余市まで来た。ところが、国道5号が混んでいる。昼間の時点では、18時半には札幌に余裕で戻れるだろうとタカをくくっていたのだが、雲行きが怪しくなってきた。なんせ、これからビール園でしこたま飲むつもりなのに、肝心のビール園の営業時間が気になるほどだ。下道は混んでいてもうどうにもならない。想定外ではあったが、高速道路(札樽道)を利用して時間を稼ぐことにした。ちなみに「さったるどう」ではない。「さっそんどう」である。

 札幌市南区澄(中略)ハイツ201のTs家に着いたのは、19時だった。僕はここで泊めてもらうので荷物を置き、その他の人は荷物持参で出発。今夜は、ホテル組とTs家組とに別れて札幌泊なのである。明日の予定を鑑みた作戦なのだが、詳しくは2日目にまわそう。で、中島公園の近くにある、去年も利用したホテルへ。とりあえずチェック・イン、荷物を置いてもらうことにする。僕とTsは部屋に入ってもしかたないので、表で待つことにした。8月の中旬だというのに、すでに札幌には涼やかな風が吹いている。

 本来ならサッポロ・ビール園(以前、大いに盛り上がった)に行くつもりだったが、移動の手間と時間を考え、ホテルにほど近いキリン・ビール園に初めて行くことにした。どうせ飲み放題ジンギスカン食べ放題で値段は同じようなものだから、と考えたのだ。そんなキリン・ビール園、ジンギスカンはサッポロよりもおいしく感じたが、こぎれいな建物は、僕にはディズニーランドのスペース・マウンテンを想像させた。だから、雰囲気はサッポロに比べようもない。

 ホテル組と別れ、Ts家に戻る。明日は早起き、しかも僕とTsは1日中運転である。早く寝なければと思い、ビールつまみに日本酒を飲むなどという愚は犯さなかった。

 

第2日目に続く

「2000北海道ノート入口」に戻る