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第4日目(8月25日・金曜日)

 グッスリ寝て、8時に起きる。外は気持ちのよい晴天で文句なし!そして僕自身も快調・・・ではない。なんかおかしい。喉に妙な張りがある。実は、夜に焚いていた蚊取り線香を消し忘れたために、1巻き燃やしてしまったのだ。それが喉にきたようで、声を出すのがとんでもなくつらい。朝食に食べた大豆のトマト煮をうまいと感じられたので、声帯だけがおかしいようだ。ただし、ちょっと痛みもあるので、念のため腹7分目にする。

 9時にホテルを出発、昨日の道をひたすら戻る。出発した時は快晴だったのに、高度が上がるにつれて霧が出てきた。ブラインド・コーナーで霧は怖い。バスのスピードは大したことないから事故にはつながらないだろうが、ときたまヒヤっとすることもあった。

 100分ほどでドチュ峠のてっぺんに到着、肌寒く感じる峠の茶屋で、昨日のようにお茶を飲む。外はやはり肌寒いので、温かいお茶がありがたい。ゆっくりとお茶を飲んでいると、熟年の西洋人旅行者御一行様が現われ、峠の茶屋が一気に活気づいた。それにしても、なんで西洋人はタンクトップで平気なんだ?

 峠を出発して、バスは下りに入った。ここで、ゲンボさんにゾンカ語を教えてもらおうということになった。中学校の英語の授業のように、ゲンボさんの発音をまねるという形式である。こんにちはが「クズ・ザンポー」、ありがとうが「カディン・チェ」。どっちも語尾に「ラ」とつけると、丁寧な表現になるのだそうな(ex.カディン・チェ・ラ=どうもありがとうございました)。乾杯が「タシ・デレ」、お腹が空いたは「ナ・ト・ケチ」。他にもいろいろ習ったが、なかなか整理ができない。

峠付近に生えていた、地衣類の植物・サルオガセ。木の葉のようにも見える。

 

 昨日のシムトカ・ゾンを望むところで写真撮影小休止をしただけで、バスは首都・ティンプーに戻った。そして昼飯前に向かうのは紙すき工場だ。島根県のある町と紙すきの交流があるとかで、日本語ができる作業員さんが案内してくれる。小さな工場だが、手漉きで紙が作られているのを見るのは新鮮だ。なんせ、日本でも見たことがない作業だから・・・そして、工場の隣にあるお土産紙製品屋で、レターセットと和本を買った。手漉きの紙だからか、使いづらそうだが味わいのある品だ。1つ250Nuで、4つで1000Nu(2500円)を支払う。初の大きな買い物だ。さて、誰にあげよう?

紙すき工場の作業風景。

 

 昼食を宿となるドゥック・ホテル(2日目に泊まったホテル)で取る。この昼食で、“スパゲティー・ミートソース”なるものが登場するが、見事なまでに伸びきっている。で、必ず一品は辛いものがある食事、今回は鳥肉のガーリック風煮込みが辛い。でもやはりうまい。食後、団費のぶんの現地通貨が足りなくなってきたので、両替をしようとフロントに行くと、金がないから5000円までしかできない、と言われた。なんでやねん。

 午後は雨になってしまった。それなのに、メゲずに観光である(もっとも、雨期に旅行しているのだから文句を言えたものではない)。まず向かったのは王立美術学校。仏教美術(絵画、彫刻、版画など)の専門家をつくるための学校で、生徒は普通の小学校などには行かず、ひたすら仏教美術を学ぶのだそうな。ただし、さすがに子どもは子どもだ。授業見学をさせてもらうと、低学年の子は僕たちが気になって授業にならない。見学を終えると、学校内の購買(?)で卒業生の作品を売っているのでどうか、ということになった。ちょっと高かったので僕は買わなかったが、一行の1人が仏画を購入、その価格交渉をその場にいた全員が自主的かつ積極的に手伝う。確か50ドル以上の値引きに成功し、ホクホクしながらバスに戻ったはずだ。

高学年の仏画クラス。

低学年クラスは先生が指導中だった。

 

 次に向かったのは国立図書館。1階は普通の図書だが、2階・3階はお経がひたすら集められている。どれも貸し出し可能らしいが、借りる人っているのだろうか?とりあえずお経を開いてみるが、まるでわからない(あたりまえだ)。

蔵書が全部経典である図書館2階にて。

 

 図書館を後にして、バスは坂をのぼりはじめた。向こうの方にティンプーのゾンであるタシチョ・ゾン(ここだけゾンの名称に地名が入らない)が見えてきた。さすがに世俗世界のトップである国王の執務室や、宗教界のトップである大僧正猊下の住まいが一緒になっているだけのことはあって、特に大きく感じる。それを見下ろしながら写真を撮れるのだから、気分がいい。

中央の建物全部がタシチョ・ゾン。その右後方は国会議事堂。

 

 その写真撮影ポイントのちょっと上にあるのが、ドゥプトプ尼僧院だ。尼僧院なのに、拝観は問題なくできるそうな。入ってゆくと、年輩の尼僧が土でミニ仏塔を作っている。それが自行なのだそうで、笑顔がとてもいい。そして、本堂にも入れてもらえた。4人の尼僧がお経をあげていたが、やっぱり僕たちが気になっているようで、キョロキョロしている。それをものともせずに、こちらも般若心経をお唱えする。
 ブータン国内で滑走路を除くと最長と思われる直線道路(200m)を走り、バスは前国王記念チョルテンへ。前国王は仏塔を建設しようと発願したものの、その工事の最中に亡くなってしまい、その仏塔が完成後に前国王のメモリアル・チョルテンとなったそうな。この中は、とにかく歓喜天だらけ!エロ寺院とは思わないが、“ことに及んでいる”ところから究極の悟りを見つける思想、僕には簡単に理解できそうにない。

メモリアル・チョルテン正面。内部は撮影禁止である。

 

 この日最後の観光ポイントは、さっき写真撮影だけ済ませたタシチョ・ゾン。さすがに国王執務室をはじめとする政府の重要な機関、さらには大僧正猊下をはじめとする宗教界の重要施設で入っているので、17時以降でないと敷地内に入れない。もちろん、警備の兵士がそこらへんにいて、目を光らせている。さらに、外観の見学しかできないということで、中庭の風景などは見られないのがやや残念か。きょろきょろしていると、国王・大臣専用出入口に車が着いた。VIPのお帰りか?兵士に聞くと大蔵大臣がお帰りになるという(教えてくれるほうもくれるほうだと思う)。大蔵大臣が出てきたところでミーハーに手をふってみると、ふり返してくれた。支持者でもないのに、妙にうれしい。なお、国王陛下は国内を漫遊中で不在らしい。民の意見をこまめに聞いているのだそうな。

国王・大臣専用出入り口を撮影。壁画が見事なのだが、見えますか?

 

 ホテルに戻った途端に、大雨になった。外をぶらつこうと思える状態ではないので、ゆっくりすることにした。食事はいつもどおりの見慣れたメニューだが、ほとんど辛くない。そろそろ、ホントに辛いものを食べてみたいなあ・・・また、この日は添乗員さんの(○×回目の)誕生日。ケーキが用意され、みんなでお祝いする。ちなみにケーキの味は、そんなに甘くないもののしつこくなくておいしかった。

 この日、なぜかシャワーからお湯が出なかった。一昨日泊まった部屋なのに?

 

第5日目につづく

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