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第1日目(1999年2月24日・水曜日)
東京は雨、けっこう降っている。京成のスカイライナーの切符はすでに購入済みだったが、京成上野駅まで行くのが結構めんどくさい。鴬谷駅からJRで日暮里まで行き、そこから乗ろうかとも思ったが、父が車で京成上野駅まで送ってくれた。
スカイライナーに乗るのも久しぶりだ。しかし、座席は悲しいほど空いていた。日暮里で乗ってきた人がいたものの、あんまり大した人数ではない。スキー板を持った人も乗ってきた。カナダでスキーかな?ともかく、5割にも満たない車内・雨の止まない車窓。嫌でも日本が陰鬱に思えてしまう。
16時前に成田空港第1ターミナル到着。ボディ・チェックを受けて(係りのおじさんにノースウエスト=NW=001便でバンコクに向かうと言ったら、001便は以前に北京行きだったんだよと言われ、困惑)、出発ロビーに向かう。こんな天気にもかかわらず(あたりまえだ)、ロビーはごった返していた。うろうろしてチェックイン・カウンター(ここが集合場所)に到着、待つほどなくH先生をはじめ、一行7名全員が集まった。この7名は先生が2人(H先生とI先生)、大学院生が4人(Dさん、Hさん、Kさん、Iさん)、学部生は僕1人。なんとも不思議な構成だが、他にもこのツアーに参加した人が(どこかに)いることだろう。今はどこにいるか分からないが、どんな人たちか楽しみだ(添乗員はいないので、現地に着かない限りわからない)。
NWのチェックイン・カウンターは長蛇の列だったが、面白いように進んでゆく。スーツケースを預け、次に出国審査。これまたあっさり終わって、もうサテライト入り口だ。だが、出発まではまだまだ時間がある。とりあえずコーヒーでも飲んで、免税店でも冷やかそう。僕は特に買い物をしなかったが、先生達は大量の酒(現地の酒はうまくないらしい)とタバコ(現地のタバコは???)を買い込んだ。
43番スポットに駐機中のNW001便は、5分遅れで出発と案内されている。なんで出発の40分前から遅れが生じるのか分からんが、ともかく遅れるそうな。その遅延案内は、日・米・中・タイ語で案内されるのだが、中国語では「ノースウエスト航空」が「西北航空」になっている。へんなの。ついでに、アメリカの航空会社が001便を成田からバンコクに飛ばしているというのも、とっても妙な気がする(後で知ったのだが、NW001便はロサンゼルス発成田経由バンコク行きだった)。
18:20、出発予定時刻になった。機内は満席、日本人だらけだ。シートベルトはしたし、動くのを待つだけ・・・だが動かない。18:40になっても動かない。「ただいま成田空港はラッシュ・アワーにあたっており・・・」というアナウンスがあって初めて納得。滑走路1本じゃあ、しかたないよなあ。離陸直前に、誘導路から180度ほど周りこんで滑走路に入るのだが、我らがNW001便の後にも7機!のジェット機がついてきていた。確かに渋滞だ!!こうして、地上から離れたのは19:00すぎだった。
さて、機内でまず楽しみなのは機内食。早く配膳してほしいのだが、日本上空は気流が悪い。雨雲がなにかとんでもないものでも引き連れてきたのだろうか?ともかくよく揺れる。空きっ腹にこの振動はこたえた。機内食が僕の手元に届いたのは20:30、ナイフとフォークが金属製なのにまず驚いた。メインディッシュはチンジャオごはん。ピリ辛アツアツでけっこううまい。ほかにはシュークリームみたいな形のパンと、冷ややっこみたいな形のケーキ。まずコーヒーで咽を湿らせたかったが、どうやら食後まで出ないらしい。仕方がないので(?)ビールを飲んだ。
食べて飲むと、あとはお決まりの映画。僕はヘッドホンでクラシック(曲名のガイドは英語だから、何を言っているかもちろん分からない)を聴きながら、映画の字幕(中国語)を眺めていた。こう書くと僕は中国語が得意みたいだが、そんなことはない。単に、知っている単語が出てきた時に何だっけ?と思う程度である。本当は寝たいのだが、興奮しているためかまったく眠れない。隣席のDさん(大学院生)は爆睡している。それにしても、タイ人のフライト・アテンダント(改正男女雇用機会均等法対応)はきれいだな。
まもなく着陸というアナウンスがあった。窓のブラインドを閉めろ、というアナウンスもあった(隣席のDさんが聞き取ってくれた)のだが、半分以上のブラインドは空いている。別にフライト・アテンダントが注意しないことをいいことに、夜のバンコクの景色を眺める。現地時間でもう23時半(日本より2時間遅れ・日本時間だと25時半だからさすがに眠い)なのに、バンコク名物『渋滞』が上空から見えた。こんな時間に渋滞には引っ掛かりたくないなあ。
着陸したのは23:37。真夜中なのに気温は32度、しかも湿度だって半端ではない。ターミナル内はさすがにエアコンが効いているが、もっと冷やしたっていいくらいだ。さらに、こんな時間がバンコク・ドンムアン国際空港のラッシュ・アワーらしく、入国審査の列は途方もなく長い。もちろんオーバー・タイムだから、係官の作業は遅く、やる気のかけらも見えない。みのもんた似の係官は、僕が「Hello」と言ったときだけニコッとしたが、すぐにムッツリ顔に戻った。ただし、何か聞かれることもなく、パスポートにスタンプをポンポンと押すと、僕の前に投げ返した。
24:45をすぎて荷物をピック・アップすると、空港には旅行会社の現地スタッフ(日本語があやしいタイ人のお姉さん)がいて、ホテルまで案内してくれる。そこで、今回のこのツアーは、僕達一行7名だけだということが判明した。たった7人、だからこそ機動力はある。空港からホテルまでの移動は、ワゴン者1台でいいのだ(スーツケースは別の車)。そんなワゴン車は渋滞を抜け(5車線からいきなり2車線になったりするのだから、渋滞は当然だ)、一般道を110kmくらいで快走する。どうも路面がゴツゴツしているのだが、暑いバンコクではアスファルトで舗装ができないのだろう。なんだか、空港の誘導路みたいな舗装だ。そんな道を車はひたすら走る。なんでこんなに空港から遠いホテルなんだ?ホテル・サンルート・バンコクという高層ホテルは、空港から20kmは離れていたのではなかろうか。ホテルに着いたのは25:20、日本時間だと午前3時過ぎ!眠くてたまらないところに、旅行会社のおねーさんが僕達に無情の言葉をかけた。
「モーニング・コールは5:30です」
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