説明書,同意書,調査書の内容抜粋しておきます。
■臍帯血バンクと臍帯血採取についての説明書
- 骨髄移植は難治性白血病、重症再生不良性貧血、先天性免疫不全症や先天性代謝以上等の患者さんの病気になった骨髄の細胞を健康な骨髄の血液幹細胞(血液を造るもとになる細胞)と入れ替える治療法です。したがって骨髄移植を行うためには白血球の型(HLA)の一致した血液幹細胞の提供が必ず必要です。しかし家族内で骨髄の提供者が見つかる可能性は約25%なので、残りの約75%の患者さんでは家族以外の提供者を探さねばなりません。そこで1992年骨髄提供者の供給目的として骨髄移植推進財団(骨髄バンク)が設立され1998年12月までに1800例以上の非血縁者間骨髄移植が実施され貴重な命が救われました。しかしながら骨髄バンクに登録された12万人以上のドナーの中にもHLAの一致した方をみつけられなかったり、骨髄採取のために提供者の方に全身麻酔をする必要がある等の理由のためなかなか骨髄移植の必要な患者さん全員に提供者を見つける事が難しく、また慎重に提供者の方の同意を得る必要があるため登録から移植までに約半年かかり一部の患者さんでは骨髄移植の最適の次期を逃してしまうこともあります。
さて、最近の研究により臍帯血には骨髄の劣らず造血幹細胞が含まれていることが証明され、臍帯血の造血幹細胞を利用して造血幹細胞移植をするための活発な研究が始まりました。1988年に世界で最初の臍帯血幹細胞移植が先天性の再生不良性貧血の5歳の男児で成功したことが報告されて以来、世界中で臍帯血幹細胞移植が試みられるようになり、1998年8月の時点で兄弟から約200例、臍帯血バンクから約700例の臍帯血幹細胞移植が実施されています。現在すでにアメリカやヨーロッパでは多数例の臍帯血を採取、保存する臍帯血バンクが稼動を始めています。臍帯血バンクの特徴は提供者である妊婦さんとお子さんに全く危険が無いこと、必要な時すぐに患者さんに造血幹細胞を供給できる事、多数の臍帯血を保存する事によって稀なHLA型の臍帯血を得ることが出来る事などで、骨髄バンクと協力することにより造血幹細胞移植の必要な患者さんのほとんどで造血幹細胞移植を行うことが可能になります。そこで私達は臍帯血バンクを設立し臍帯血移植が必要な患者さんへの提供をさせていただいております。そこでこの度皆様方に臍帯血のご提供をお願い申し上げる次第です。- 臍帯血の採取はお子様が生まれた後に母体から胎盤がでる前に臍帯から血液を集めます。出産後は不要となる臍帯中の血液を集めるのですから、お子様はもちろんお母様にとっても全く危険はありません。
- 臍帯血の採取は正常分娩の方にのみお願いを致します。
- 集められた臍帯血は、臍帯血バンクで大事に保存されます。
- 提供された臍帯血の使用については臍帯血バンクにまかせていただくことになります。
- 提供者の方のプライバシーは守られます。
- お子様の臍帯を取るのではありませんので、お子様の臍の緒についての心配はありません。
- 十分量の臍帯血が採取された場合は1ヶ月後と半年後にお子様の健康状態をお手紙にてお伺いいたしますので宜しくお願いいたします。
- 臍帯血の採取に同意していただいてもいただかなくても母子ともに何ら利益、不利益はありません。
- 臍帯血の安全性を確認するためにお母様の血液も10cc採取保存させていただきます。
- 出産される時の状況によっては御同意をいただいても臍帯血が採取されないこともありますので御了承下さい。
- 臍帯血採取に関する説明書をお読みになって御同意いただければ同意書に署名捺印していただくと共に臍帯血提供者調査用紙の項目にお答えいただけませんでしょうか。宜しくお願いします。
■同意書
- 私は××医師より臍帯血バンクと臍帯血採取の説明書に基づいて説明を受け十分理解したので臍帯血の採取と保存に同意致します。
- 難治性白血病や再生不良性貧血などの治療のために臍帯血バンクが必要であることを理解しました。
- 臍帯血採取への了解
臍帯血採取は母子にとって安全に行なわれることを理解しました。- 私の提供した臍帯血が臍帯血バンクのためにのみ使用されることを了解しました。今後提供した臍帯血の使用については異議を申しません。
(以下署名欄)
■臍帯血提供者調査用紙
- 御家族の方の中に先天性の病気の型がいらっしゃいますか。
- 御母様がいままでに以下にお示し致します御病気になられた事があるかどうかお答え下さい。
[B型肝炎,C型肝炎,悪性腫瘍,糖尿病,内分泌疾患,神経疾患,膠原病,血液疾患]- いままでに輸血された事がありますか。
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参考文献
- 臍帯血バンクと臍帯血採取についての説明書、同意書、調査用紙
E-mail:shimizu@ops.dti.ne.jp