考古学のおやつ たぬぼり探偵社

お早いお帰り

たぬぼりブックス

21/Jun/1999(Mon)登録, 22/Jun/1999(Tue)補足, 25/Jun/1999(Fri)補足
「武器形青銅器流入の一形態−高松田中遺跡出土青銅器から−」

吉田広,1999,「武器形青銅器流入の一形態−高松田中遺跡出土青銅器から−」,古代吉備第21集,42-57
(25/Jun/1999補足)このはなしの続きは走馬燈に載ってます。

わぁーい\(^^)/!!何が嬉しいたって,愛媛大学吉田広さんから抜刷が届いたんですよ。嬉しいのなんのって。吉田さん,どうもありがとうございましたm(_ _)m。

え?それ,うちにも来たよって?それは,それ(……って,何が何だ?)。私には私なりの意味があるんです。


何度かお話ししましたが,5月に群馬で行われた考古学協会の研究発表を聞きに行きました。研究発表も面白かったのですが,やはり図書交換会でしょう。いつもながら,ものすごい賑わいです。

と言っても,西日本の方には実感が沸かないかも知れません。第一,西日本で協会の大会を開催しても,図書交換会の会場が狭いですよね。東日本の方が地域の研究誌が多いという事情もあるのでしょうが。

で,報告書は直接関連の物があまりないので,会場をぐるぐる回って雑誌とかを見て回っていたわけです。資金に限りはあるし,手で持って帰るので,あまり大量には買えません。

岡山県のテーブルでは,報告書を並べている隣りに『古代吉備』の最近の号が並んでいました。内容的に,最近好調の雑誌の一つだと思っていたので,いくつかの号を手にとって見て,やはりこの雑誌は買うべしと判断したのでした。

ところが,先ほどのような貧乏くさい事情もありますし,まだ会場をめぐり始めたばかりだったので,

「まだ,何か高価で重要な本があるかも知れない。もう少し回ってみてから買おう。いかにこの人手でも,そう簡単に売り切れないだろう。」

などと手前勝手に考えて,とりあえずその場を離れたのでした。

そんなわけで,時々休憩しながらぐるぐる回ってました。途中で早稲田の学生さんをギャグでかわすのに気を取られて『古代』の102号を買い損なうという大変なミスもありました。後で気づいてしまったと思いましたが(^^;ゞ(『遡航』はチェックしたんだけどな(^^;)

それ以来,早稲田からのアクセスが減った気がする(^^;(^^;。
(22/Jun/1999補足)さっそく早稲田大学からアクセスがありました(^^)。ありがとうございましたm(_ _)m。

で,だいたい回って,よぉーし,後は『古代吉備』だ。資金も残ってるし(ほんと貧乏くさい(^^;),買うぞー。と思って,『古代吉備』を販売していたコーナーに向かったのでした。

「あれ?この辺だと思ったけど。」

気がついたら,『古代吉備』を販売していたはずの場所を通り過ぎています。そんなに方向オンチだったか?引き返して見ると,あれ?やっぱり通り過ぎてしまいました。おかしいなぁ。

確か,岡山県の報告書の隣で販売していたはずです。その報告書はすぐ見つかりました。でも,隣にあったはずの『古代吉備』はありません。気のせいか,岡山県の報告書がやたら盛大に販売されてるような気がします。なぜでしょう。
いえ,気のせいではありません。報告書販売の場所が,さっきの2倍になっているのです。『古代吉備』があったはずの場所まで,報告書の場所になっていたのです。『古代吉備』は売り切れてしまったのでしょうか。ま,まずい……(^^;ゞ。

「あのぅ。『古代吉備』はどうしたんでしょうか。」

失礼も顧みず,報告書を販売している人に聞いてみました。

「あ。もう帰りました。」

ぇええ……ToT。あぁ,最初見たときに買っときゃよかった……。


少なくとも関東でこの業界にいる人なら,協会で欲しい本を買い損なうことの後悔がどんなものか,共感してくださることでしょう。ほかにいくらでも入手法があるとはいえ,やはり「失敗した」という気分は拭えないのです(ちょっと誇張)。

(自己ツッコミ)
今にして思うと,4月に考古学研究会に行ったときにはなぜか買わなかったんですよね。考古学協会のあの独特の喧騒が,改めて買う気にさせたのでしょうか。不思議です。

そうしたところに……。

わぁーい\(^^)/!!何が嬉しいたって,愛媛大学吉田広さんから抜刷が届いたんですよ。嬉しいのなんのって。吉田さん,どうもありがとうございましたm(_ _)m。

と,ここで冒頭の話に戻るわけです。

さて,ようやく内容のお話に入りましょう。でも,ファイルサイズが大きくなるから,ここから先は短めに(何のためのコーナーだ?)。

この吉田さんのお話は,中四国地方以東での細形の武器形青銅器の多くが「時間情報」を欠いていることを指摘するところから始まります(いかん,いきなり文が固くなった)。
そこで,「時間情報」を伴う資料を取りあげ,また,共伴する土器に対する編年観や,改変された青銅器の事例,青銅器模倣品の出現時期,さらに鉄器のスクラップ再利用に関する既存の研究なども考慮して,

金属器の東方流入の原初形態として,鉄・青銅ともに,スクラップの小型利器への再利用という形態があったことは確かである。〔吉田1999:54〕

と結論づけておられます(漢字が増えちゃった(^^;)。

短い論文ですが,周辺の問題を堅実に押さえた上での議論を目指しておられるようです。偉いなぁ。


武器形青銅器から話は外れますが,そうすると,大阪府茨木市・東奈良遺跡の「最古の銅鐸」はどうなっちゃうんでしょう。出土した遺構が「弥生中期後半」の溝と「時間情報」を伴っていると聞いてます。しかも,銅鐸に舌が伴ってるんだから,流れ込みじゃなくて,やはり銅鐸自体も中期後半のように,門外漢の私には思えるんですが,なんだか前期に作られた「最古の銅鐸」ってことになってるようです。

遅ればせながら吉田さんの論文を読みつつ,「最古の銅鐸」の報道を聞いていると,議論の落差にめまいがしそうです。

(25/Jun/1999補足)ひょっとしてめまいの原因は,ほかのところにあったかも。このとき言い忘れた重要なお話が,走馬燈に載ってます。

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