3.霞ヶ関を目指す方へ
(4)最初ですからこれくらいは・・
1)見た目
最近は茶髪やロン毛、果ては男性でピアスなどいろいろな人がいます。
しかし、これだけは理解していただきたいのは、芸能界やファッション業界などと比べると公務員業界はそういう人はとても少なく、また、国民全体の目や公務員内部の目は茶髪等に対しては見る目が厳しいと言うことです。
そういうスタイルを社会人になってもやるのであれば、認められるためには人一倍働く覚悟が必要だということです。そして礼儀なども人一倍きちっとしていないと認められないということです。
要するに、体育会系ではないですが、見た目に気を遣っている暇があったら早く一人前になれ(中身に気を使え)、というわけです。
例えばプロ野球の世界で清原と同じ行動を新人がとっていたら、どうなるかはいうまでもないでしょう。
入り口で「TPO」のわからん奴め、と思われてしまうわけですね。
ですから、個人的には、新人の時くらいは一般的な社会人のヘアスタイルを強く勧めます(特に男性のピアスは仕事が終わってからつければ十分だと思います)。
それでも茶髪やピアス(男性)などをするのであれば、通常の新人より厳しくされるのを覚悟で頑張ってください。間違っても「何で俺だけ厳しく」「日本は古い社会」などと思わないでください。
外国でも同じです。
(2)服装等
服装で言えば、本省では男性はスーツとネクタイが原則なので、よほどのことがない限り問題ないと思います。
一方女性で学生時代の私服のような格好をしているのは、いかがでしょうか。
最低限スーツやジャケットなど襟の付いた服をいつでも着用できるような格好をしてほしいものです(女性のファッションはよく分からないので、うまく言えないのですが・・)。
お客様などに服装面で「女の子」扱いされないようにすべきだと思います。
また、当然ですが新人が幹部に決済をもらいに行くとき、あるいは会議の同席などの課を出たりする場合は上着を着用すべきです。上司が着てなくてもです(上司から不要と指示があれば別)。
このあたりは、省内の打ち合わせで幹部室も上着を着用しなくても良い場合があったりして、ケースバイケースですが、これらのケースバイケースがよく分からない段階ではきちんとすべきです。
周りは、そういうところもきちっとしているか見ているものです。
それとサンダルです。役所と言えばサンダルが有名ですが、机に向かっているときやトイレなどの際にサンダルを利用するのはともかく、外部の方との応対などにサンダルのままというのは、(相手は気付いても何も言わないでしょうが)非常に問題です。
周りがどうであれ、新人段階では机に向かっているときや深夜残業の時以外は、基本的に革靴とすべきです。
(3)言葉遣い(電話)
言葉遣い(電話)ではいわゆるビジネス敬語を使いこなせるかどうかにつきると思います。
これは例えば市販の本などの該当部分をコピーして机の前に張っておいてそれを見ながら数こなすなどして体に覚えさせるものだと思います。
ちなみに机の前に張るのが新人ぽく格好悪いという人もいますが(車の初心者マークへの意識と同じ原理ですね)、きちんと答えられない方がよっぽど格好悪いと思います。
いつも話している相手は別として、例えば「あした」とか「きのう」など、学生言葉を電話でいつまでも使っているのは相手から軽く見られるものです。
役所で時折聞く「お待ち下さい」も、「高圧的だ」と不快を感じる人もいるので、やめた方が良いと思います。
「少々お待ち下さい」と基本通りきちんといったほうが無難です。
その他、電話で気になるのが
・「お世話になっております」を言えない人がいる
・「○○といいますが、」など、謙譲語が使えない人がいる
・役所外に電話をかけたときに自分の部署と名前を名乗らない人がいる
などでしょうか。
このあたりは訓練なので、心がけてやるかやらないかで大きな差が出ると思います。
時折ある「○○県ですが、××さんいますか」などは、どうしようもないので他山の石として、そういうことのないようににしたいものです。
(4)応対
人との応対も新人はいくつか心がけるべきだと思うことがあります。
まず、挨拶(「失礼します」等)ははっきりと言うよう心がけた方がよいと思います。小声で申し訳程度に言うのは言わないも同然です。どうせ言うならはっきりと、というわけですね。
私自身なかなかうまくできなかったのですが、このあたりは訓練するしかないと思います。
実際、資料配付に来た職員が「何も言わない」あるいは「どうぞ」しか言わずに去っていくなら、アルバイトさんではなく職員が配布した意味がないと思います。
「○○課の××と申しますが、△△の資料です。(よろしくおねがいします)」くらいは言うべきだと思います。新人にとっては顔つなぎの意味もあるのですから。
また、お客さんが来たらすぐ立って応対すべきです。座ったままぼうっとしていたり、ひどいのになると座ったままで応対し、お客さんや他の課の人(要は先輩)が立って話しているというとんでもない例も見たことがあります。
相手は何も言わないでしょうが新人としては大変非礼ですし、すぐ噂は広まるものです。
座って応対するならまず先方に椅子を勧めてから話をするべきです。
また、目上の人や他の課に説明(資料配付の補足説明も含む)に行くときはまずは立ったまま説明する方が無難です。もちろんイスを勧められたら座るべきですし、立っているとおかしいケースもありますが、そのあたりのTPOが分かるまでは、きちんと立って説明するべきだと思います。
最後に。
職場の応対で相手方に「ご苦労様です」を平気で使う人がいますが、これは危険です。
一般にこれは目上が目下の者に言う言葉だからです。新人が使うのはもってのほかです。
「ありがとうございます」とか「お疲れさまです」等を使うべきです。
(5)手紙
手紙は出してしまえば誰にも文面が分からないので、ミスが分かりづらく、またミスがあったとしても相手も「手紙の文面が非礼だ」と直接文句を言うことはほとんどないのですが、心証を確実に悪くします。
ですから、新人の方はまずビジネスマナーの本のうち「手紙の書き方」を良く読み、業務上書く必要が生じた場合、最初は上司に「これでよろしいでしょうか」ときちんと確認した方が無難だと思います。
仮にうまく書けずに怒られたとしても、先方に不快感を与えるよりはるかにましですし、自分自身の将来のためになると思います。
(私が注意されたものも含め)特に目立ついくつかの誤用例を書きたいと思います。
一番多いのが相手に対する敬称の問題です。
一般に、「様」を使うのが常識で、基本的には「殿」は公文書や部内文書でしか用いないと覚えておくと無難だと思います。
例としては「内閣省小泉内閣課長様」や「福田課長補佐様」など役職に様をつける書きぶりが見受けられます。
例えば封筒の宛先に書くのであれば
「内閣省内閣課
課長 小泉 純 様」
が正しいわけです。
公文書や部内文書といった形式的(定型的)な文書と一般の文書の違いはしっかり区別したいものです。
その他、外部の人あてで「小泉課長殿」といった書きぶりも見受けられます。役所間の事務文書である場合は別として、封筒の宛名書きなどでは避けたいものです。
その他では
・「各位殿」→「各位」
※重複敬語
・「前略」→「拝啓」「敬具」
※手紙ではほとんど「前略」など使わない。前略するくらいなら右上に「事務連絡」と書いていきなり本題に入ってよい。
・外部の目上の人に対し、時候の挨拶など前文(「○○の候、時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」など)がない。
※相手により「平素より○○行政にご協力賜りまして厚く御礼申し上げます。」というパターンもあり
などがよく見られる例でしょうか。
いずれにせよ、内部文書や行政官の文書、外部への文書などで書きぶりは変わってきますので、TPOをよく考えてビジネスマナーに従って書きたいものです。
役所だから「殿」ばかり使うなどは恥ずかしい限りです。
最後によく見られる勘違いを。
文書の末尾に「相手から「小泉 拝」と署名があるものが見受けられますが、、 これは役所でよく使う謙譲の意味の「拝」であって、名前ではありません。間違っても「小泉 拝様」などと返事をしないでください。(笑)
(6)fax/メール
FAXについては、原則、要件だけを書くのは避けるべきです。
ひどいのになると「修正願います」としか書かれていないものを見たことありますが、いくらなんでもあまりにも非礼です。
手紙のような前文は不要ですが、最初に「平素よりお世話になっております」と末尾の「どうぞよろしくお願いいたします(申し上げます)」くらいは入れておくべきでしょう。
メールの場合も同様に自分より目上で課外の人がいる場合は「平素よりお世話になっております」など一言入れるのが適切です。もちろん部内メールで相手を良く知っていれば「お疲れさまです」やいきなり本題でも構わない場合もあります。
しかし、自分より目上の知らない人が含まれる発注などで、「みなさん」とか「こんにちわ」などの書きぶりは、本人は親しみを込めたつもりかもしれませんが、「バカか」と思われるだけでしょう。
そういうのは歓送迎会のご案内などにとどめておいてほしいものです。
(7)発注紙
発注紙については、基本的には他の例などを参考にすると思いますが、以下のようなことが記載されているか(あるいは口頭で補足する)だと思います。
・発注先(別の課の発注のとりまとめであれば、発注元も)
・発注目的
・その資料の用途や対象者など
・発注締め切り日
・提出方法(メール?紙?、修正後?見え消し?など)
・平仄(ひょうそく):そろえてもらう場合は様式を明記するかメール等でフォーマットを送る)
・提出先、問い合わせ先
その他、必要に応じ前回提出されたものや参考資料などを添付することになると思います。
私もそうでしたが、新人はこれらのいくつかが欠けていて、電話の質問やメールの問い合わせで仕事を増やすことになります。
しかし、これも訓練の一つで少しずつ完全なものになっていくのですが、ただ、人によっては何回やっても何かが抜けているという人もいます。このあたり、課の閑忙にもよりますが、他人に頼むときはこういう必要事項を確認してから発注するようしてほしいものです。
(8)その他
あまり最近は教えないのかもしれませんが、経験上気付いたことをいくつかその他として書きたいと思います。
まず書類の取り扱い。新人で「対外秘」や「取扱注意」等と書かれた書類や給与等の個人情報に関するものを平然と普通に(表向きで)机上配布したりする人がいるのは驚きます。
そういった取扱注意の書類や、あるいは人事情報などを配布するときは本人に注意喚起するか、裏向けで他人から見えないようにして置くのが一般的です。
一方、そういうことがなっていないのに、書類を何でもかんでもシュレッダーにかけるちぐはぐな新人もいたりします。
反古や一般的な情報や賞味期限切れの情報の書類などは古紙にして出すべきでしょう(とはいえこのあたりは役所によって異なりますが)。
電話メモなど、メモ用紙は面倒でも古紙の裏を利用したりするべきです。
また、新人できちんとお辞儀もできない人がいます。頭だけを「ぺこっ」と下げた程度ではお辞儀でありません。会釈です。
お辞儀すべき時はきちんとして、相手にそれをわかってもらわないとしないも同然です。
先輩とのすれ違い時などの会釈と同じではないようにしたいものです。
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