5)アジテーション (1)「あなたは今、勝利者なのです」 ○この選挙、この政権交代の勝利者は、国民の皆さんです。 「国民のさらなる勝利に向けて」(21年8月30日鳩山代表(当時)コメント) ○「今回の選挙の勝利者は国民の皆さん方」(21年9月16日首相就任会見冒頭発言) ○「変革の本番はまさにこれからです。今日を、その新たな出発の日としようではありませんか。」(21年10月26日所信表明演説) ○「政治が大きく国民の手に戻ったかどうか。それを確信していただける1年にするための正念場だと思っています。」(22年1月4日年頭記者会見)。 (2)「一緒に頑張りましょう!」 ○「日本は、140年前、明治維新という一大変革を成し遂げた国であります。現在、鳩山内閣が取り組んでいることは、言わば、「無血の平成維新」です。今日の維新は、官僚依存から、国民への大政奉還であり、中央集権から地域・現場主権へ、島国から開かれた海洋国家への、国のかたちの変革の試みです。 国民の皆さま、議員の皆さま、私たちの変革の挑戦にお力をお貸しください。 是非とも一緒に、新しい日本をつくっていこうではありませんか。 」 (21年10月26日所信表明演説) ○「この平成22年度予算を、来年召集する国会にできるだけ早く提出をいたします。これからも国民の皆様方とともに、よりよい日本、新しい日本をつくっていきたいと思っています。」(21年12月25日予算案閣議決定後記者会見) ○「人のいのちを守る政治、この理念を実行に移すときです。子どもたちに幸福な社会を、未来にかけがえのない地球を引き継いでいかねばなりません。 国民の皆さま、議員の皆さん、輝く日本を取り戻すため、ともに努力してまいりましょう。 この平成二十二年を、日本の再出発の年にしていこうではありませんか。」(22年1月29日所信表明演説) ○「議員の皆さん、皆さんが受け止めた、国民一人ひとりの願いを、互いにかみしめ、しっかりと、一緒に、実現していこうではありませんか。政党や政治家のためではなく、選挙のためでももちろんなく、真に国民のためになる議論を、力の限り、この国会でぶつけ合っていこうではありませんか。」 (21年10月26日所信表明演説) 「今年が、日本の国土に暮らすすべての人々にとって希望の持てる年となるように心より願っていますし、そのために仕事をするのが私たちのつとめです」(22年1月4日年頭記者会見)。 (3)我々も全力で頑張ります! ○「身を粉にして本年1年、私の指導力の下で精一杯、内閣は国民の皆さんのためにある、その原点を忘れずに行動してまいることをお誓い申し上げて、年頭に当たっての私からのメッセージといたします。」 (22年1月4日年頭記者会見) (4)皆様一人一人を気遣ってます ○「寒さ厳しい中、みなさん、風邪など召されていませんでしょうか? 受験生の皆さん、体調に気をつけて、ベストを出せるように努力してください。 おじいさん、おばあさん、お正月にはお孫さんの顔を見られますか? もう電話で声を聞かれましたか? お正月も休みなく働かれている方々、一人暮らしの皆さん、それぞれの環境の中で、穏やかな新年をおむかえでしょうか。」(22年1月1日年頭所感) ○「おじいちゃんには、おばあちゃんには、安心できる世の中になったね。若い皆様方には、働きたいけれども働く場がない。そうではなくて、働きたいから職業が見つかったよ。そう思っていただける1年にしたい。そして、お子さん方には未来を、希望を持って進めていけるな。そういう実感を持っていただける1年にしていきたい。」(22年1月4日年頭記者会見)。 (5)高名な古人の言葉を拝借 ○「私は、昨年末、インドを訪問した際、希望して、尊敬するマハトマ・ガンジー師の慰霊碑に献花させていただきました。慰霊碑には、ガンジー師が、八十数年前に記した「七つの社会的大罪」が刻まれています。 「理念なき政治」 「労働なき富」 「良心なき快楽」 「人格なき教育」 「道徳なき商業」 「人間性なき科学」、そして 「犠牲なき宗教」です。 まさに、今の日本と世界が抱える諸問題を、鋭く言い当てているのではないでしょうか。 二十世紀の物質的な豊かさを支えてきた経済が、本当の意味で人を豊かにし、幸せをもたらしてきたのか。資本主義社会を維持しつつ、行き過ぎた「道徳なき商業」、「労働なき富」を、どのように制御していくべきなのか。人間が人間らしく幸福に生きていくために、どのような経済が、政治が、社会が、教育が望ましいのか。今、その理念が、哲学が問われています。 (22年1月29日所信表明演説) ○私が尊敬するアインシュタイン博士も、次のように述べています。 「人は他人のために存在する。何よりもまず、その人の笑顔や喜びがそのまま自分の幸せである人たちのために。そして、共感という絆で結ばれている無数にいる見知らぬ人たちのために。」 (21年10月26日所信表明演説) (6)「宇宙の理」も語りかけます ○「地球のいのちを守りたい。 この宇宙が生成して百三十七億年、地球が誕生して四十六億年。その長い時間軸から見れば、人類が生まれ、そして文明生活をおくれるようになった、いわゆる「人間圏」ができたこの一万年は、ごく短い時間に過ぎません。しかし、この「短時間」の中で、私たちは、地球の時間を驚くべき速度で早送りして、資源を浪費し、地球環境を大きく破壊し、生態系にかつてない激変を加えています。約三千万とも言われる地球上の生物種のうち、現在年間約四万の種が絶滅していると推測されています。現代の産業活動や生活スタイルは、豊かさをもたらす一方で、確実に、人類が現在のような文明生活をおくることができる「残り時間」を短くしていることに、私たち自身が気づかなければなりません。 私たちの叡智を総動員し、地球というシステムと調和した「人間圏」はいかにあるべきか、具体策を講じていくことが必要です。少しでも地球の「残り時間」の減少を緩やかにするよう、社会を挙げて取り組むこと。それが、今を生きる私たちの未来への責任です。」 (22年1月29日所信表明演説) ・・・。多くは語りません。冷静にお読み下さい。行政のトップとしてちょっとおかしくないですか? 6)自画自賛 「総じて言えば、多くは実現できました。まだまだこれからです、これからにご期待下さい! 「ガソリン税などの暫定税率につきましては、熟慮に熟慮を重ねた結果、現行の10年間の暫定税率は廃止をするものの、税率水準は維持することといたしました。 思えば、この内閣は国民の皆さんとの約束から始まりました。新政権の運営は、この約束に基づくものでなければならないという思いで予算編成を行ってまいりました。実際には厳しい財政事情もあって、マニフェストでお約束したことすべてをそのまま実現することはできませんでした。国民の皆様方の声を聞いて見直した部分もございます。しかし、総じて申し上げれば、子ども手当、高校無償化、医療の再生など、マニフェストの多くのものは実現できたと思っておりますし「コンクリートから人へ」という基本的な理念もしっかりと貫くことができたと思っております。」 (21年12月25日予算案閣議決定後記者会見) ノーコメント・・。 7)再出発のために ・誇大広告 ・過去忘却 ・粉飾実績 ・二枚舌 ・アジテーション ・自画自賛 これだけ条件が揃えば、一般にはこれを悪徳商法というのだと思います。 しかし、さすがに民主党もわざと騙そうとしたのではないと思います(多分・・)。 これらの条件は、それぞれに原因があり、それを改善することで対応は可能だと思います。 ・誇大広告 財源が、実はそれほどなく、誇大広告であったことを率直に認め、謝罪する。 要は、支払う金額ばかり増えて、税を払う額が変わらないのでは破綻確実です。ましてやばらまきの財源を後世への借金でまかなうなど狂気の沙汰・・という以前に、デフォルトで国民困窮一直線だと思います。 今一番必要なのは労働者が安心して働ける場所を増やし、あるいは高齢者の方にもある程度の税負担等をお願いすることだと思います。 ところで、国家公務員2割カットを叫ぶ政党は多くても、現実に国会議員3割カットと書くだけで実行した政党がないのが・・悲しい現実だなぁ、と思います。 ・過去忘却 当たり前のことですが、契約前に言ってたことと全然違うサービスをしたりするのなら、当然悪徳商法として消費者センターなどに苦情殺到だと思います。 まずは過去の発言について、できないものは謝罪の上、誠意を持って対応し、今後は政府側として軽々しい根拠のない発言は控え、責任ある発言をするべきだと思います。 ・粉飾実績 まあ今後はそういうことは恥を知っていたらできないと思いますが・・。 仮に議員立法を出すなら、行政経験を踏まえて地に足がついたものにするべきだと思います。 ・二枚舌 前述のように、ケースバイケースで自分に都合よく言葉を換えるのはやめるべきだと思います。 ムダの「客観的定義」がないから何とでも言えます。イメージ戦術なわけです。 だから、「コンクリートから人へ」と言っておきながら、「必要なコンクリート」という訳のわからない発言が出てきてしまいます。 役人バッシングで正義の味方を気取るために二枚舌を使うのは、長期的には政府、ひいては与党民主党の信用を引き下げるだけだと思います(無論、時と場合によって定義が変わって叩かれる我々もたまったものじゃないです)。 ぜひ、天下りにしても、ムダ使いにしても、政府として定義を確定して、問題あるものをなくすべきです。 政府として、定義を場面場面で変えないようにするべきだと思います。 ただ、「ムダ」については、数年にわたる派手なアジテーションの結果、そして人気取りのために事業仕分けで未だにちょこちょこやっている結果、「もっとムダがあるに違いない」と市民は常に思うようになっていると感じます。 この巨大ブーメランに対しどう対応すべきなのか、私には思いつきません。 ・アジテーション ・自画自賛 さすがに市民も気付き始めていますので、言えば言うほど唇寒しでしょう。 相変わらずテレビでアピールしている愚かな大臣がいますが、市民の期待はテレビでアピールする時間があったら働け、ということではないか、と思います。 口だけしか動かせないのなら退陣するべきでしょう。 結局は、勉強不足で、現状認識が甘く、なにより行政の実務はトップ命令次第でどうとでもなると思っていたのではないでしょうか。 だから、政権交代から8ヶ月経ってた現在も、当事者意識がないような発言が大臣からぽろぽろ出てくるのだと思います。 その他、 ・権力というものがわかっておらず、子どもが鉄砲を持った状態になっていること ・行政のトップ(大臣も含む)の言葉の重みがわかっていないこと ・縦割り批判しておきながら、閣僚レベルですら横の連携が全然とれていないこと ・まだ選挙中心の発想であること ・修羅場の経験が浅いため、危機管理が不安なこと(危機管理のプロを官邸に雇用すべき) などなど・・。 これでは何のために小沢氏が党と政府で分業し、政府は政府でしっかりやってくれ、としたのかさっぱりわかりません。 いみじくも08年9月に小沢民主党代表(当時)が発言した「政権担当能力がない」はそれを見越してのことだと思います。 もちろん、細川内閣などで要職を務めたはずの鳩山由起夫氏がこのていたらくだとはさすがに計算外だったと思いますが・・。 いずれにせよ、短期的人気取りやばらまきはやめて、重要政策それぞれについてじっくり腰を据えて、工程表(ロードマップ)を作成して政策を練り上げることこそが求められていることだと思います ちなみに。 マニフェスト案件ですら難航しているのに、マニフェストに記載すらしていない外国人参政権が突然浮上し、優先的に推進されるのは全くおかしなことだと思います。 これこそ詐欺だと思います。 8)御用評論家やメディアの重罪 しかし、もっとも問題なのは評論家やメディアでしょう。 これまで挙げていたことのかなりの部分は、きちんと政策を見ていればある程度わかっていたことだと思います。 それをきちんと伝えずに、悪徳商法(※現段階では)の片棒を担いだマスコミや評論家の罪は重いと思います。 麻生憎しか自民党憎しかわかりませんが、カップラーメンの値段や漢字テストを筆頭に、ホテルのバーなど、政策とは関係ないゴシップを鬼の首を取ったように攻撃していて、リーマンショック時の世界金融への貢献、エコポイント制度をはじめとする補正予算、「飛翔体」、新型インフルエンザ(本件は評価は分かれますが)への対応などは無視してましたから。 特に、政権交代が間近に迫ると、「平成維新」だの「明治以来の大改革」、「戦後以来の自民党一党独裁政治の終末」など、事実と異なる煽りまでして、ひたすら持ち上げていた評論家諸氏は自らの不明を恥じて筆を折るべきだと思います。ていうか、どの面下げて平気でテレビに出ることができるのかわかりません。 ※余談ですが、22年5月17日のテレビタックルで屋山氏が郵政関係政策で原口氏を批判したら、原口氏に「古い」と言われていました。さんざん持ち上げてたのにねぇ・・(苦笑)。 民主党の政策をよく見れば無理なことが多いのはわかっていたでしょうに。 いかに自民党が憎くても、役人叩きが受けるとしても、踏み越えては行けない一線をメディアや評論家諸氏が簡単に踏み越えてしまっていたという点は、しっかりと記憶にとどめるべきだと思います。 それは、戦前通った道の繰り返しになりかねないからです。これは繰り返してはならないはずのなのですが。 戦前の反省をするのなら、メディアが、特定政党に一方的に肩入れし、ブームを煽るだけで実際の政策の分析をしないというようなことはやってはならないと強く指摘させていただくことで、結びとさせていただきます。 |