(5)雇用対策4法(平成20年)

4)期間の定めのある労働契約の規制等のための労働契約法の一部を改正する法律(案)

労働契約法(平成十九年法律第百二十八号)の一部を次のように改正する。
目次中「労働契約(第十七条)」を「労働契約等(第十六条の二―第十七条の四)」に改める。
第四章の章名中「労働契約」を「労働契約等」に改める。
第十七条に見出しとして「(有期労働契約における解雇)」を付し、同条第一項中「期間の定めのある労働契約」を「有期労働契約」に改め、同条第二項を削り、第四章中同条の前に次の二条を加える。
※加える条文は新旧対照表をご覧下さい。
第四章中第十七条の次に次の三条を加える。
※加える条文は新旧対照表をご覧下さい。
第十八条第一項中「前条」を「前章」に改める。

 これも新旧対照表で解説します。
改正後 現行
第十六条  解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
(有期労働契約の締結事由等)
第十六条の二 使用者は、次の各号に掲げる場合に限り、当該各号に定める期間を上限として、期間の定めのある労働契約(以下この章において「有期労働契約」という。)を締結することができる。
一 臨時的又は一時的な業務に使用するため労働者を雇い入れる場合 当該業務の存続期間であって三年を超えない期間
二 休業又は欠勤する労働者に代替する労働者を雇い入れる場合 当該休業又は欠勤の期間
三 一定の期間内に完了することが予定されている事業に使用するため労働者を雇い入れる場合 当該事
業の完了に必要な期間
四 専門的な知識、技術又は経験(以下この号において「専門的知識等」という。)であって高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。)を雇い入れる場合 五年
五 満六十歳以上の労働者を雇い入れる場合 五年
六 労働者がその都合により当該有期労働契約の期間の満了後に退職することが明らかな場合等相当な理由に基づいて、労働者が期間の定めをすることを求めた場合 三年
七 法令上特に認められた場合 当該法令により認められた期間
八 前各号に掲げるもののほか、有期労働契約を締結することに正当な理由があるものとして厚生労働省令で定める事由に該当する場合 三年
2 使用者は、有期労働契約の締結の際には、労働者に対し、次に掲げる事項を書面により明示しなければならない。
一 有期労働契約の期間
二 有期労働契約の期間の定めをする理由
三 有期労働契約の期間の満了後における当該有期労働契約に係る更新の可能性の有無
四 前号において有期労働契約を更新する可能性があるときは、当該有期労働契約を更新する場合又はしない場合の判断をするための基準
五 その他厚生労働省令で定める事項
3 第一項各号に該当しない労働契約又は前項の書面の明示のない労働契約は、期間の定めのない労働契約とみなす。
4 第一項各号に定める期間を超える期間を定めた有期労働契約の期間は、当該各号に定める期間とみなす。

(差別的取扱いの禁止)
第十六条の三 使用者は、有期労働契約を締結している労働者又は短時間労働者(短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(平成五年法律第七十六号)第二条に規定する短時間労働者をいう。)の賃金その他の労働条件について、合理的な理由がある場合でなければ、通常の労働者と差別的取扱いをしてはならない
 

第四章 期間の定めのある労働契約等

(有期労働契約における解雇)
第十七条  使用者は、有期労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。







(契約期間途中の退職)
第十七条の二 一年を超える有期労働契約を締結した労働者は、民法(明治二十九年法律第八十九号)第六百二十八条の規定にかかわらず、当該有期労働契約の期間の初日から一年を経過した日以後においては、二週間前までに使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。

(契約期間についての配慮)
第十七条の三 使用者は、有期労働契約について、その有期労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その有期労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならない。

(雇止めの制限等)
第十七条の四 第十六条の二第二項の規定により更新の可能性を明示された有期労働契約を締結している労働者が、当該有期労働契約の更新を希望した場合においては、使用者は、当該労働者に係る従前の有期労働契約の更新の回数、継続的に勤務をしている期間その他の事情に照らして、当該有期労働契約を更新しないこととすることが客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、更新を拒んではならない。

2 使用者は、前項に規定する有期労働契約(雇入れの日から起算して一年を超えて継続勤務をしている者に係るもの及び日々雇い入れられる者が一月を超えて引き続き使用されるに至った場合に係るものに限る。)を締結している労働者に対して当該有期労働契約を更新しないこととしようとするときは、当該労働者に対し、少なくとも三十日前にその予告をしなければならない。ただし、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合又は労働者の責めに帰すべき事由に基づいて更新しないこととする場合においては、この限りでない。

3 前項の予告の日数は、一日について平均賃金(労働基準法第十二条の平均賃金をいう。)を支払った場合においては、その日数を短縮することができる。

4 第一項に規定する有期労働契約が更新されなかった場合において、労働者が更新されなかった理由について証明書を請求したときは、使用者は、七日以内にこれを交付しなければならない。

第十六条  解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
































































 第四章 期間の定めのある労働契約


第十七条  使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。
2  使用者は、期間の定めのある労働契約について、その労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならない。
 
 他の3法でもそうなのですが、いい加減な法文の作り方です。
 なんで、「第三章 労働契約の継続及び終了」のところに、契約事由の条文を入れるんですかねぇ・・。第2章の「労働契約の成立及び変更」の方でしょう?

 なにより、必要なのは16条の3の規定だけに思えます。

 法律で雇用期間の「上限」を決める必要はなく、そして何ら意味がないと思いますがいかがでしょう。

 一番問題なのは第17条の4の雇い止め禁止でしょう。

 例えば、雇い止めの禁止で、はっきり言って能力が低い、というだけで解雇できないのなら、企業は、新設された第16条の2第2項第3号の「更新の可能性の有無」について、多くのケースで「原則なし」とすると思います。

 実は役所のアルバイトさんも真面目に働いて下さる方がほとんどなのですが、ごく一部にそうでない方もいて、そういう方にやめていただく際には、一応契約期間はあるのですが、「なぜ更新されないのか」と揉めるケースもあるわけです。

 更新をもともと約束してなくても揉めるわけですから、更新の有無、なんて「無」にするに決まっています。
 民主党の国会議員はどうか知りませんが、採用側から見たら面接はあくまでも最低限を排除するだけで、その後の働きは実際に働いてみないとわからない。

 民間は無論のこと、霞ヶ関の多くの職場でも「微妙な人」を抱えておくほど業務に余裕があるわけではないのです
 「有期労働契約を更新しないこととすることが客観的に合理的な理由」って難しいんです。

 解雇が難しいなら最初から自動解雇できるような契約にするのが当たり前だと思います。

 それは労働者のためになるのでしょうか。

 そうではなく、「3年以上期間雇用した場合は契約社員又は正社員雇用をしなければならない」とかいう法文の方がよほど企業としてもメリットあるし、真面目に働く派遣社員などの意欲につながると思います。

 誰彼構わず、自動更新というのはモラルハザードをもたらし、方向性が逆だと思います。
 報道報道される多くの派遣の方は真面目に働く職員の方のようですから、私は逆効果だと思います。



 


 最後に、附則です。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。
(経過措置)
第二条 この法律による改正後の労働契約法第十六条の二、第十七条の二及び第十七条の四の規定は、この法律の施行後に締結される期間の定めのある労働契約について適用し、この法律の施行前に締結された期間の定めのある労働契約については、なお従前の例による。
(労働基準法の一部改正)
第三条 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)の一部を次のように改正する。
第百三十七条を削る。

 

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