1.年金とは
 
 年金は、老後の生活を安心して送れるよう、実際に給与等の収入が十分に期待できる若いうちから積み立てておくというものです。

 このうち、国民年金や厚生年金など国が主体となって実施しているものについては「公的年金」といい、生命保険会社などが独自に行っているものを「私的年金」といいます。

 特に公的年金制度は、「終身」が原則ですし、そうでなければ年を取ってから、ばりばり働くのが困難になってから苦しい生活を送ることになります。
 ですから社会保障制度としては年金制度というのは必要不可欠なものなのです。

 主な年金には次のようなものがあります。
国民年金国民全員強制加入のもので、国による最低限の社会保障という                     意味合いがあります。
厚生年金サラリーマンの方が国民年金の上乗せで加入します。サラリーマ       ンは一定の時期が来ると強制退職となり、また事業を行っていな         いため隠居ということもできません。そのため会社の給料から天引       きされるので、事実上強制加入になっています。
国民年金基金自営業者の方が国民年金の上乗せで加入します。任意加入       で、入る入らないは個人の自由なので、まだまだ普及は進んでいま       せん。     
       しかし、これまでの家族的な「自営業」が減っている今、隠居して子       供などに養ってもらうケースが減ってきましたので、サラリーマンと        同様自らの老後のためこういった制度に加入することは非常に重        要といえます。
企業年金厚生年金基金適格退職年金などの総称です。厚生年金に更に       上乗せをすることによって従業員へのより豊かな老後所得を保障す       ることを目的としています。
共済年金国家公務員共済、私学教員共済など、特定業種について国民年       金の上乗せとして加入する共済制度をいいます。強制加入です。
個人年金個人で生命保険会社と契約を結ぶ年金です。

 これら我々の将来に影響を与える年金が、今重大な危機に立たされているとともに、改革されようとしています。果たして今後どうなるのか、書いていきたいと思います(簡単にするためデフォルメした部分があるかもしれませんがご容赦を)。
 

2.誰が何に加入していて(加入できて)、どれだけもらえるのか。
 基本的には、次のような分け方になります。
(1)企業のサラリーマンの方
 強制加入は国民年金+厚生年金になります。現在ですと平均で17万2千円です。これは平均ですから、年金を給付した期間が長ければ長いほど高くなります

 それ以外に、企業が行っている年金(厚生年金基金、適格退職金年金など)が加算され、人によっては個人保険、個人年金が加算される場合があります。
 幾つかのケースに整理するとこんな感じです。

強制加入の年金 強制加入の年金 企業ごとの年金 従業員が個人で加入するもの
国民年金 厚生年金 厚生年金基金 個人年金


適格退職金年金


特定退職金年金


非適格退職金年金

 
(2)自営業の方
 強制加入は国民年金だけです。平均で4万7千円です。

 それ以外に、国民年金基金(農業の方は農業者年金というのもあります)、個人年金に加入することができます。また、退職金的なものとしては、従業員数が20人以下の小規模企業には小規模企業共済制度があります。

強制加入の年金 個人で加入するが、優遇措置が大きいもの 個人で加入するもの
国民年金 国民年金基金 個人年金

農業者年金

 
(3)専業主婦(夫)の方
 強制加入は国民年金だけです。しかし、保険料は支払う必要はありません。解釈としては、パートナーが所属する年金制度(厚生年金や共済年金など)から支払われます。

 しかし、この点は今大きな問題を抱えています。
 

(4)公務員の方
 国民年金+国家公務員共済や地方公務員共済などの共済です。

 それ以外は実は個人年金以外加入することはできません。

 これらのポイントとしては、やはり、年金をきちんと納めていれば平均以上のものがもらえるし、そうでない場合は相応の額しかもらえないということです。

 最も端的なものが自営業の方で、義務は国民年金の月1万3千円のみですが、前述のように、それだけでは絶対足りないので、隠居後の資産があるか、子供などに養ってもらうことが決まっていない限り、サラリーマンの厚生年金に相応する国民年金基金や農業者年金など、または個人で年金保険に加入しないととうていやっていけないようになっています。

 この点、老後は必ず来るわけですから、年金=取られるという観点ではなく、自らの将来設計という観点で考えてみたいところです。

3.公的年金と私的年金の違い

 公的年金とは、社会保障の観点から財政援助や税制優遇措置を与え、国などが行っている年金や共済制度です。
 一方私的年金とは、企業や個人などが公的年金に上乗せして行う制度で、これにも若干の税制優遇措置などが取られていますが、公的年金には及びません。

 また、企業年金のみで国民年金には加入しないということもできません。あくまで国の制度の上乗せですから。

 さて、よく公的年金と私的年金を比較して、フリーターの方や個人事業者の方で「私は国の世話にならない」「国は信用できない」と、個人年金や投信、貯蓄などに励んでおられる方もいらっしゃいます。

 さて、この考え方は正しいのでしょうか。

 答えは、資産運用(投信など)に十分な知識があれば短期的には得する可能性はありますが長期的に見れば、年金受給期まで40年程度ありますからインフレなどの様々な変動要因があるわけですから、よほど恵まれない限り損する可能性が高い、です(例えば、昭和35年に今の姿を誰が予想したでしょう?)。

 なぜかと言いますと、公的年金は国の社会保障政策ですから、税金から補助が出る上、税制優遇措置も取られています。他方、個人年金は前述のように、年間の保険料の所得控除も一定の限度(今は生命保険5万円、年金5万円です←例えば国民年金基金は81.6万円まで所得控除)があります。

 一方、投信や預金なども運用収益に対して課税されますし、預金は生命保険などで予定しているものより低い利率にすぎません。しかも投信や株式投資は急激な環境変化があった場合はその相場を乗り切るのが非常に難しいわけです。40年間勝ち続けるのが至難の業であることはやったことのある人なら十分ご理解いただけるはずです。

 これらの点を統合すると、年金は40年後の受給ということを念頭に置いて、やはりせっかく税金を納めているのですから国を利用するに越したことはない、ということなのです。

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