7.困った国会議員を考える
1.国民のためでなく特定の国民のため 典型例:亀井静香氏 −自分の支持者や知り合いのためなら国のことなどどうでも良い。国は絶対倒れない、お金は無限に出てくると勘違いしている高度経済成長期の亡霊。 (1)利益誘導政治家 古いタイプの自民党的政治家として、地元に利益を持ってくるいわゆる利益誘導型の政治家がいます。もちろん民主党の中にもいるのですが、今はその旗を隠しています(それはそれで問題なのですが)。 しかし、その中でも自民党の実力者、ニューリーダーと呼ばれる人の中にはそれを隠さず、国家財政の大赤字を後目に堂々と「補正予算を組んで公共事業を」「高速道路を造れ」と主張している人がいます。 その代表者が亀井氏です。 彼らの根本的な問題は、地元への利益誘導が政治家の仕事だと思っており、国家全体のことなど考えていないと言うことです。 そういう彼らが支持を得るために、「地元に利益誘導したいけどそれを表立っていう力も勇気もない」という国会議員の代弁者として政府などに「圧力」をかけることをするわけです。 こうして、借りを作っておくと、いずれ「利益誘導グループ」とも言うべき派閥ができるわけです。
(2)選挙のためなら何でもする?公共事業は地元優先 日本テレビの「バンキシャ」という番組で、亀井氏が出演した特集がありました。 そのカメラの目の前で次のようなことを亀井氏はやっていました。
2)地元の会合で、支持者から「道路を造ってほしい」といわれ、いきなり秘書に「道路局長に(電話を)つなげ」・・で、「2億円くらいつけてもらっているんだけど、落とさないようにね」と電話で話す。 わざわざカメラの前でやると言うことは、このこと自体恥ずかしいことだと思っておらず、政治力の証明だと思っているのではないかと推測されます。 いずれにせよこれらの行動のポイントは、支持者(陳情者)の前で、役所(公共関係会社)の「幹部」に電話することで、「ホットライン」を見せつけることです。 私もある国会議員が、地元の補助金が減ったことで「努力が足りない!」と陳情者に見せつけるように大声で担当者を怒鳴りつけているのを見たことがあります。 その電話が実際に役に立ったかどうかは別として、今の公共事業費が全体的に大幅に減っている現状で、「地元の分を減らすな!」と役所の幹部などに圧力をかけるやり方は正しいのでしょうか。 国民のためではなく「支持者のための」政治家に日本を任せることなどできるはずがありません。例えば追加財政出動をしたとしてもきっと自分の地元に都合のいいように動かそうとしますから。 そのくらいのことは普通の国民だったら分っていて、批判の的にされているのですが、それを承知であえてそういう行動をとったとしたら、国民は舐められたものだということです。
(3)選挙のためなら何でもする?老人をだます家族愛と「負担軽減」 亀井氏は介護保険制度についても、「子が親の面倒を見る美風」などといってごまかしています。 しかし、現実的には医療制度の発達に伴い、以前であれば亡くなってような方も長生きできるようになりました。
これらをひっくるめて介護についても社会全体でフォローしようというのが介護保険の理念であり、理念自体はまったくおかしいものではありません。
仮に「子が親の面倒を見る美風をなくすな」というのであれば、彼は老人ホーム全廃を主張するのでしょうか。 さらに、この「子」というのが実子(特に男性)であれば美徳なのでしょうが、仕事を口実に男が女(嫁)に介護を押しつけるのであれば美徳でも何でもありません。 いずれにせよ、高いレベルで「在宅介護の問題」を提起したのならともかく、彼の場合は「介護保険料の徴収を6ヶ月間猶予する」という政治的なものです。
こういう場当たり的なやり方はまさに地元への利益誘導と通じるものです。
(4)選挙のためなら何でもする?借金してでも公共事業 「子や孫に借金残しても良い。子や孫だって道路を使うんだ、借金してでも公共事業」彼はこういいます。 しかし、今の状況は、一応家を持っている中で、「破産寸前でありながら豪邸を建てるべき、豪邸は子供のためにもなる」と言っているのと同じです。
主張としては、不況だから積極的な財政出動を行うことで景気を刺激し、皆が儲かれば借金は返せるということなのでしょう。 しかし、私は、現状では公共事業としての財政出動を行っても限定的なものにとどまる上、その財政出動の期間(補正なら半年、来年度予算なら来年)がすぎれば再び運転資金に窮した企業の倒産が相次ぎ、結局銀行の不良債権が増大し、これまでの不良債権削減努力が水の泡になると考えられます。 もちろん、財政出動により企業の危機的状況が回復し、1,2年後に公共事業への追加投資をしなくても公共事業投資先企業が自立的発展をできるという見通し(企業体質改善等)があるならそれも一つの策です。 このあたりは経済をどうとらえるかだと思います。 しかしそういった詳細な経済的な分析なしに、単に選挙に勝つために一時的にこの財政赤字の状況下で無駄な公共事業を行って金をどんどんつぎ込む、というばかげた政策(とすらいえないもの)はとうてい容認できるものではありません。 こういった「子供のために」「地元のために」など、口当たりの良いセリフで核心をごまかすのはやめるべきです。 公共事業を望む地元の人も「子供に借金が増えますし、もしかしたらもうすぐ税金が一気に上がるかもしれませんが、それでも公共事業やりますか」と聞いたら顔を見合わせるとのではないでしょうか。
(5)巧言令色少なし仁 いわゆる利益誘導政治家はこれまで地元ばかり支援するなど非常に分かりやすいものでした。
しかし利益誘導にしても子供の代へのツケ回しにしても、どちらにしても「自分さえよければよい」という独りよがりのもので、大政治家の本来の「最大多数の最大幸福」とはほど遠いものです。 特に選挙前に甘いことを言ってその場限りの人気取りをするというのは、つまり「選挙戦術」で政策が右往左往するわけです。
それでもなぜ自民党若手はこういう議員と決別しないのか。
仮に亀井氏が自民党総裁になることで、小泉氏や改革の意志を有する若手が、パフォーマンスではなく真剣に日本のことを考えて勉強している若手民主党議員と合体してくれれば、日本のために一番良いと思いますけど・・。夢でしょうねぇ・・。 類似例:鈴木宗男氏など
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