考古学のおやつ

考古学者と考古学業界

万維網考古夜話 第2話 2/Dec/1998

このコーナー、1日に3人くらいはご覧になっているようです。せっかく読んでいただいたのに申し訳ないですが、物好きですね(^^。まぁ、書く方はもっと物好きなんですけど。

さて、第2話はこのコーナー自体についてお話しするとしましょう。といっても、話はこの「考古学のおやつ」自体の由来に遡ります。

開始直後は「第1回」としていたんですが、タイトル(考古夜話)に合わせて「第何話」と数えることにしました。

もともと、「考古学のおやつ」(そのころはこの名はなかった)の準備は昨年の秋から始まりました。一年以上前ですね。でも、ページのコンセプトとか、そういうのが思いつかなかったので、公開は躊躇していました。考古学情報のページは、ほかにもいろいろありましたし、自ら現場に出て調査をしている人と違って、私は考古学情報の発信者というより、受信者、むしろ消費者とも言うべき立場にいますから。

そうこうするうち、今年の10月から大学の非常勤講師をしないかという話が来まして、それなら、大学の講義内容を載せてけばいいや、とそのときは安直に考えたわけですね。

ところが、事態は突然に進みました。5月21日、当時私が加入していたプロヴァイダ、BT-NISから、料金改定の知らせが来たのです。プロバイダーを斬るとかでも多くの意見が寄せられていましたが、そりゃーもうショックでした。私の使い方じゃぁ、何倍の値上げだか、計算するのも怖いほどです。BT-NIS難民なんて言葉もできましたね。

それで、慌てて新しいプロヴァイダを探し、結局加入したのが、今お世話になっているDREAM TRAIN INTERNET(DTI)です。で、改めて手続きが必要なBT-NISと違い、DTIでは加入するとすぐに無料で5メガバイトの領域が借りられたので、早速開設したのが、「考古学のおやつ」の前身となるサイトでした。そのときは、サイトの名称が違ってましたし、コーナーは「今週の発見」しかありませんでした。そう。内容を準備しないまま、結局は自分でも予定しない時期にサイトの方を先に作ってしまったのでした。

サイトができちゃって、動き出してから、このサイトは何か、を自分なりに説明していったわけですが、「考古学のおやつ」って、どれだけ実現してるかは別として(^^;ゞ、考古学情報で遊ぶサイトのつもりなんですね。考古学情報で遊ぶっていうのは、Junk Foodにも喩えているように、情報を消費するということで、最初の方にも書きましたが、発掘現場とかから離れてしまった私は、考古学情報の消費者なんです。だから、発信するよりも、「こんな風に消費してるゾ」というノリの方が、実態に即してるんですね。当初の考えでは、考古学情報を発信している考古学者の方が「考古学情報の遊び方」にも通じているはずと、専門家向けに作ろうと思っていたんですが、「さるよい考古室」(今はなくなりました)の名で遅れて登場した考古学関係コンテンツは、全然充実しないままでした。

そんなわけで、9月には匿名希望さんから「考古学情報はどこに?」などと問いかけられたり、リンクしてくれたところからも「いつになったら考古学情報が……」と紹介されたりだったのです。

そうこうしている間に非常勤講師も始まったのですが、なにぶんにも初めてのことゆえ、講義の準備が手一杯で、内容をhtml化して公開するなどままなりません。結局、なんか訳のわからんことを書いているページのままを続けてきました。こんな脱線ぶりにも関わらず、いや、あるいはそれゆえにでしょうか、むしろ専門家じゃない人も見てくれたりして、何でもありのような、何もないような、妙なサイトになってしまいました(ま、おやつなんてそんなもんかな :p)。

それでも、ほえづらコラムやら今週の発見がだんだんと長文になり、まとまった文章を書くようになってくると(これ自体、かなり意識して移行したことではありますが)、考古学的な内容でも、書きたいネタが出てきました。で、どのコーナーに書くかな、と思って見渡すと、どうもそういうコーナーがないことに気づいたんですね。そりゃまぁ、当然です。そんなの書いてこなかったんだから。それでこのコーナーを作りました。

「考古学的な内容で」、などというと、固くなりそうですし、実際、あの大まかなことしか書いてない第1話だって、いろいろ調べながら長時間かけて書きました。意外に大変だ、こんなコーナー、続くんかいな、と不安にならなくもないのですが、いつもの調子で、話し言葉でお気楽に書いていこうと思います。専門家じゃない人にも、考古学や考古学業界のいろんなことを伝えられたらいいのですが。

ちなみに、第1話は、先々週、大学の講義で前置きに話した内容の再録で、そういう意味では、このサイト開設前のもくろみを、ごくわずかですが実現したという意味もあります(個人的にはうれしい)。

最後になりましたが、言葉の説明をしておきます。

このコーナーに限らず、「考古学のおやつ」では「考古学者」と「考古学業界」という言葉がよく出てきます。あ、今回のサブタイトルが、最後にやっと出てきましたね(^^;ゞ。

考古学者 「考古学のおやつ」では、考古学の専門的知識・技術を職業に生かしている人を、まとめて「考古学者」と読んでます。だから、日本には何千人もの考古学者がいることになりますね。ご本人たちの中には「“学者”なんて呼ぶな」という方もおられるでしょうが。
業界内部では、「考古学徒」という言葉の方が、イメージ近いかも知れないし、考古学徒のためのe漢字なんて、業界の人にアピールするためのネーミングだったりしますが、業界人じゃない人向けには、まとめて「考古学者」の方がわかりやすかろうと、勝手に決めました。

考古学業界 考古学の世界は、なんだかんだで一つの産業(いや、複数かも知れない)みたいになっています。埋蔵文化財調査では大きなお金が動くし(ささやかな金額の場合ももちろんありますToT)。そんなわけで、こちらは敢えて、あまり聞かない言い方を採用して、「考古学業界」にしました。ある意味、実態を反映してると思うんですけどね。あと、「考古学界」とかっていう固いイメージの言葉は使いたくなかったし。ん?じゃぁ、なんで「考古学者」って言うんだろ。矛盾してたかな?まぁ、その辺は大目に見てやってください。(^^;ゞ

そんなわけで、今回は愚痴っぽくなるかな、と思いつつ書き始めたら、予想ほどではなかったけど、少し愚痴っぽい内容になってしまいました(^^;ゞ。風邪も治ったみたいだし、次回はもう少しましな内容を載せたいと思います。


[第1話 文化圏ではすまされない|第3話 知るは楽しみなり?|編年表]
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