考古学のおやつ

縦組横組−投稿規定の型式学・前篇

萬維網考古夜話 第46話 25/Nov/1999

第45話 3度目のクリックの末尾にタイトルを「投稿規定の型式学」とだけ載せたまま,忙しくて本篇の準備ができないまま1か月近く過ごしてしまいました。でも,前話はアクセスが乏しかったで,期待していたのに待たされた,という人は少ないと思います。あーよかった(^^(?)。

しかし,もともとこの話をするために今月の当サイトのサブタイトルを「何でも編年するサイト」にしたんですから,もう11月下旬,なんとか今月中に押し込まなきゃ……,と思いつつ旅行から帰ってみると,「\(^^)/おかげさまで20000アクセスm(_ _)m」のせいで,サブタイトルが先に消えてしまいましたToT。でも,負けずに何とか今月中にお話しすることにします。


それは何年か前。

我ながら,なんと不遜な発言をしてしまったのでしょうか(^^;ゞ。今でも口の減らないヤツですが,当時はもっとすごかったんですねぇ。

以前は単に毛嫌いして縦書きでは書かなかった私も,最近は大人になった(まさか!)のか,縦書きの文章も書くようになりました。それでも2000字とかの短いのは苦にならないんですが,長文で,しかも(写真以外の)図版つきとなると,

あぁ,やはり横書きの方がよかった……joj。

と途端に拒否反応が出てきます。数字の書き方など,いつもと違うしでしょ。

「どうせ,パソコンの画面で横書きのまま編集して,仕上がりだけが縦書きなんだから,たいしたことないでしょ。」

という人もいます。私も,ひょっとしてそうなんじゃないかと思ってたんですが,実際は想像以上に大変でして,これがけっこう苦になるんです。それに,編集の最終段階では,ワープロソフトで縦書きで印刷して全体を読み直して……,思いだすだけでも気色悪いーー

ワープロソフトによっては,一度そのワープロ特有のファイル型式で保存してしまうと,テキスト型式での保存操作を行っても,書き手の思ったようなテキストファイルにならないという場合もあります。そのため私は,横書き/縦書きの別にかかわりなく,成稿直前にファイルを二つつくり,一方はワープロの保存型式にしてレイアウト確認に使い,一方はテキストファイルのまま入稿用・HTML化用にしています。ファイルを二つにしてから,文の変更が必要になった場合は,両方のファイルを修正しています。手間ばっかりかかって,何のためのワープロだかわかりません。これでも,一太郎が使えたうちは問題なかったんですがToT。この辺の話は,1998年9月28日の発見にも載っています。

問題は図版でして,関連する実測図とかを並べるときに,横書き(左開き)用の組み方と縦書き(右開き)用の組み方とでは,やはり変えた方がいいですよね。日本の絵巻物で話が右から左へ進行する(同一場面に別時点が共存させて描く場合も,右側の方に新しい時点の話を置いたりする)のも,やはり縦書きの場合の文字の進行が影響しているわけです。それと同じ(かなぁ(^^;?)ですね。

でも,縦書きだからって,今回限りの縦書き用の図を組んでしまったら再利用しにくいので,できるだけ互換性が保てるように単純に組んだつもりなんですが,でも,やっぱり縦書きは大変ねーという気分だけが残りました。これだったら,A4判横書き用とB5判横書き用を作り分けたり,横1段組用と横2段組用を作り分ける方が楽でした。

「将来縦書きになるべき文章」を書くのは,やはり私にはあまり向いてないようです。


さて,我が業界でも,新しい雑誌は大体が横書きです。また,縦書きから横書きに変更になった雑誌もありますね。最近の有名どころは,『考古学研究』がそうです。私が入会した数年後の1994年から,横書きになりました。

『考古学研究』が横書きになってから,私が毎号欠かさず最初にチェックするページがあります。もうおわかりですね。これが今回からのテーマにもなっている,投稿規定です(ほかにもうひとつありますが,いずれ別の回でお話ししましょう)。

何しろ,やはり会員という資格を持っている以上,投稿して成果を発表したいと思うのが人情。しかもついに念願の横書きになったのですから,チェックしないわけにはいきません。

そして気づいたんですが,この投稿規定,ころころ変更されていることは,ご存知ですか?

でも,どうしてこんなに頻繁に変更されるんでしょうか。その意味が,わかりそうなときもあれば,さっぱりわからないときもあります。変更された内容に,遅れてアナウンスがあるときとアナウンスがないときとがあります。一体何なんでしょう。そこで今回からお送りするのが,投稿規定の型式学です。

先取りして,申し上げておきましょう。『考古学研究』の横書き用の投稿規定は9型式があり,3期に分けられます。


さて,まずは,やや冗漫にはなりますが,これまで各号の横書き用の投稿規定がどのように推移してきたか,見ていきましょう。今日は資料篇といったところで……,と思ったのですが,この後の話がやたらに長いのです。

そんなわけで,今回のお話は,ちょっと早めですが一旦ここで切って,次回を資料篇にします。結局ムダ話で1回分にしてしまいました:-P。

タイトルは松本清張の「陸行水行」をもじったつもり(^^;ゞ。

[第45話 3度目のクリック|第47話 改訂探検−投稿規定の型式学・中篇|編年表]
白井克也 Copyright © SHIRAI Katsuya 1999. All rights reserved.