考古学のおやつ

ミニマムでいこう

萬維網考古夜話 第59話 8/Aug/2000

嶺南考古学会に行くまえになんとか,と思いながら,こんなに遅れてしまいました。高知の縄文探訪考古学系サイト更新情報に関する話題です。この,シンプルな一行掲示板という体裁が成功している光坊氏の試みについては,すでにNakamura Kousakuくんの縄文学研究室で7月14日(3週間以上前!)に考察がされていますので,二番煎じなんですが,せっかく書いたので……(^^;ゞ。


考古学サイトだけでなく,サイトを立ち上げて運営しようとする人が,各界各所に老若男女を問わず,たくさんいます。そういう人たちをターゲットにした雑誌も,それこそ雨後のタケノコのようにどんどん創刊されています。長続きしてるのかどうか,知りませんけど。

ただ,そういった雑誌の数にライターの数が追いつくわけもなく,なんだか怪しい記述が多い場合もあるようで,私も最近はそのテの雑誌なんか買わなくなってしまいました。

去年くらいに,立ち読みしただけで買うのをやめた某雑誌には,こんなことが書いてありました。

サイトを立ち上げるとき,最低限これだけは必要なページというのがあって,それは自己紹介掲示板(だったとおもう)とリンク集だ,とかなんとか……,これだけで読む気が失せてしまいました。

というのも,この「考古学のおやつ」というサイトは,掲示板は,まぁおいといて,自己紹介も,まともなリンク集もないからです。そんなもんを最低限必要だなんて,相容れない考えだな,と思ったものですから,この雑誌とは永遠のお別れとなったのでした。

と,これで話が終わってしまうのももったいないので,もう少し,説明をしてみましょうか。

まず自己紹介ですけど,ここみたいに全体が自己紹介みたいなサイト(最近は少し毛色が違ってきましたが)では,自己紹介なんていらないわけでして,作る気もないわけです。それに,ネット上の自己紹介なんて,いくらでもウソが言えるわけですしね。サイト管理者が必然性を感じたときにそれなりに対応すればいいだけで,それを必要最低限みたいに言うのは,納得できないなぁ。

リンク集については,最初作ろうとして,すぐにやめたという経緯があります。理由は簡単で,自分なりの必然性が見つけられなかったからです。
すでに考古学サイトの充実したリンク集はいくつもあるし,私自身がそれらを利用しているのに,それより(当分の間は)不便であるに違いない自分のリンク集を作る理由が見つかりません。
当サイトでは,どこのページからでも,必然性があると思ったらリンクを設定しているので,リンクのためのページを作る必要性は,なおさら少なくなってしまいます。

仄聞するところでは,ほかのリンク集の説明文を流用したリンク集というのが某サイトに設置されたそうです(未確認)が,そんなの,オリジナルの方に「便利なリンクはこちら」(←このリンクは偽物です,念のため)とかってリンクさせとけば済むだけの話だし,第一,よそ様とそっくりのリンク集なんか作ったって,楽しくないと思うんですけどね。

そう,この「楽しくない」というあたりが実感で,私も,今はなき当サイトの動機なきリンク集は作っていて楽しくなかったのです。楽しくないことなんて,タダでやってられますか。掲示板の設計を考えてる方が楽しいですよ。

で,最初の雑誌の記事に戻ると,リンク集が必要な理由というのが,「相互リンクの時に必要」……。う〜〜ん。どうしてそんな双務的な臭いのするモノを当たり前のように言うかなぁ。好きこのんでやっている人はいいとして,必要最低限とかと言って素人に刷り込むようなモノとも思えませんね。


名前も忘れたどっかの雑誌はおいといて,では,私が(最低限かどうかは別として)必要と思うものを挙げると,それは軽くて適切なホームページだと思います。

記憶が定かではありませんが,当サイトで引用以外に「ホームページ」という言葉が登場したのは,これが初めてではないかという気がします。
ここでは,より本来的な,「あるweb siteで最初に表示されるページ」の意味で使っています。

最初に表示して,ここからならサイト内のどこにでも行けるし,また,サイト内のどこからでもここに戻って来られる,というページです。つまり,ここは1回の訪問で何度でも訪れるわけですから,ここから各ページへの行き来は便利でないといけないでしょう(第45話「3度目のクリック」参照……今回はホント,手前味噌だね(^^;)。また,そのためには詳しいメニューがここに盛り込まれていた方がいいし,しかもそれが最低限のスクロールで見渡せた方がいいし,何度も訪れる以上は表示が軽い方がいいし,どんな環境からでも見られるように,特殊機能は控えた方がいいでしょう。この,とてもプリミティブな雰囲気のページは,そのあたりを考慮して作ったつもりですが,まだまだなんとかなりそうな気もします。いかがでしょうか。

Yahoo! Internet Guideに,「テキストベースで見た目は味気ない」と書かれましたが,それを目指しているんですから,当然ですね(^-^。
もう一つ,訪問の度に行き来するページですから,このページにつけるアクセスカウンタは,同一サーバからの連続したアクセスは1回しかカウントしない仕様になっていると理想的です。その点DTIカウンタはいいですね(←プロヴァイダへのごますり)。

当サイトが始まった当初は,実はこんなホームページ(しつこいようですが,ここではこのページのことです)ではなく,もっとぐちゃぐちゃのページ構成だったのですが,その後,何よりも自分自身が不便を感じるようになったので,さまざまな経緯の後,今のようになりました。

先ほどの楽しいか,楽しくないか,と同様に,自分にとって便利か,管理しやすいか,というのが,意識するとせざるとに関わらず,このサイトの運営の基準になっていて,そのために,当初とは変貌してしまったページがほかにもあります。
その一つが,更新履歴です。最初,更新履歴を書くページなのに更新履歴の一部しか書かない(???)という不可思議かつ不便なページだったのですが,そのうち,やはり自分自身が困惑するようになって,もう少し詳しい更新履歴を載せるようになりました。

ほかの方のサイトはそれなりのコンセプトで運営されればいいとは思っていますが,それでも,開設後しばらくしてから更新履歴のページが充実し始める,というパターンがたまにあるので,多分,私の場合と同じような経緯を辿ったのではないか,と勝手に想像しています。

実を言うと,最初のころの不便な更新履歴ページは,半ば意図的にやっていました。どこが更新されたのか,全部見ないとわからないようにしておけば,閲覧者がサイト内をいろいろと見て回ってくれるのではないか,という姑息な考えがあったからです。しかし,そのうちにこの考えはマズいぞと気づきました。私自身がほかのサイトを見て回っていて,更新履歴の明示されていないサイトの場合,どこが更新されたか見て回るよりも,「このサイトは,とりあえずいいや」と見る気が起きなくなってしまうからでした。逆に,今度はどこが更新されたか明示されているサイトだと,また見てみようという気になるのです。
そうすると,私のような発想の閲覧者の場合,私のサイトを見る気も起きないだろう,と言うことに気づいたのです。私とは違う感覚の人の方が多いことを願っても良かったのでしょうが,先ほどの話のように,私自身も不便を感じ始めていましたので,昨年の正月くらいから,もう少し詳しい更新履歴に変えました。

こうして考えていくと,更新履歴を作らないサイト管理者,というのは,どういう感覚なのだろうか,と考えてしまいます。例えば,サイト管理の上で,不便を感じていないのだろうか,公開しない更新履歴(日記のようなもの?)をつけているのだろうか,よそのサイトを見て回るときも,更新履歴がないと見る気が失せないのだろうか……。

もちろん,サイトの性格上,更新がない,あるいは極めて少ない,あっても公表するほどのことではない,というような場合はあるでしょう。

いずれにせよ,私とはサイト運営に関する考え方が違うのでしょう。それは,その人の判断することですから,干渉する必要もありませんが,でも,見る側としては不便だなぁ。


さて,やっと本題に入りましょう。

考古学系サイト更新情報に対するNakamura Kousakuくんのコメントは,彼の考え方がよく現れています。せっかくなので,ぜひ,原文を見に行きましょう。私もここで,彼の文と重複する話をするまでもないでしょう。だから,少し違う視点からの話をします。

Nakamuraくんの文章,「7月14日(金) 考古学サイトの更新情報」は,次の言葉で締めくくられています。

考古学サイトを運営している皆さん、このすばらしい企画に一緒に参加しようではありませんか。

そう,この文は「考古学サイトを運営している皆さん」に対する言葉だったんです(クッキーに対する言及も,この視点から発せられています)。

しかし,このような,管理者の立場からの参加とは別に,閲覧者の立場からの参加もあると思うのです。いえ,あると思うだけでなく,これを強調したいと思います。「あのサイトで,こんな更新があったよ。面白いよ。」と指摘する書き込みが増えて,管理者当人の書き込みと拮抗すると,かなり魅力的な掲示板になると思います。

だから,(些事ではありますが)クッキーに関してだけは,私はNakamuraくんと考えが異なります。いろんなサイトの紹介をしようと思ったのに,フォームに自動的に「考古学のおやつ」「http://www.ops.dti.ne.jp/shr/」などと表示されて,いちいちこれを消すなんて,鬱陶しいでしょ(ホント,些事だな(^^;)。

そんなわけで,「考古学サイトを閲覧している皆さん」も,考古学系サイト更新情報に参加して,管理者の立場にどっぷり漬かった連中(私たち)に,違った視点の存在を教えてください。


[第58話 5番目の花−実物主義の神話・後篇|第60話 頭突き兄弟|編年表]
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