平等院鳳凰堂の部材の年輪年代が、建物の造営年代と数年ずれていることについて、新聞でもネットでも話題のようです。
しかし、大きな建物の造営には数年かかるだろうし、材木には輸送、乾燥(これ重要)、加工の手間もかかります。数年のズレなんて、むしろ当たり前かと思ってたんですけど。
その数年を議論するなら、もっと問題なのは百済の陵山里古墳群東下塚古墳の木棺。なにしろ伐採年が430〜480年で、推定される被葬者の没年が598年と言うから、実に100年以上。
被葬者の比定が違ったとしても、陵山里古墳群の最初の被葬者は 聖王(聖明王)なので、没年554年で、やっぱり半世紀以上。でも聖王が被葬者の可能性は低そう。
しかも素材のコウヤマキは日本産。いったい伐採から木棺づくりまでどんな経緯があったか、気になるじゃないですか。
コウヤマキの思い出
20年以上前、さる高名な研究者が、韓国滞在から帰国後すぐに私を呼びだしました。
K 「武寧王陵の木棺は、マツだと言ってましたよ」
私 「え、マツ……ですか? あれは日本産のコウヤマキのはずですが。」
K 「私もそう聞いてました。しかし今回、マツだというんです。」
私 「……。」
K 「私も意外でした。」
K先生は考古学者ではないものの、武寧王陵の木棺がコウヤマキ製であることは知っていたし、高名なK先生には、韓国滞在中にしっかり現地のアテンドもついたはず。変な情報は入りようがないのです。ならば何かの勘違いか。
実は、コウヤマキの韓国語「クムソン(금송)」は、漢字で書くと「金松」(中国語でも「金松」、発音はチンソン)。おそらくK先生のアテンドは、クムソンの和訳「コウヤマキ」を知らず、日本人なら漢字でわかるだろうと、筆談で「金松」と書いて示したのでしょう。
現説編年表・展覧会編年表・研究会編年表に情報を追加しました。
「重要事項に関するご案内 第25回ICOM(国際博物館会議)京都大会2019」というタイトル(一部省略)のメールが来ました。
本文冒頭いきなり、
「第25回ICOM(国際博物館会議)京都大会2019の開催が近づいて参りました。」
いやいや、1か月くらい前に終わったでしょ、それ。大量送信したメールがどこかに詰まっていたのか? 送信ミスか? あるいは新手の詐欺メールか?