考古学のおやつ

現説と試験の季節

萬維網考古夜話 第63話 7/Sep/2000

回数稼ぎだったはずの前話ですが,大きく反応してくださった方が1人だけおられるので,コメントしておきましょう。

伊勢物語内田美由紀さんが8月の日誌で言及しておられます。ありがとうございます。そこで書かれている指摘は,前話に盛り込んでおきましたが,ところで1つ疑問。内田さんが私の「結論」だと思われたのはどこなのでしょうか。実は,内田さんが「おまけ」と呼んでいる部分が,私にとっては結論のつもりだったんですが(^^;ゞ。

ひょっとして,とても幸運な誤解をしていただいているのかも知れません。


先週,不本意と言いつつ現説編年表を始めました。わずかな反応はあったようですが。本当にお役に立っているのでしょうか。

ほとんど有効利用されていないきまぐれNEWSLINKの検索(というより,何を検索するプログラムなのか知らずに検索する,という怪現象を起こす人がいます)なのですが,ときどき「現地説明会」で検索している人がいるのを知って,「なるほど,そういう需要もあるのか」と思い,また,私も「現説の情報ももう少し秩序立てて記録しておきたいな」などと,変な気を起こして,ついに作ってしまいました。いえ,実は前から,作ろうかどうしようか,迷っていたんです。なかなか踏み切れなかった理由は,いくつかあります。

まず,現説情報を並べると,更新が忙しくなるだろうと思ったからでした。展覧会編年表研究会編年表は,それぞれの展覧会終了日・研究会開催日のはるか以前に情報が得られることが多いので,情報に接したからすぐ編年表に追加,という緊急性はありません(たまにはそう言うこともありますが)。

そう言えば,9月2日に鹿児島県国分市のシビックセンターで縄文シンポジウム「縄文のムラと祭」というのがあって,岡村道雄文化庁主任文化財調査官がコーディネーター,林謙作北海道大学大学院教授,西田正規筑波大学教授,本田道輝鹿児島大学助教授,新東晃一鹿児島県教育委員会文化財課係長がパネリストだったんだそうですけど,これ,3日になって初めて知って,「うげ〜,こんなの編年表に入れてなかったよ〜(@_@;」と愕然。まだまだ大きなイベント漏らしてますねぇToT。

ところが,現説情報ときたら,多くの場合は木曜日や金曜日にその次の週末の現説情報が大量に流れますから,情報を拾おうと思ったら週の後半が大変なことになってしまいます。中には,土曜日の昼ごろになって,その日の午後の現説情報が……あ〜〜,どーすりゃいーんだ〜〜っと,とっても体に悪い状態になってしまいます。

もっと大変なのが,日曜日の夜です。そうでなくても展覧会・研究会の終了日に重なっているのに,今度は現説も……大変そうだと思っていたら,コーナー発足最初の日曜日だった3日の夜,国分市のシンポジウム情報見逃しの件(上記)もあって,早速キレてしまいました。

あ〜,もう,やめた。っと思って,久しぶりに電波少年(どの地方に住んでいるかわかるね(^^)−意外に知らない人もいる−)を見て,何か変だと思ったら,いつの間にか「箱男」は終わってたんですね。アイツ,どうなったんだろう?代わりに,ケイコ先生の健気さだけが伝わってくる妙な企画をやっているが……。

いかん,話がそれた。

それと,タイトルと日時と場所,と情報をぎりぎりまで切りつめて,開催順という紛れのない順番でひたすら並べるという展覧会や研究会と違って,現説の場合はそれだけではわかりません。つまり,内容を書かないといけないんです。

例えば,「茶臼山古墳,何月何日,どこどこ市」という現説情報を書いても,どんな発掘成果があったのか皆目見当がつきません。纒向型前方後円墳なのか?胴張りの横穴式石室があるのか?人骨などで親族関係がわかるのか?……もっとひねったところでは,信長が山城に改造していたとか,本土決戦に備えた高射砲の基礎が墳頂にあるとか,実は経塚だったとか,墳丘の下から出てきたナイフ形石器がこの町初の発見だとか……。そう,現説は中身の説明が必要なのです。

でも,そのためには内容を解釈したり要約する作業が(ささやかとはいえ)あるわけでして,展覧会情報や研究会情報が解釈を放棄することによって集積できているのとは,正反対の状況です。これはけっこう辛い。報道で「日本書紀にも記載の『●●●●』」と言っているのをメモしながら,心中「え〜。ホントは『前●●●●●』の関連じゃないのぉ?」などと思っているのは,これまたとっても体に悪い状態です(←これは架空の例です(^^;(←わざわざ言うと変だろ))。

あと,すでにほかのサイトにあるコーナーとまるっきり競合しているのも,今まで二の足を踏んでいた大きな理由です。

実際のところ,各コーナーには,よそと競合している部分が多いのですが,当初の「自分にしかできないことを」から「本当は誰でもできるけどほかの人がやらないこと」まで志が後退(^^;しても,ここまでほかと内容が重複したのはやはり不本意(^^;(^^;。


でも,ここまではみなさんにとってどうでもいい問題というか,私の個人的な問題です。ここからが本題(相変わらず前置きが長い)。

私も以前は現説を主催する側だったことがありましたが,某所の現説が終わった後,主催者側で見学者がどこから来ているかという話になって,「●●市から来てる人がいるぞ」「○○市からも」「なぜそんなところから来たんだろう?」「なぜわかったんだろう?」……。遠方から来てくれたんだから,そんなこと言ってやらなくたって……(--;。でも,けっこうそんな感覚なのかもしれません。全国紙1面のような発見でもない限りは。

一方,現説に足を運ぶ方の立場になって,あるとき,遠出をして某遺跡の現場に行ったことがありましたが,住所を記帳したら,「どうしてそんなところから」とか「なぜ現説があるとわかった」とかと問いつめられてしまいました。新聞見て来たら悪いのか〜ToT。1日がかりで詰問されに行ったようなものでした。

そう,私は現説に招く側と招かれる側の両方で,同じ体験(遠方から訪れた人を主催者側が訝る)をしたわけです。

そんなわけもあって,「いついつ現地説明会」というのを毎日のように書きながらも,実は当サイトが始まって以来,現説に行った回数って少ないんですよね。そんなヤツが現説編年表とかと言って全国(なぜか西に偏っているが)の現説の日程を集成しようとしているんだから,かなりひどい矛盾と言えるでしょう。

まさか,現説編年表を参考にして,新幹線や飛行機で他県の現説に押し掛けて,担当者に詰問されて泣いて帰ってくるようなかわいそうな閲覧者はいないとは思いますが……。

あ,でも,こういう閲覧者はいるかも。近所の現説に行って,わざと「◎◎県から来ました」と遠来の客を装い,担当者の反応を試すとか(お勧めしているわけではありません(^^))。

しかし,そもそも現地説明会とは何のためにやっているか……という固い話は各自のご判断にお任せしましょう。

不本意,不本意と言っても,実は現説編年表作るのって面白いんですよね(^^。この機会に過去の現説を自分で検索して調べてたんですが,話題の遺跡が編年されているわけですから,これをもとに埋文クイズとか,いくつでも作れそうですよ。国立大学の試験の季節だし,ちょっと模擬試験でも作ってみましょうか。

次に列挙する遺跡名から5つを選び,それぞれについて(a) 遺跡名の読み方,(b) 所在する都道府県,(c) 最近の調査成果を記せ。

多分試験には出ません。でも,もし似た出題があったら,「どこそこ大学のだれそれ先生の試験が似てました」とこっそり教えてください。パクリ疑惑として,謹んでネタにさせていただきますm(_ _)m。

鹿児島県国分市は2005年11月7日から霧島市

[第62話 お砂糖の考古学・後篇|第64話 氷見 VS 小杉〜図書館でネット考古学〜|編年表]
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