考古学のおやつ

1999年11月の発見

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1999年11月29日(月)

先週の発見「ロクロむすめ」の冒頭にキャリパーの話をしたところ,複数の閲覧者から,「ディヴァイダの方が,凶器にもなりかねないし,ヤバいんじゃないの?」という指摘がありました。

う〜ん,言われてみるとそうですよね。私も以前,カッターナイフが機長預かりになったことならありました。

ただ,前回の話は,機内持ちこみ手荷物じゃなく,預ける方だったので,ディヴァイダみたいな正体のわかっているものは,係官も気にしなかったのでしょう。いえ,別に,ディヴァイダを持ってなかったわけじゃありません。ホントですよ。めったに使わないだけで……(^^;ゞ(泥沼)。

そう言えば以前,ある人の機内持ちこみ手荷物でキャリパーが引っかかって,調べた係官がやはり対応に困って,「機内では取り出さないでくださいね」とだけ言って通してくれたことがありました。

私がキャリパー入りの荷物を機内に持ち込まないようになったのは,この出来事を目撃してからです。

そんなもの,機内で取り出すわけないのにねー。でも,凶器として役に立たないとはいえ,機内でいきなりキャリパー取り出して振り回す人がいたら,けっこう怖いでしょうね。

なぞの考古展・後篇

先々週は,忙しくて疲れてるところに書き殴ったので,あとから,「あぁ,あれも話しとくんだった」と上越新幹線の車内で後悔しきりでした。そこで後篇です。

前篇では,会期のわからない考古展がある,というお話をしましたね。

  1. 名称がよくわからない (略)
  2. 会期がわからない いつ始まって,いつ終わるんだか全然わからないものも多いんですよね。特に,始まってしまうと開始日に関する情報に困ります。でも,開始日順に並べてるから,わからないと私は困るんですよね。今日,開始日のわからなかった展覧会が一つ終わりました。結局情報は得られませんでしたToT。
  3. いろんな曜日に始まっていろんな曜日に終わる 美術館の展覧会は,だいたい火曜日に始まって日曜日に終わります。金曜日や土曜日に始まるというのも多いようです。デパートで開催される場合は,定休日の翌日に始まって定休日の前日に終わります。ところが,なぜか考古展はこの法則に反するものが多くて,列挙していて不安になります。それでも,月曜から金曜までとか,年度末までとか,説明のつくのはいい方なんですが。

以前,ある展覧会について流布されていた情報では,「●●年●月●日(●)〜●月10日()」とかとなっていました。

「おかしいなぁ,●月10日は月曜日なんだけど……。これ,日付と曜日がどちらか間違ってるんじゃないかなぁ。」

ほかのデータを調べてみても……う〜ん,やっぱり「10日(日)」になってます。おかしいなぁ。

さて,困ってしまいました。有名どころの美術館だったら,日曜日に終了するのが普通だから,これは「9日(日)」に修正すればいいわけです。ところが,実際には自治体の考古展で月曜終了とか,ないわけじゃない(上の項目の3)ので,あるいは「10日(月)」が正しいのかも知れません。いろいろな情報がすべて「10日(日)」になっているところを見ると,どこか特定の情報ソースが間違っていて,そのまま流布されているようです。

そうこうしているうちに,この展覧会が始まりまして,偶然にも,まもなくこの施設に用があって訪問することになりました。

待ち合わせの間,件の展示を見ていました。見て回った最後に,ポスターが目に入りました。

「●●年●月●日(●)〜●月10日(日)」

あらら,元の情報自体が間違ってたんですね。それじゃ,この情報が流布されるのも無理はありません。

さて,本来の用事が済んで,一息つきました。

でも,日付のことには何も触れておられません。気づいてないのかなぁ。

ぁあーーーー!

言っときますけど,今回叫んだのは私じゃないですよ。

上司の皆さんもハンコ押すとき気づかなかったんでしょうか。

なぞの考古展が,また一つ解明されました。


1999年11月24日(水)

飛行機がらみの話が多くなってしまうのは,遠出が多いという事情もありますが,飛行機の機内でしか,メモをとる時間が取れないので,まず,見てきたばかりのことを書きとめているという理由もあります。

実測道具とともに飛行機に乗るとき,説明に困るのが,やっぱりキャリパーです。搭乗前の手荷物検査場で手間取るのがいやなので,機内に持ちこまないで,できるだけ預けるようにしていました。今回,久しぶりに実測道具を持って旅行するので,例によってカウンターで預けようと思ったのですが,7月23日の不幸なハイジャック殺人の後,羽田空港の荷物チェックが厳しくなっていて,カウンターの前に置かれたテーブルの上で,金属反応を調べられました。

ピ〜

あ,やっぱりキャリパーが引っかかったようです(^^;ゞ。

これが困るんですよねー。「キャリパーです」って言って通じるのかな?これがいやだから預けようと思ったのに。

荷物を開けて,キャリパーを取り出し,お見せしました。

そうですよねー。見てもわかりませんよねーjoj。そうじゃないかとは思ってたんですよ。まぁ,危険物でないことは一目でわかってもらえたようですが,事態をどう収めればいいのか,誰にもわかりませんでした。

地方空港は羽田空港ほど厳しくないらしく,何人かに一人,思いだしたようにチェックしているようです。都合4回荷物を預けた今回の旅行で,実際に調べられたのは往路の羽田だけでした。
(1999年11月29日)この続きは11月29日の発見冒頭に。

ロクロむすめ

手荷物検査場も抜けて,搭乗時間前の待合室,空いた席に座って一安心(^^)。

そこへサラリーマン風のおじさんがやってきて,空いていた私の隣の席に座りました。ビジネスの出張なんでしょう。ま,それはいいんですが,このおじさん,座った途端にものすごく大きな咳を始めました。しかも,それが続けざまなんです。なんか,悪い病気なんじゃないかと心配になるほどです。

だんだんこちらも気分が悪くなってきました。いつまで続くんでしょう……。

あれ?おじさんは急に席を立って,さっさと向こうの方に行ってしまいました。もう咳をしていません。何だったの?咳をするために座ったのでしょうか。座ると咳をする特異体質?


やっと機内に入ると,隣は小さい女の子をつれた若いお母さんでした。女の子は下の歯が4本生えただけ,しかも前歯の両側の2本は中央の2本の半分くらいの長さしかありません。

あ,かわいいなぁ,と思うまもなく,その子が動く動く。

小さな靴をお母さんに脱がせてもらって,お母さんのひざの上に座ったかと思うと,すぐ,右どなりの私に気づいて,ちょっとこちらを観察したかと思うと,すぐにくるりとお母さんの方を向き,今度は向こう側の席にいた女性を観察していました。

やっと座りなおしたかと思うと,また私の方が気になったらしく……。

そう,彼女はひたすらぐるぐると回っていたのです。その回転方向が一定(時計回り)であることを,私は見逃しませんでした:-P。

回るのに飽きると,女の子は,なにかを私に手渡しては,返してもらうという動作を繰り返しました(小さい子がよくする,あれです)。フライト中,すっかり遊び相手にされていました。

しかし,ずっとこの調子だと,お母さんは大変ですね。

それにしても,最近は山陽新幹線のトンネルが危ないし,オリンピックに間に合わせた長野新幹線も危ないらしいし,この旅行に出発した日は,東海道新幹線でのぞみ号がトラブルで運休したそうだし,やはり今は飛行機が便利ですね(^^。

この辺の文章を書いているころは,11月22日の自衛隊機墜落事故はおきていませんでした。

そうこうしているうちに,飛行機はまたもや海の中道を横切ろうとしていました。

「みなさま,当機はまもなく,大阪国際空港に……。」

やっぱり飛行機も心配です。


1999年11月15日(月)

なぞの考古展・前篇

それにしても,展覧会編年表(開催中)って,何でこんな巨大ファイルなんでしょう。漫然と,手に入る情報だけを並べていただけ,その点では,全然気合いの入らなかったページなんですが,いつの間にか巨大になってしまいました。

「考古学のおやつ」では,管理人オリジナルの文以外は手を抜いてます。……のつもりだったのに,今や,この情報のお世話だけでも相当なことになっています。11月14日は125(!)の展覧会が並んでいました。

実は,5月に一度このネタでコラムを書こうとしたとき,39の展覧会が挙がってまして,実際は100以上やってるだろう,なんて原稿に書いてあったんですが,いつの間にかそれも越えてたというわけです。

こんな穴だらけの情報でもこれだけ集まるんですから,マジで集めて,さらに常設館を足したら,ひょっとして500ヶ所くらいで考古展をやっていることになります。1日に1ヶ所ずつ見ても,永久に毎日考古展を見続けることができるでしょう(すごい生活(^^;)。逆に言えば,全部どころか1割だって,とうてい見られないわけです。

しかし,だからといって「いっぱい考古展を見られて,めでたし,めでたし。」というわけにはいきません。とうてい見られないようなむちゃくちゃな数開催されているにしても,その情報がどうしても偏っていますよね。

市町村の展覧会だと,せっかく担当者が工夫を凝らしても,その開催の事実さえなかなか伝わらなかったりします。地方の展覧会を見に行くと,カウンターに置かれたチラシや壁に貼られたポスターを見て,「あ,こんなのもやってた」とメモするのが習慣になりました。

展覧会情報サイトもいくつかありますが,試しにアート遊の全国美術館展覧会案内や JAPAN Arte 全国美術情報を覗いてみてください。残念ながら,有名どころで開催される美術展ばかりです。横浜美術館の展覧会情報の検索も便利で,私もよく使っていますが,いま当サイトで列挙しているうちに,横浜美術館で検索可能なものがどれだけあるか……かなり怪しいものです(べつに横浜美術館さんが悪いわけではありません,念のため)。

(2002年2月17日)JAPAN Arteのサイトは,かなり前から行方不明ですToT。

で,あまりに多い情報を,とりあえず数だけは集めようと,当サイトでは,休館日とか入館料とか関連イベントとか見所とかは一切省いて,名称会期会場だけをひたすら開始日順に並べることにしました。これだったら,いちいち細かい表現とかに悩まず,とにかく開催の事実だけは伝えられるだろう……と思っていたのですが,そうは甘くなかった(^^;。

考古学の展覧会には,いくつか特徴があります。

  1. 名称がよくわからない 役所がやってるわけですから,事業名が定まらないはずがないんですが,なぜか名前のよくわからない展覧会があります。いろいろの名前のうち,どれが本物かわからなかったり,やたらに長かったり,サブタイトルとメインタイトルの区別がなかったり……。伝聞だからいけないんだと思って,役所が出してる情報を入手したら,そこからしていい加減だったってことも(^^;。
  2. 会期がわからない いつ始まって,いつ終わるんだか全然わからないものも多いんですよね。特に,始まってしまうと開始日に関する情報に困ります。でも,開始日順に並べてるから,わからないと私は困るんですよね。今日,開始日のわからなかった展覧会が一つ終わりました。結局情報は得られませんでしたToT。
  3. いろんな曜日に始まっていろんな曜日に終わる 美術館の展覧会は,だいたい火曜日に始まって日曜日に終わります。金曜日や土曜日に始まるというのも多いようです。デパートで開催される場合は,定休日の翌日に始まって定休日の前日に終わります。ところが,なぜか考古展はこの法則に反するものが多くて,列挙していて不安になります。それでも,月曜から金曜までとか,年度末までとか,説明のつくのはいい方なんですが。

と,「編年表」という無味乾燥というか乱暴な切り口で列挙しても,それでもなお納まりの悪い情報というのがあって,苦労させられているわけです。

それでも,各地の閲覧者の皆さんがフォローしてくださるので,まったく頭がさがります。それでも,これもまた地域差があって,情報不足を巧みに埋めてくれる地域と,自称閲覧者が何人もいるのに,知らんぷりの地域もあって,まぁ,勉強になるというか,なんというか……(^^;。

今度,展覧会などイベント情報の掲示板たぬぼりPOSTを作りました。展覧会編年表に似せたので,白井流の殺風景なデザイン(^^;ですが,簡単なコメントもつけられますので,ご利用ください。

時々,「考古学のおやつ」に載ってる以外で,何か情報ない?」などと問い合わせを受けることがありますが,私は知っていることは(秘密にすべきものを除いて)すべて載せているので,「載ってないけど話せる情報」はありません。ここに載っていなかったら,「白井のヤツ,知らないんだな,一つ,教えてやるか」とばかりに書き込んでくださいねm(_ _)m。

(1999年11月29日)後篇は11月29日の発見

1999年11月9日(火)

なんと,火曜日にずれ込んでしまいました(^^;ゞ。今週は外崎則夫さんの,Non-Fiction STORIES 風のつもり。

志賀島

荷物チェックが終わって待合室に向かうと,もうそこでは,当たり前のように博多弁の会話が交わされています。ここは羽田空港。福岡行きの出発はもうすぐです。以前,なぜか100人ぐらいのイタリア人の団体さんがいて,博多弁のはずがイタリア語に満たされていた,ということもありましたが。

私はいつも,乗り降りのときの利便も考えて通路際の席を選んでいるのですが,なぜかこのときは右側の窓際の席でした。やはり風景が見えると,眺めてもみたくなるものです。せっかくなので,時々 Jornada から目を話し,曇った濃尾平野(のうびへいや)などを見やっていました。

飛行機は着陸体勢に。電子機器が使えなくなると,私はまた,なんとなく窓の外を見ました。機体の下から,何やら三角形のものが伸びています。海の中道(うみのなかみち)です。やや曇っていて,砂浜の部分はよくわかりませんし,翼で少し隠れていますが,間違いありません。飛行機は博多湾(はかたわん)側から,福岡空港に着陸しようとしていたのです。

海の中道が見えるなら,その向こうに志賀島(しかのしま)が見えるはず。以前福岡に住んでいたころ,旅の帰りに窓から志賀島を探すのが習慣になっていた私は,(平成の,ではなく)天明の甚兵衛さんが金印を見つけたというその島まで,海の中道を目で辿りました。奇しくも私の座席は「24K」。浅からぬ縁といったところでしょう。

しかし,なんと間の悪いことでしょう。海の中道の先の方には,厚い霧がかかったようになっていて,志賀島も能古島(のこのしま)も見えません。飛行機の向かう方角にも,町並みはかすんで見えず,福岡タワーの頂上で点滅する光のほかは,中日ドラゴンズとの対決を待つ(当時)福岡ドームの天井が鈍く輝くのがわかるだけでした。


あれから数週間。今度の旅は,好天に恵まれました。

離陸してしばらくすると,客室乗務員さんが,「富士山がご覧いただけます」とアナウンスしました。そして次に,琵琶湖も。そう言えば,富士山も琵琶湖も,最近見ていません。

しかし,なんと間の悪いことでしょう。窓の外を見やろうにも,今度の席は85D。通路側です。小さな窓の向こうに青空が澄みわたっているのはわかるのですが,その近くまで行って,せっかくの風景を楽しむことはできないのです。

客室乗務員さんは,絶好の行楽日和を見逃さなかったのか,あるいは,風景を話題にするのが好きなのか,しきりに風景の美しさを放送しています。

そしてまた,飛行機は着陸態勢に入りました。

(^^)/ 「みなさま,当機はただいま海の中道の上空を飛行しております。」

海の中道……そう聞いて,私は前回のフライトを思い出しました。そういえばあのとき,志賀島が見えなかった……。今日の博多湾は快晴。今日,右の窓際だったら,見えたのに。
機内放送は続きます。

(^^)/ 「みなさまの右手には,シガジマが……」

ちが〜〜う!

機内を満たした一瞬の沈黙は,多くの乗客の心の叫びであったに違いありません。細かいことをいうと,天神(てんじん)のイントネーション(以前,私も厳しく矯正された)も違います。もし,日本語を知らない外国人だったら,英訳されないこの部分は気にしないですんだのに……ToT。

(^^)/ 「また次のご旅行も,●●●の翼をお選びくださいますように……。」

どうしようかな。10億マイルためると藤原紀香さんが当たるとかだったら,考えときましょう(←この一文がもっとも外崎さん風(^^;ゞ)。


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