考古学徒のためのe漢字
遺物1(非金属)
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m02049
[e漢字プロジェクト](5/Jun/1999)
- (はく):はがす,はげる。削る。JIS第1水準「剥」s_jis0x948dはこの字のつもりらしいが字体がおかしく,諸橋大漢和に載っていない。
片(はくへん):石核から
がされた石片。フレイク。『最新日本考古学用語辞典』(柏書房)によると「
片
離や調整
離によって生じる石片」[p.266]。このほか,この字を用いた石器用語は多数あるが,管理人は石器が苦手なので略す(^^;ゞ。
m20869,u073a6,玦
[e漢字プロジェクト](5/Jun/1999)
- (けつ):中国の玉器。環状の一部が欠けたもの。
状耳飾(けつじょうみみかざり):縄文時代前・中期に多い装身具。石製が多いらしい。その起源を中国大陸の
に求める説もある。甕棺で知られるヴィェトナムのサヒュイン文化にも突起で装飾された
状耳飾が知られている。
m21071,u29742,琮
[e漢字プロジェクト]機種依存文字(5/Jun/1999)
- (そう):下に同じ。
玉
(ぎょくそう):外形は直方体状だが,中央に丸い孔が通っている良渚文化の玉器。腕輪から生じたか。宋・元に青磁で模倣される(
形瓶・そうけいへい)。
m05360,u22477,埍
[e漢字プロジェクト](5/Jun/1999)
- (けん):下に同じ。
陶
(とうけん):中国の新石器〜商代に見られるつちぶえ。卵形をしている。なぜか日本での出土品もJISで表示できないこの名で呼ぶ。山口県下関市・綾羅木郷遺跡などの出土例が有名。「土笛」じゃダメ?
m21534
[e漢字プロジェクト](5/Jun/1999)
- (ほう):容器の名。小さいかめ。
m21626
[e漢字プロジェクト](5/Jun/1999)
- (げん):甑(そう)と鬲(れき)が合体した調理具,土器と青銅がある。足のある甑(こしき)。
m13512
[e漢字プロジェクト](5/Jun/1999)
- (か):中国の酒器。礼器の一つ。
m22979
[e漢字プロジェクト](5/Jun/1999)
- (わん/まり):容器の名。椀の古名。
m05171,u057e6
[e漢字プロジェクト](5/Jun/1999)
- (わん/まり):土器の器種名。食事を盛る容器。「椀」m15001,s_jis0x986f,「碗」m24305,s_jis0x9871はJIS第1水準に,「鋺」m40507,s_jis0xe7faはJIS第2水準に入っている。
k1108
[和製漢字の辞典](5/Jun/1999)
- (はそう):胴部に孔があき,広口の壺。須恵器の一器種。胴部の穴に竹管などを通し,水差しのように用いたと考えられている。「和製漢字の辞典」によると,「波尓佐不」の訓があるらしい。「楾」m15214ならJIS第2水準s_jis0x9eb7にあるが,「はんぞう」と読む。「波尓佐不(はにさふ)」が訛って「はんぞう」「はぞう」になったのだろうが,考古学者に通用の濁らない「はそう」は訛りすぎ?「波尓佐不」の「波尓」が「埴」(=土師)だとすると,「須恵器の
」って表現もちょっと変?なお,『図解考古学事典』で小林行雄は用字・訓読について疑問を投げかけている[p.806]。朝鮮半島では全羅南道に分布する。全羅南道には,初期須恵器にみられる樽形
もあり,この器種の来歴を物語る。韓国では「有孔広口小壺」と呼ぶ。この方が簡単でいいな。e漢字プロジェクトでは見つからず,「和製漢字の辞典」より。
m14978
[e漢字プロジェクト](5/Jun/1999)
- (すい):杖,杖で打つ。「たるき」の意味と訓は,日本でつけられたのだろうか。
瓦(たるきがわら):垂木の先を装飾する瓦。
m05400,u0587c,塼
[e漢字プロジェクト](5/Jun/1999)
- (せん):焼成したレンガ。建築資材として用いる。「磚」m24418,s_jis0xe241,「甎」m21589,s_jis0xe14eはともにJIS第2水準。
仏(せんぶつ):仏像を浮きだたせたレンガ。
塔(せんとう):土製の仏塔……と言ってしまうと身も蓋もない。
室墓(せんしつぼ):漢代に木槨墓に代わって登場する墳墓の型式。地下にレンガ積みの墓室を作る。朝鮮半島では楽浪漢墓が知られる。百済の公州・武寧王陵は南朝
室墓の形制にしたがっており,墓誌がなければ漢人の墓とみなされたかもしれない。
倭人
(わじんせん):中国安徽省の東漢墓で出土した
,銘文に「…有倭人以時盟不…」とあったため,この名で呼ばれる。ただし,「倭」と読まぬ説あり。
m21276
[e漢字プロジェクト](5/Jun/1999)
- (とう):みみだま。冠の飾り。
耳
(じとう):鼓形で中央に孔が通っている耳飾り。耳たぶに穴を開けてはめる。中央の孔に紐で垂飾をつける。漢代に多い。
m14552
[e漢字プロジェクト](12/Apr/1999)
- (ぜい/ほぞ):この字がJIS(日本工業規格)に入ってないなんて,変ですね。
m05355
[e漢字プロジェクト](5/Jun/1999)
- (てん/でん):ふさぐ,みたす。
充
(じゅうてん):紋様(文様)の説明などに用いる。区画を紋様でいっぱいにするように施紋することの描写。JIS第1水準「填」s_jis0x9355の字体を嫌う人が多い。
m05850
[e漢字プロジェクト](5/Apr/1999)
- (ひ):「比」m16743の古字らしい。
高句麗の線刻土器に,このような字画のヘラ記号(?)がある。吉林省集安・民主六隊遺址出土鉢[耿鐵華・林至徳1984:図二11]。私もこのヘラ記号を高句麗土器認定の傍証としたことがある[1998]。
耿鐵華・林至徳,1984,「集安高句麗陶器的初歩研究」,文物1984年第1期,55-63
白井克也,1998,「博多出土高句麗土器と7世紀の北部九州−筑紫大宰・筑紫遷宮と対外交渉−」,考古学雑誌第83巻第4号,80-107
u070bb,炻
[e漢字プロジェクト]機種依存文字(5/Apr/1999)
- (せき):下を参照。
器(せっき):焼成温度や釉の有無により,1100〜1300℃で焼成された無釉のものを呼ぶ。stonewareの訳語として日本で作られた字。私も論文で使ってしまった。須恵器とかを
器と呼ぶのはJISの規定なんだけどねぇ(ただし,須恵器にも釉薬が存在するという意見もある)。諸橋大漢和に載っておらず,ユニコードより。「和製漢字の辞典」参照のこと。
白井克也,1996,「須恵器甕の叩き出し丸底技法と在来土器伝統−福岡市・比恵遺跡群第51次調査成果からみた工房の風景−」,古文化談叢第36集,1-24
m19141
[e漢字プロジェクト](5/Jun/1999)
- (えん):ほのお。
火
土器(かえんどき):新潟県・縄文中期の馬高式の器種。
還元
(かんげんえん):焼成雰囲気の呼び方で,「酸化
」の対義語。この字のほうがしっくりくる。「還元炎」と書く人も。
JIS第1水準「焔」s_jis0x898bの字体はちょっと……。話は違うが,土器研究者で「還元
」は知ってても「焼成雰囲気」を知らない人がいるのはなぜ?
m19458
[e漢字プロジェクト](5/Apr/1999)
- (いく/おう):暖かい,熱い。
(おき):まきが燃えて炭のようになったもの。安城市歴史博物館の展覧会「野焼きから覆い焼きへ 弥生の技術革新」のカタログに出てくるので,おやっと思って字を探した。
m19876,u07253,牓
[e漢字プロジェクト](12/Sep/2000)
- (ぼう):広い面のある立て札。JIS第2水準「榜」m15241,sjis0x9ed4に同じ。または立て札を掲げること。
示(ぼうじ):掲示する。
示札(ぼうじさつ):2000年,石川県河北郡津幡町の加茂遺跡における財団法人石川県埋蔵文化財センター(2013年4月1日から公益財団法人石川県埋蔵文化財センター)の調査で出土した「加賀郡
示札」が日本最古の“お触れ書き”となり,律令体制の弛緩と,末端支配の実相を示した。
m27371
[e漢字プロジェクト](12/Aug/2000)
- (し):つむぎ。
木津川さんのリクエスト。続日本紀の引用に使用のため。
m38137
[e漢字プロジェクト](5/Jun/1999)
- (く):み,からだ。仏像などの彫刻を数えるときの単位。専門家はJIS第1水準「躯」s_jis0x8bebを用いない。
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