森に帰ったしな乃
森にかえったしな乃 交通事故のない社会を目指して

        森にかえったしな乃 挽歌その1


     アツモリソウ 森にかえったしな乃

 

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しな乃の作品
         5歳  花
吾子の居らぬになど一日が巡りくるなど常のごと人は笑うそ 雪の日はしな乃もなさむ鵯(ひよ)がため蜜柑を割りて梅が枝に刺す 死に顔も幾たびとなく見つめしをなど吾子の死が未だわからぬ 子殺しの罪業(ざいごう)も墓も凍てつく大地に閉じこめてしまえ、雪よ 
しな乃の作品
   5歳  ドッジボール
二美子 孝仁 二美子 孝仁


しな乃の作品   しな乃の作品
6歳 枇杷(ビワ) 6歳  花
しな乃の作品 しな乃の作品
6歳  お人形 6歳  やぶ椿


ランドセル カタカタ鳴らす音来ずと知りつつけふも聴き耳たてる  戯れて児の形見なる竹笛を吹けば今際(いまわ)の呼吸のごとし しな乃追いて我も死なむとする心頭もたげり暗き雨の夜  生と死の間に浮かぶ母かなし彼岸に待てる児をし思えば  使われぬ児の布団干すベランダに春はめぐりて辛夷ふふめり  雨上がりわぎたつ辛夷は香り花その清浄よりも吾子の純潔  なぜ死んだ なぜ死んだ  しな乃と喚けども遺骨はまえに黙(もだ)し居るのみ 我が胸を暴けばささと灰の舞うおおき空洞(うつろ)を人は見るかも 吾子の時刻の止まりしときに我もまたこの世のひかりすべて失う  我が胸を暴けばささと灰が舞うおおき空洞を人は見るかも  四十雀(しじゅうから)のこゑよく響くけふの午後しな乃偲びて狂うをこらふ 土筆(つくし)摘むまろき背を見つ去年(こぞ)の我この幸永久(とわ)につづくと信ず 1 娘をば返してくださいさうすればすべて忘れますと夫(つま)は言いたり 愛(かな)し子のすべてを納むる墓石(いし)寒く我は独りなり山に向け、泣く
二美子 二美子 二美子 二美子 二美子 二美子 二美子


しな乃の作品 しな乃の作品
                 6歳  パパの顔                                  6歳   紫露草
                                           

おだやかな春日の中に独り居て人生ひとつ終えし気のする  児の魂は森に栖らむ鹿の眼に宿りてわれをはるか見守れよ  おにぎりをほおばりし写真を前に置き吾子とふたりで午後を語らう  野に山に緑濃ければ逝きし子の還りし土の温もりをおもう  我が裡の生きる力の失せにしを如何ともできずただ慟哭す  母の腕に児眠らせたらむ、児を胸に母眠らせたらむ長ながき夜 去年の夏我より身軽に登り採るビワの木春の風に揺れおり  うろたえて暮らせば早し半年を過ぎて桜前線たよりきくころ  パパがつくるお料理がいちばんおいしいと夫を褒めし児は小食なりし  庭隅に咲き敷く菫をたわむれに撒きし少女よ何処に居て見る  愛し児が摘みし野蕗をその父がコトコトと煮るけふの夕餉に  いままさに熱き瞳に大路見て行かむとする子よ、何故に死にけり  子と共に笑い見つめて聞きしもの石花草木恵みのすべて  見はるかす花は満つとも天国のひとり遊びは寂しからまし 
二美子 二美子 二美子 二美子 二美子 二美子 二美子


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