森に帰ったしな乃
森にかえったしな乃 交通事故のない社会を目指して

        挽歌 その3


    アツモリソウ 森にかえったしな乃

 挽歌 その3

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レンゲショウマ 奥多摩御岳山

しな乃の作品
8歳 姥百合
妖精のごとき子なりと人はいふ
 妖精のごと姿をけしぬ わが胸のあつきおもいの故郷の
 山々高し、「しな乃」なる名の 慟哭す我が心をばとつとつと
 子と言葉にすれどすべてはかなし 紫のうつむき咲くも気高さや
 蓮華升麻に君を映して
二美子 孝仁 二美子 孝仁


しな乃の作品   しな乃の作品
8歳 土皿 8歳  花猫(粘土細工)
しな乃の作品   しな乃の作品
8歳  海亀の子供たち 9歳  オカトラノオ


母と子が一生かけて積む愛を我としな乃は九年で積みしか  秋虫の声も悲しくかすれきて死ぬべきいのち競う激しさ  くるひ泣きくるひ泣きしてそのあとは写真を前に呆けてありぬ  子の霊の棲まう山なみ近く見て大気澄みけり今朝冬のくる知る  木漏れ陽をいとほしむごとひとときをいとほしみつつ吾子と往きこし  児の命を継がむと植えし裏庭の茗荷の淡き花の悲しさ  野の花を愛でし児なれば我もまた野花を追いて今日を生きのぶ  川風に吾子の面影訪ひみれば香りもかなし忍冬咲く  大きなる樫の下には夥し命の芽生え我を主張せり  赤き花ありてきのうの花ならずおしろい花は、げにも哀しき  赤ままや嫁菜を摘みて供えりを如何に思いて吾子は見るらんか  寒がりて我が足に巻く子の素足か細きながら命燃ゆる日 母さんねと肩に甘えた息づかひ至上の幸に馴れすぎた我  死んでから花なんかもらったってうれしくなんかないよね、しなちゃん
二美子 二美子 二美子 二美子 二美子 二美子 二美子


しな乃の作品
9歳  生物
しな乃の作品         しな乃の作品
9歳  芥子 9歳  白梅


子奪われし苦しみ誰にも告げやらず石のごと黙し独り耐えをり  君なくて藪に色づくことさらに紅き柘榴の実り悲しむ  冬ざれの凍てつく風に花もちて初めて訪いぬ子の死に場所に  月冴えば今宵あたりは初霜の降りて子の墓うすら包まむ  いい目なりとよく褒められぬ我もまたその目に見惚れて吾子を誇りぬ  七五三の写真の娘は笑むその視線われを捉えて映されしまま  りんりんと晴れわたりたる秋の日に吾子がどこにも居らぬ不可思議  スルスルと芒の下をすりぬけば振りかえる手に摘みし花あり  曼珠沙華を採りて供えりその華を採りくるたびに叱られし子に  いずくにか宿りてあらむ児の魂を木にも草にも問いて野をゆく  ふと見上げ母気遣ひてかけし言葉その目とともに胸に刻まる  夏くればいずこの国より舞い戻り軒端にチチと呼ばるか燕  もしや吾子の声が聴けるかとダイヤルす待てども待てども誰も出ずなり  やっぱりもう帰ってくる気はないのかい?亡き子の遺影に尋ねみる夜 
二美子 二美子 二美子 二美子 二美子 二美子 二美子


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