■神楽・クライス・ガイスト
パソコンゲーム版エンセルギアの主人公として紹介されている少年。
彼の母親は、ヤシマ全土に結界が張り巡らされる直前に合衆国より亡命してきた、ヤシマ系の女性。しばらくして生まれた異父妹、雛子ともども病弱で、神楽も病院で過ごすことが多かったが、母親が統一帝国の上層部にコネクションを持っていたらしく、生活に支障はなかった。
そして、彼の物語は1999年のある夏の日、母が病室で亡くなったシーンから幕を開ける。
なお、彼自身は優秀な素質を秘めた天才的ギアドライバーであり、異父妹の雛子は生まれつき盲目(機械の力で16×16のドットを認識可能)ながら、母親譲りの高い陰陽師としての能力(特に結界形成・操作)に加え、目が不自由なことにより発達した千里眼・予知能力で、有能な管制官となる。
なにより、2人の母はヤシマ陸軍陰陽部における最重要人物であった……。
(※ルールブックに無い記述は、主に「セッティングマテリアル」より) |
比較検証するのが馬鹿らしくなるくらい、符号が合いすぎている。
唯一、大きなズレを見せるのは、光子が八坂機関の保護を受けており、神楽の母親が統一帝国上層部にコネを持っていたとする記述だが、実のところエンゼルコアにおいて、光子はヴィヴリオと親交があり(アンパン同盟)、また1945年に彼女と共に合衆国に亡命したとも思われることから、何ら妨げにならない。
また、神楽のミドルネーム「クライス」は母親のファミリーネームとされているが、これも亡命後の東雲光子の偽名と考えることは可能だろう。(フォトン・クライス?)
素直に解釈すれば、2人の母が東雲光子であることは容易に想像がついてしまうのだ。これをさらに補強するのが、神楽と雛子が異父兄妹であるという設定。神楽は母親の亡命前の子供、雛子は亡命後の子供であり、それぞれ鎖国前後で父親が違っていることはまず保証される。
然るに、神楽は“総統”と呼ばれる合衆国十字軍を率いる男(彼も統一帝国風のファミリーネーム「ガイスト」を名乗っている)の血を引くとされるが、雛子の父親についてはまだ判明していない。恐ろしいことに、これが神楽がギアドライバーでありながら、雛子が管制官であることの説明にもなってしまうのだ。
母親が同じである以上、ギアドライバーたる神楽の“黒い天使核”は“総統”と呼ばれる男に起因し、また雛子が母親と同格かそれ以上の陰陽師の才能を秘めているということは、その父親が通常の天使核を有する一族――鎖国後のヤシマであれば、純血のヤシマ人といわれる“オニ”である可能性が極めて高い。
あくまでも仮説だが、2人の母親が東雲光子だとすれば、その父親はエンゼルコアにおいて彼女にもっとも深い因縁を持つ2人の男――。“黒い天使核”を持ち、“総統”とも目されるラルフ・マスケンヴァルと、強い天使の血脈を残す“オニ”であり、ラルフに逢うまでの光子が兄妹を越えうる慕情を向けていた維馬篭代胤として、説明できてしまうのだ。
光子が病弱なのは、設定の明かされていない合衆国時代に起因するとも考えられるが、ゆえに神楽の健康さが父親に由来したのであれば、雛子が病弱なことに加えて盲目であるのも、やはり父親に起因していると考えるのが妥当だろう。
また、雛子が額を隠すような大きなリボンを好んで着けているのは、近親交配による歪みを隠すためとも説明できる。彼女のリボン無しイラストに目立った角は見られないが、額を見せたイラストもまた存在しないのは……。
(余談だが、光子、雛子と文字を並べてみても、何となく母娘説に説得力が出てくる気がしないでもない) |