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Last Update/2012.02.05


◇ 東雲光子と子供たち ◇

『帝都大学医学部付属病院箱根特務療養所で病死した』
――GF誌10期5号より

 

01/02/03/考察TOP


■前置き
 実は、エンゼルギアにおいても東雲光子は最重要人物のひとりではないか? という観点から考察してみる。
 東雲光子は、前作「エンゼルコア」に登場したヒロインの1人であり、エンゼルギアのルールブックでも紹介された少女である。父親は当時の陸軍の重鎮、東雲重左。異母兄は八坂機関の長にして現ヤシマ陸軍中将、維馬篭代胤。
 1939年、少尉に任官された彼女は、維馬篭代胤のノルトラント行に同行し、ヤシマ人からも天使核が採取されうるか確認するための“実験”に参加。その中で出逢ったG3中尉、ラルフ・マスケンヴァルに惹かれるが、“第一の喇叭”たるマスケンヴァル現象において行方不明――。
 ここまでが、「エンセルギア」までに提示された東雲光子についての情報。そしてGF誌10期5号で追加された情報により、彼女は“第一の喇叭”を生き延びた後も、数奇な運命を辿っていることが判明した。

 1940年。以降、事件後に飛躍的に高まった陰陽師の力、特に結界形成能力を活かし、ヤシマ陸軍特殊工作員として戦地で活躍。「エンゼルコア」の記述も加えるなら、この間もヤシマに戻っていない。
 1945年。突如として合衆国に亡命。
 1986年。“八門計画”発動直前のヤシマに再亡命。八坂機関の保護下に置かれることになる。亡命直後、第1子を出産。
 1988年。第2子を出産。この頃においても、10代後半〜20代前後にしか見えなかったという。
 1999年。7月4日。帝都大学医学部付属病院箱根特務療養所にて病死

 これだけを見るならば、そういうものかで終わる話であり、波乱に満ちた彼女の生涯に想いを馳せることも、そこで完結するだけのことである。だが、幾つかの要素を合わせると――この事実は、非常に興味深い連繋を見せているのだ。


■神楽・クライス・ガイスト
 パソコンゲーム版エンセルギアの主人公として紹介されている少年。
 彼の母親は、ヤシマ全土に結界が張り巡らされる直前に合衆国より亡命してきた、ヤシマ系の女性。しばらくして生まれた異父妹、雛子ともども病弱で、神楽も病院で過ごすことが多かったが、母親が統一帝国の上層部にコネクションを持っていたらしく、生活に支障はなかった。
 そして、彼の物語は1999年のある夏の日、母が病室で亡くなったシーンから幕を開ける。
 なお、彼自身は優秀な素質を秘めた天才的ギアドライバーであり、異父妹の雛子は生まれつき盲目(機械の力で16×16のドットを認識可能)ながら、母親譲りの高い陰陽師としての能力(特に結界形成・操作)に加え、目が不自由なことにより発達した千里眼・予知能力で、有能な管制官となる。
 なにより、2人の母はヤシマ陸軍陰陽部における最重要人物であった……。

(※ルールブックに無い記述は、主に「セッティングマテリアル」より)


 比較検証するのが馬鹿らしくなるくらい、符号が合いすぎている。
 唯一、大きなズレを見せるのは、光子が八坂機関の保護を受けており、神楽の母親が統一帝国上層部にコネを持っていたとする記述だが、実のところエンゼルコアにおいて、光子はヴィヴリオと親交があり(アンパン同盟)、また1945年に彼女と共に合衆国に亡命したとも思われることから、何ら妨げにならない。
 また、神楽のミドルネーム「クライス」は母親のファミリーネームとされているが、これも亡命後の東雲光子の偽名と考えることは可能だろう。(フォトン・クライス?)

 素直に解釈すれば、2人の母が東雲光子であることは容易に想像がついてしまうのだ。これをさらに補強するのが、神楽と雛子が異父兄妹であるという設定。神楽は母親の亡命前の子供、雛子は亡命後の子供であり、それぞれ鎖国前後で父親が違っていることはまず保証される。
 然るに、神楽は“総統”と呼ばれる合衆国十字軍を率いる男(彼も統一帝国風のファミリーネーム「ガイスト」を名乗っている)の血を引くとされるが、雛子の父親についてはまだ判明していない。恐ろしいことに、これが神楽がギアドライバーでありながら、雛子が管制官であることの説明にもなってしまうのだ。
 母親が同じである以上、ギアドライバーたる神楽の“黒い天使核”は“総統”と呼ばれる男に起因し、また雛子が母親と同格かそれ以上の陰陽師の才能を秘めているということは、その父親が通常の天使核を有する一族――鎖国後のヤシマであれば、純血のヤシマ人といわれる“オニ”である可能性が極めて高い。

 あくまでも仮説だが、2人の母親が東雲光子だとすれば、その父親はエンゼルコアにおいて彼女にもっとも深い因縁を持つ2人の男――。“黒い天使核”を持ち、“総統”とも目されるラルフ・マスケンヴァルと、強い天使の血脈を残す“オニ”であり、ラルフに逢うまでの光子が兄妹を越えうる慕情を向けていた維馬篭代胤として、説明できてしまうのだ。
 光子が病弱なのは、設定の明かされていない合衆国時代に起因するとも考えられるが、ゆえに神楽の健康さが父親に由来したのであれば、雛子が病弱なことに加えて盲目であるのも、やはり父親に起因していると考えるのが妥当だろう。
 また、雛子が額を隠すような大きなリボンを好んで着けているのは、近親交配による歪みを隠すためとも説明できる。彼女のリボン無しイラストに目立った角は見られないが、額を見せたイラストもまた存在しないのは……。
(余談だが、光子、雛子と文字を並べてみても、何となく母娘説に説得力が出てくる気がしないでもない)


■香夜・ハイネル・ガイスト
 ヴリル・ソサエティが瑞穂基地に送り込んだフーファイターライダー。
 ヤシマ出身ではなく、幼少から実験施設暮らし。高い再生能力に加え、見かけどおりの年齢では無いとも思われる発言。何より、第三世代人間戦車であるフーファイターを単身で乗りこなすほど高い定格出力を見せる“黒い天使核”の持ち主にして――純血のヤシマ人めいた角を持つ風貌の少女。
 彼女もまた、東雲光子の関係者である可能性は高い。香夜の出身が合衆国であることは、「ガイスト」のファミリーネームからも確実と見られるが、ならば何故に純血のヤシマ人の風貌を持つのか――。このことについて、光子の合衆国への亡命が、手がかりを与えてくれる。

 独断を承知で書けば、おそらく香夜は東雲光子のクローンの1人だろう。如何なる手段か、合衆国(十字軍を率いる“総統”)は、“第三の喇叭”以前より“黒い天使核”を複数所持しており、それを身に宿した者が第三世代人間戦車のパイロットに適性であることも掴んでいたと思われる(主客が逆の可能性もあるが、これはヴィヴリオを使ってヴリル・ソサエティからヤシマ=統一帝国にも伝えられただろう理論)。
 だが、“黒い天使核”だけでは第三世代人間戦車は動かせない。そこで、優れた陰陽師であり、ラルフと関係することで“黒い天使核”を受け入れる素地も備えていたと思われる、東雲光子に白羽の矢が立ったことは想像に難くないだろう。
(また、これが神楽と違って香夜の容姿がより“オニ”的であることの説明にもなる。……カグラとカグヤで踏韻というのもあり)
 彼女の“姉妹”が他に作られたかどうかは不明だが、香夜自身が完全な成功作で無かったのは、ルールブック付属シナリオの顛末で述べられたとおりである。
 発想をさらに飛躍すると、エンゼルギアに登場するフーファイターの名無しパイロットは、すべからく香夜の姉妹――東雲光子のクローンである可能性も捨てきれない。


■まとめ
 既に亡くなっていると設定されながら、かくも深くエンゼルギアに関わってくるヒロイン、東雲光子。――少なくとも、物語の深い部分で彼女の名前が語られないことはありえないだろう、との結論を以って、ひとまず筆を置きたい。
 ――果たして、本当に神楽と雛子の母親は彼女なのか。それともさらに驚きの事実が出てくるのか。楽しみに待ちたいと思う。

記:2006.11.09


エンゼルギア研究所/管理人:相馬斉遠