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Last Update/2012.02.05


◇ 天野ツバサ前史 ◇

「ヤシマ軍のエリート、それも公安、諜報系に強い家系だ」
――『エンゼルギア・マテリアル』第14(実質15)回より

 

01/02/03/04/考察TOP


■はじめに
 天野ツバサは、難しいキャラクターである。
 不良っぽい外見と一致する行動。それに反する内面をなかなか見せようとしない頑迷さと非協調性。心を満たしている虚無感を表現することの困難さ。何より同世代の少女でありながら、主人公(ギアドライバー)以外に好きな男がいるという絡みにくさ。
 ちょっと考えるだけでこれだけ出てくる上に、外見テクスチャがこれまた商売ウケしづらく、総合的に原作者自身が「エンゼルギアという物語ヒロインの中で一番不人気」と感じてしまっているほどである。
 そんな彼女だが、同時に「パソコンゲーム版本篇が出た後には、大いに株が上がるキャラである」ともされている――。ならば、既に出ている情報からでも、その片鱗を攫むことができるのではないか?
 よって今回は、この視点から、改めて天野ツバサを考察してみたいと思う。

■落ちこぼれ扱いの理由
 現在のツバサを形成した要因として最も強いと考えられるのは、その家庭環境だろう。GF誌11期1号の記事によれば、彼女の父、兄、姉はそれぞれ優秀な軍人であり、その家系にあってツバサは“おちこぼれ”であり、家族の中で不要なもの、居ないものとして扱われて来たという。
 果たして、本当にそれだけだろうか? 兄と姉がそれだけ優秀ならば、ツバサもまた期待されるのが道理である。結果論だが、実際に彼女はベテランの機械化兵でも舌を巻くほどの空間認識能力を持ち、パイロットとしての素質を大いに秘めていた。それが“おちこぼれ”扱いされるというのは如何にも不自然だ。
 ――と、すると。ここに天野家のツバサに対する扱いの意図が透けて見える。つまるところ、天野父、天野母(もしかすると兄姉も)は、ツバサに軍人になって欲しくなかったように見えるのだ。だから、名門であり軍人の家系である天野家において“居ないもの”として扱い、彼女がささやかな反抗を見せても放置し。……あわよくば家出でもしてくれればいい、と考えたのではないだろうか。

 では、ツバサが軍人になる、あるいは志すと何が拙いのか。
 それはもう云うまでもないだろう。彼女は――天野ツバサは“黒い天使核”保有者であり、“救世主候補”なのだ。軍人を志せば、彼女は必ずヤシマ=統一帝国が進める第三世代人間戦車のプロジェクトに人身御供として差し出される。……まったくその素振りは見せないが、天野家の人々は、ツバサが現在の立ち位置に立つことをこそ、最も恐れていたのではないだろうか。否、それを阻止することが軍人としてできない以上、ツバサが自分の判断で“逃げ出してくれる”ことを願ったのではないか。
 もちろん、これはただの推測に過ぎない。
 ツバサ本人が、こうした可能性に気づいた様子も無い。
 それでも――それだからこそ、彼女の成り立ちの真相が明らかになった時、初めて天野ツバサは戦う理由を手にすることができるのかも知れない。


■ツバサの学校
 さて、そこで興味深いのが、瑞穂基地以前にツバサが通っていた学校である。
 「ツバサBB付属本」を紐解くと、2年前の彼女は「タバコを吸っているのが見つかれば即退学」というくらい、校則の厳しい学校に通っていたらしい(ちなみに制服はセーラー)。
 普通、生徒がタバコを吸っていたのが見つかったとしても、いきなり退学というのは少し厳しすぎる気がする。まずは数日間の自宅謹慎、それでも繰り返すようなら停学、それでもダメなら……というのが順当な手順だろう。ここまで厳しいとなると、やはり相当に名門のお坊ちゃん、お嬢ちゃん学校であったと推測できる。
 なお、彼女はタバコを吸っている現場を見つけて注意してくれた男子を共犯にしただけでなく初体験の相手にしているが、恐らくはコレがバレてこの学校を退学になったものと思われる。本人曰く、その彼に「告られたけど断った」そうなので、もしかすると退学になったのはツバサだけかも知れない。

 その後、彼女は黒髪を金髪に染め、ブレザー系の制服の学校に転校している。
 この学校は前とは違って、堂々と休み時間に早退を繰り返しても何のお咎めも無く(せいぜい、クラス委員長のお下げ+メガネの少女にしょっちゅう注意される程度)、水を得た魚の如く、ツバサは男をとっかえひっかえするだらしのない生活をしていたらしい。
 だが、多分にこの学校はもう一つの側面を持っていたと思われる。
 ある日、校内でタバコを吸う場所を探していたツバサは、例の委員長が男子生徒に体育倉庫に連れ込まれた現場に出くわし、彼女の身代わりを申し出る(こんなコトがまかり通るくらい、最初の学校とは比べ物にならないくらい規律が緩い)のだが、その男子生徒のうちの1人はツバサどころか父親の素性まで知っており、さらにヘルプストハイム検査の意味、“天使”の存在価値と大戦中の扱われ方まで認識していた。
 彼の父親は、“天使”に関わる禁制品の薬物を違法に扱っていたとして、ツバサの父に消されたらしいのだが、驚くべきは息子であるこの少年がその事実を知っており、さらには問題の禁制品まで“ちょうどここに”所持していたことだ。
 ――どうにもこの少年、軍人の家系らしく最初からツバサをハメるために、まず委員長を体育倉庫に連れ込んだようにしか思えない。しかも彼女を抑えていた位置的に、わざと声を出させてツバサの注意を引いているようなのだ。
 ともあれ、この後でツバサは委員長が呼んだ黒服黒眼鏡の大人たちによって救出されるが、ここで彼らは自分たちが軍人であり、ツバサが第三世代人間戦車の適性者であることまでペラペラと述べている。つまり、委員長は学校の教師ではなく、どう見ても見かけの怪しい軍人を選んで呼んで来ている。
 作劇上の都合として説明するのは簡単だが、ここに1つの仮定を入れてみたい。
 この学校は、ツバサや彼女に復讐しようとした少年のような、問題のある軍人の子女を集めた、意図的な問題校だったのではないだろうか。ゆえに規律などあってなきようなモノ。タバコだろうと禁制品の薬物だろうと持ち込み放題。そして軍人の子女ばかりが通うゆえに、生徒たちも一般人である教師とは別に、軍人の大人を察する能力に長ける……。

 こう考えると、この後に瑞穂中学校へ転校した彼女が、ドライクロイツの制服であるブレザー軍服を嫌い、瑞穂中学校のセーラーを着ているのにも何となく理由が見えるようで面白い。
 なお、ツバサは例の委員長について「前の委員長は元気かな」などと呑気に回想しているので、この学校の場所は、帝都や八門結界の破れた地域では無いだろう。おそらく、ツバサはアパートか何かに一人住まいだったと思われるので、そういう意味ではとても都合の良い環境だったと思われる。
(余談だが、最初の学校は名門っぽいだけに、帝都に位置する可能性を否定しきれない。その場合は……(合掌))


■天野家のひとびと
 さて、そんなこんなで、
「自分なんてどうでもいい」
「大事にされるとどうしていいか分からない」
「だからおせっかい焼きは苦手。ついいじめたくなる」
 天野ツバサだが、やはり彼女が虚無感を抱く大きな理由である「家族」。これについては未だ僅かな手がかりしか存在しない。……だが、あのツバサをしてやさぐれたくなるような面々であるからには、優秀ではあるが、きっとトンデモナイ人々に違いない。

 以下は、そんな発想を元に完全な妄想と捏造でお送りする「天野家のひとびと」である。もちろん何の根拠も無いただのお遊びなので、その辺りを含んだ上でお読みいただければ幸い。


■父:天野ダイ
 すんごく渋いサラリーマン系情報将校。
 ヤシマ陸軍情報三課を預かる大物。対外情報を網羅的に扱う一課、天使そのものに関する情報収集を行なう二課とも異なり、情報三課の役目は軍内部の動向監視と査察である。
 軍高官の他人に言えない趣味から兵員たちのアイドルまで内部情報であれば何でも蓄積し、かつあらゆる裏切り行為(直接の情報漏洩から軍需物資の横流し、果ては意図的でないサボタージュまで)に断固たる制裁を加える情報三課は、全軍から恐怖と畏敬を以って語られる部署でもある。
 現場に立てば鬼か修羅かと恐れられるが、家に帰ればただの子煩悩なおじさん。その辺りのギャップがどうもツバサに好かれない理由のようだ(兄と姉は、あえて分別良くパパのノリに合わせている)。
 なお、ダイはニックネーム。40年戦役終盤の若かりし頃は、ヨーロッパを縦横無尽に駆け回り、一対一なら生身で天使兵を撃滅する戦闘力をして“勇者”の二つ名を欲しい侭にしていたらしく、その頃の愛称を今も引き続き使っている。
 鎖国以降の最大のライバルは“トクニのジョー”。彼だけは情報三課の総力を以ってしても、その活動をある程度抑え込むまでしかできていない。……1人くらいはそういうヤツがいなきゃあ張り合いも出ねえ、とは本人の弁。
 ちなみに、本名は「大」と書いて「ヒロシ」と読む。幼いころの夢は脚本家。

■母:天野ソラ
 一見すると、緑の黒髪のヤシマ美人。
 年齢の割にはかなり若く見える。
 それもそのはず。実は天野ソラは純血のヤシマ人と同じく、強い霊力を持つ“夜叉”の末裔なのだ。“夜叉”とはオニの血を濃く受け継ぎながら、その特徴である角を持たない一族の総称であり、総じてヤシマの歴史では“角無し”として迫害を受けてきた人々でもある。
 濃いオニの血により高い対天使戦闘能力を有することから、40年戦役以降はずいぶんと風当たりも減ってはいるのだが、現代でも“夜叉”たちへの圧力はそれなりに存在するため、ツバサたちの母であるソラも、夫以外にはその正体を明かしていない。
 40年戦役終盤、現在の夫である天野大と出逢い、共にヨーロッパ中を駆け回って合衆国の諜報機関を震え上がらせた冷鉄の夜叉。元来“夜叉”は直射日光を苦手とするが、夜を走り闇を駆け“勇者”天野大をサポートするのは、彼女にとって実にやりがいのある日々であった。
 初めての子供を授かった後、ヤシマに戻っている。以降はワークス:情報将校、カヴァー:主婦を堅持。
 なお、ツバサが“黒い天使核”を有しているのも、この母親の血が強く影響したため。兄姉妹の中で最も血を濃く引いた証しか、髪を染める前のツバサの黒髪も、多分に母親譲りに美しかった。
(ツバサはそれがまたコンプレックスだったようだ)

■兄:天野ヒュウガ
 天野家の長男。父と母の素質を素直に受け継いだ天才で、統一帝国系の幼年学校を振り出しに飛び級であっという間に帝大を卒業。ヤシマ陸軍情報部に迎えられ、優秀な情報将校としてめきめきと頭角を現す。
 一部には、あの羽村総司にも匹敵する逸材との声があり、才能だけで云えば間違いなくそのとおりであろう。
 だが、7月4日の開戦後、彼は何を思ったか情報部を辞しヤシマ陸軍第二軍の戦車大隊に転属。主に東海道方面から富士山麓に侵攻してくる天使兵を含んだ合衆国軍と、苛烈な戦いを繰り広げている。
 一説によれば、彼の行動は富士山麓、あるいは箱根に封印された“あるもの”を護るためともされるが、詳細は不明。
 ヒュウガの“勇者”としての素質は父親以上であり、彼が指揮する戦車大隊は、まともな対天使装備も持たず主天使級天使兵を粉砕した――など眉唾ものの噂まで流れている始末。
 どこからか調達したケーニッヒティーゲルGXを駆り、多くの敵戦車や天使兵を《ティーガーシュス》と呼ばれる独特の多重砲火戦法で殲滅するヒュウガは、既にヤシマ=統一帝国陸軍の伝説と化し始めているとも言われる。
 羽村総司の妹とは同級生。本領を発揮するまで、幼年学校では気弱ないじめられっ子的立場に甘んじていたという、今では信じられない記録もある。だが、とある事件が彼に“勇者”としての覚醒を促したのだとも。

■姉:天野ミサキ
 天野家の長女。名門である東雲女子師範学校を優秀な成績で卒業後、兄と同じく帝大を飛び級で卒業。その後は軍人でなく官僚の道を選び、ヤシマ軍統合幕僚本部のスタッフとして採用される。
 その情報収集・分析・要約能力は同世代どころか幕僚本部全体を見渡しても図抜けており、採用から数年も経たないうちに異例の出世を果たしたという。
 1999年度からは陸軍陰陽部に人事交流のため出向していたが、これが彼女の生命を救った。古都にて呪法弾道ミサイルの直撃を免れたミサキは、維馬篭代胤によりヤシマ軍大本営に招聘され、情報分析部門においてヤシマ軍を支える重要な位置を占めることとなる。
 公私に渡り必要な時に必要な情報を必要な分量で解析して届けてくれる、極めて優秀なサポート能力を有し、世が世であれば一国の軍師になれたと冗談交じりに評される女性。
 母や妹に似て美人でもあるが、ある意味お節介すぎる性格と高い分析能力が仇になるのか、恋愛方面は苦手。美点を述べるのと同じだけ欠点を挙げるだけでなく、懇切丁寧に解決策まで説明しだしたところで相手の男が逃げ出すらしい。
 なお、天賦の才ほどでは無いが多少の絵心があり、幼いころの夢は風景画家。

■妹:天野ツバサ
 本人。天野家の次女である。

記:2007.11.21


エンゼルギア研究所/管理人:相馬斉遠