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◇ 特技評価/オーギュメント総論 ◇

「ギアドライバーを始めとして、さまざまな兵士たちが参戦している」
――『エンゼルギア2nd』クラスデータより

 

01/02/03/04/05/06/07/08/09/10/11/12/13/14/考察TOP


■リスト
ティファレト/ナフタリ/ブリアー マルクト/アッシャー/ガド
ネツァク/イサカル/ラオデキヤ ケセド/ゼブルン/ペルガモ
コクマー/エフェソス/ルベン アツィルト/エフライム/スミルナ
ゲブラー/シメオン/フィラデルフィア イェソド/イエツィラー/レビ
ケテル/ベレシス/マナシヤ ナヘル/フラーテ
ホド/サルディス/ダン ギホン/ピソン/ヒディケル
ビナー/アシェル/テアテラ ベニヤミン/マナセ


エヴァ/エヴァU/ミカエル/ラファエル/ガブリエル
ウリエル/メタトロン/ハニエル総評

■評価基準
 ここでは、私が「エンゼルギア2nd」のセッションでGM、プレイヤー、観客として経験したことから、独断と偏見を基にオーギュメントや特技を評価している。よって、これらは全て正しいわけでもなければ、間違っているわけでもない。
 何らかの参考になれば幸いであるし、ならなくてもいっこうに構わない。
 大まかにS〜Eで格付けしているが、この評価は、特技あるいはオーギュメント同士で見たものであることは理解して欲しい。
 また、これらの評価はシナリオギミックを想定しておらず、今後とも追加される特技や装備等でも変動しうるので注意すること。

S/その特技やオーギュメントの有無が、戦局を左右するほど強力、または重要なもの。キャラクター作成時に、各PCが1つは取りたいもの。すごい特技。

A/コストパフォーマンスに優れる、有効な特技やオーギュメント。キャラクター作成時に、PCのうち誰か1人は取得しておきたいもの。エースな特技。

B/取得していれば、より生存率の上がる特技やオーギュメント。局面においては重要な役割を果たすことも。経験点を獲得したら、なるべく早いうちに取得したいもの。実用的な特技。

C/キャラクター作成時に取る必要性は低いが、取得していればそれなりに便利な特技。フレーバー的に取得していると面白いもの。やや趣味的。

D/使う局面が限定され、取得しても恩恵が見えづらい特技。キャラクター作成時には取らない方が無難なもの。正直、使い勝手が悪い。

E/明らかな上位互換の特技や行動が存在するなど、価値を見出せないもの。


ティファレト/B
 アーティラリーのオーギュメント。
 必須という程ではないが、敵の《†奇跡》をほぼ相殺できるので、あると何かと便利。特に《場面攻撃》からのそれを潰せれば大きいだろう。
 逆に、相手の回避成功数を下げて、こちらの攻撃を命中させる補助として使うのは、少々勿体ない。と言うより、《†奇跡》抜きで《ケテル》にこれを使わないとPCの攻撃が命中しないような敵は、シナリオギミックでなければどこか間違っている気がしなくもない。
 もちろん《ミカエル》と比べてはいけない。むしろトゥアレタ以外のダーザインで起動できることを、有効活用するべき。

ナフタリ/B
 アーティラリーの追加オーギュメント。
 ダメージを与えた敵の、次のリアクションの成功数を0にするという、擬似《ミカエル》のような効果を持つ。しかし《ミカエル》や《ティファレト》は使うタイミングを選ばない点が優れるのであって、そもそも命中を期待できる相手に対し、態々オーギュメントを使って得たい効果か? と考えるとやや疑問符がつく。
 それでも、ダメージブーストあるいはより破壊力のある攻撃方法を持つ味方への支援と考えれば、効果自体は悪くない。《予測射撃》に乗せて、生き残った敵を掃討しやすくする手もあるので、扱いは難しいが、支援系なアーティラリーであれば取ってみても面白いかも知れない。
 アガペー上昇値が20と高いのが難点。連続使用する場合は、パトスチットでのアガペー減少を前提に考えた方が良いだろう。

ブリアー/A
 アーティラリーの追加オーギュメント。
 単体の対象に10d6+【理知】のダメージを与える。特技などでは軽減できないため、ヴィークルやナビゲーターの支援を受けた状態で使えば、結構な破壊力が見込めるだろう。機体性能にもよるが、概ね40〜50ダメージは期待できる。
 オートアクションではなく、イニシアチブプロセスでの使用なのは、連射を防ぎつつ柔軟な運用を見越しての設定。誰かの行動に割り込んで使えるため、積極的に撃っていくのもアリ。むしろボス天使兵に初手で打ち込み、共鳴判定を自分が引き受けるぐらいのつもりで使おう。
 似たような効果を持つ《シメオン》や《イエツィラー》と比べて、破壊力に優れる代わりに対象は単体。明らかに対ボス用であり、その意味でも使いやすい。

ネツァク/A
 ウィザードのオーギュメント。
 《ガブリエル》に比べるとHP1で復帰、バッドステータスは回復しないと数段落ちるが、それでも貴重な復活系ブレイクスルー。メジャーアクションで起動するため、使いこなすには少々慣れが必要か。
 オーギュメントであるので、他の支援系特技を使いながら起動できたり、《イェソド》などと絡めば複数回起動もやれなくはなかったりと、燻し銀な小技を併せると中々に味が出るだろう。
 さらに、HP1で復帰することを逆手に取って、《ピソン》と組み合わせれば素敵な破壊力を叩き出す。「エンドレスサマー」では、敵に強力な特技や災厄が多く追加されたため、出番が増えることも予想される。基本にして優秀なオーギュメントである。

イサカル/S
 ウィザードの追加オーギュメント。
 シーン内で既に使用されたオーギュメント1つをコピーして使用できる。応用力で見れば随分と戦術の幅が広がるため、もちろん評価S。
 ただし、パーティの構成次第では使いどころがほとんど無く、泣きを見ることもある。セットするなら、他のPCのオーギュメントは確認しておこう。
 なお、専用オーギュメントはコピーできない。また《イサカル》そのものの使用回数が1シナリオに1回であるため、効果は単純だが使いこなすにはプレイヤーの知恵と決断が必要。真にウィザードたらんと思う方はぜひ挑戦して欲しい。

 実は専用オーギュメントは無理でも、《テアテラ》がコピーできるため、仲間にシンガーが居れば実質的に専用オーギュメントもコピーできたりする。


ラオデキヤ/S
 ウィザードの追加オーギュメント。
 シーン中、味方の攻撃に対天使効果とダメージ+20を付与する。
 言い換えると、ダメージ限定ながら味方全員に常時《ケテル》が掛かるようなものであり、とても強い。正直なところ、福音を狙わないなら《コクマー》より遥かに強力。「エンドレスサマー」では、敵側に複数のダメージ軽減特技も追加されているので、セットしておいて絶対に損はしないだろう。
 さりげなく自分も対象にできるが、残念ながら攻撃ではない《ブリアー》などは効果を受けられない。ここは素直に諦めておこう。
 もちろん《呪法爆弾》などは強化されるので、そこは安心できる。
 アガペー上昇値が20と少々キツいが、これは戦闘の初手でかけるべきオーギュメントなのであまり気にならない。

コクマー/A
 オフィーツィアのオーギュメント。
 他者にだけ使える《ケテル》だが、逆に言えば《ケテル》に上乗せできるので、普通に強い。使いどころの見極めは、そのままプレイヤーの指揮官としての資質を炙り出すことだろう。
 なお、[福音]を狙うなら評価S。これと《ケテル》は最低限必要と言っても過言ではない。

エフェソス/A
 オフィーツィアの追加オーギュメント。
 ロゴスの使用によるアガペーの上昇値を1/4にする。つまり、通常ならダメージブーストにロゴス40を投入すればアガペーも+40で、かなり天使化が見えてしまうが、これと併用すれば、アガペーは+10で済む。仲間の生還を重視する指揮官らしいオーギュメントと言えるだろう。
 もし《操気術》の使えるサムライが居るとロゴス40点投入、アガペー+10でダメージ+80と訳の分からない破壊力を発揮する。《フラーテ》に大量のロゴスを注ぎ込めるようになるので、福音を浪漫で狙う時にもどうぞ。
 アガペー上昇値が20と、やや辛いのが難点。使いどころを誤ると自爆しかねない。指揮官たるもの、常に冷静であり(パトスチットを確保しておき)たいものである。

ルベン/A
 オフィーツィアの追加オーギュメント。
 ぱっと見は《ナヘル》と同じ効果に見えるが、打ち消せるのは権能に限定されており下位互換。つまりオーギュメントに対しては全くの無力である。通常の対天使戦闘であれば問題にならないが、敵が人間(ゲストNPC)の場合は要注意。
 ただ、それさえ弁えればやはり強力なオーギュメントであることは間違いない。とりあえず慣れないうちは、他のオーギュメントでは対処しづらい権能、特に《†難攻不落》や《†復活》を潰すだけでも、かなりの効果を発揮するだろう。
 なお、「エンドレスサマー」導入後は、敵が強力な災厄を使用する環境となるため、相対的に価値が跳ね上がる。その場合は評価S。

ゲブラー/B
 ガンスリンガーのオーギュメント。
 追加行動は悪くない効果なのだが、いま一つ地味。
 クライマックスフェイズが、普通の戦闘で終始する場合は、ありがたみが薄い気もする。特に味方にミーディアムが居るなら、これに5レベルダーザインを費やすより、再行動は《イェソド》や《感応》に任せ、自分は素直に別のオーギュメントを使うべきだろう。
 ただしシナリオの条件次第では、移動距離を稼いだり機体の乗り換えに使ったりと、局面をひっくり返す可能性は持っている。
 《ピソン》の下位互換。少々立場が無い。

シメオン/B
 ガンスリンガーの追加オーギュメント。
 範囲(選択)の対象に6d6+【感覚】のダメージを与える。特技などでは軽減できないため、ヴィークルやナビゲーターの支援を受けた状態で使えば、そこそこの破壊力が見込めるだろう。機体性能にもよるが、概ね33〜38ダメージは期待できる。
 オートアクションではなく、イニシアチブプロセスでの使用なのは、連射を防ぎつつ柔軟な運用を見越しての設定。誰かの行動に割り込んで使えるため、積極的に撃っていくのもアリ。
 似たような効果を持つ《ブリアー》や《イエツィラー》と比べて、破壊力も効果範囲も中途半端。いちおうアガペー上昇は無いが、それにしても微妙な使い勝手なのが哀しい。
 これがセフィロトの樹と、約束の地の12支族との違いだろうか。
 いちおう、サジッタやシュトラーヘなどホイシュレッケの上位種でも確実に一掃できるため、状況によっては頼れる場面もある……はず。
 《ブリアー》の使えるアーティラリーが居なければ、ボス天使兵に撃ち込んで、共鳴判定を誘う目的で使えるので、無駄にはならない。

 余談だが、これの初出(GF誌14期2号)より火力が+1d6されている。
 ほんの僅かな修正だが、無いよりは遥かにマシだろう。


フィラデルフィア/C
 ガンスリンガーの追加オーギュメント。
 自分の持つ、回数制限のある特技やオーギュメントの使用回数を1回分回復する。《激励》と違って持っているもの全てに及ぶのが特徴。
 ガンスリンガーは、特技だけでも《※ブルズアイ》《威嚇射撃》《機会行動》《鷹の目》《ムーブアシスト》と回数制限のあるものが多いため、あれば便利なオーギュメントと言えるだろう。
 ただし、これ自体が何かしてくれるわけでは無いので、微妙に使いづらい。自分の持っている特技などと相談し、パーティ内での事前調整は必須。
 例えば《心頭滅却》を持っていれば、後で酷い目にあうこと覚悟で擬似的な《ラファエル》のように機能させることはできるし、《テアテラ》が使えるなら意外といい働きをしそうではあるのだが……。
 アガペー上昇値が20と高いのも、ちょっと切ない。

ケテル/A
 ギアドライバーのオーギュメント。
 成功数+20。自分限定で《†奇跡》と等価値。
 よって、とても使いでのあるオーギュメントである。
 《コクマー》と同じく、[福音]を狙うなら評価S。

ベレシス/A
 ギアドライバーの追加オーギュメント。
 基本的に《†復活》と同じ――と思いきや、HPも装甲もフル回復してくれる点であちらより優秀。さらにシナリオでの回数制限が無いのもポイント。
 いちおう「いつでも使える」と書いてあるが、起動の代償となるダーザインの昇華そのものがオートアクションであり、単純にルールを適用するとまったく使えるタイミングの無い死にオーギュメントに成り果てる。
 本当にその運用をするなら、評価E。
 アガペー上昇値が20と高いが、これを逆手に取って、1ラウンド目は敵の権能や災厄付き攻撃から仲間を守り、その後で使用すれば絶大な効果を発揮する。使うタイミングを見極め、カッコよく再登場と行こう!

 余談だが、これの初出(GF誌14期1号)では戦闘不能が回復できないため、敵から《マインドクラッシュ》を喰らうとなすすべも無くギアドライバーが墜ちるという欠陥が存在した。
 しかし「エンドレスサマー」で欠陥が克服され、シュネルギアに乗っていなくても使えるように改善されたのは、嬉しい話である。


マナシヤ/A
 ギアドライバーの追加オーギュメント。
 基本的に《ラオデキヤ》と同系統の効果だが、あちらは味方全体に効果が及ぶ代わりに+20で固定。こちらは自身しか対象にできないものの、追加ダメージが+[ダーザインのボーナス]。
 言い換えると、アガペー645以上で同等、648以上で上回る。666ギリギリならダメージ全てに+27加算と如何にも派手。
 また、凄いことに《ブリアー》や《イエツィラー》にもダメージが加算できる。ここは《ラオデキヤ》にない利点なので、使いこなせば面白い挙動を示すかも知れない。
 アガペー上昇値が20と高めだが、これは戦闘の初手でかけるべきオーギュメントなので、基本的に問題無い。

ホド/A
 サムライのオーギュメント。
 ダメージ増加はもちろん強力な効果であり、さらに「エンドレスサマー」で追加された、数々のダメージ軽減系エネミー特技を尽く突破できる点で、相対的に価値が高まった。
 相変わらず《†難攻不落》とは相殺しあう関係だが、《攻撃吸収》を薙ぎ払い、《バリアシールド》を易々と破壊できるのは非常に心強い。
 また、《ヒディケル》と組めばダメージ+60確定という破壊力を発揮するが、オーギュメントを2つ使用することは忘れないように。10d6の期待値は35である。

サルディス/B
 サムライの追加オーギュメント。
 自分の受けたダメージに+【肉体】の折り紙を付けて相手に叩き返す。受けたダメージの大きさに比して破壊力が増すため、避けきれない攻撃をあえてリアクションせずに受ける――という戦法もあり。
 ただし、何らかの[操縦不能]等を回復できる手段と併用しないと、いま一つ使いづらい。《ネツァク》もしくは《ガブリエル》の支援を受けるのが理想だろう。どのみち攻撃を喰らうと割り切るなら、《捨身撃》を併せてさらに大ダメージを狙う手もあり。
 なお、死亡ゲージを使う覚悟があるなら、チェックを入れつつ敵に大ダメージを返して自分は健在と、どちらにとっても酷い状況をつくることができる。武士道は死ぬことと見つけたり――と吐いて死のう。
 蛇足だが、タイミングの問題で《心頭滅却》を使うと自分だけが死ぬ。……GF誌13期5号のシナリオに登場する人の死因はこれかも知れないので、二の轍は踏まぬよう注意されたい。

ダン/A
 サムライの追加オーギュメント。
 1シナリオに1回しか使えないが、白兵攻撃(または白兵武器によるリポスト)限定で、自分と相手の成功数を交換する。後の先を取るヤシマ剣術の奥義のような効果を持つ。
 強力な白兵攻撃を受けた時、こちらはわざとリアクションせずに――という使い方がセオリー。ただし、別に使用するのはリポストでなくとも良いので、命中修正の大きい武器を使う時、あるいはどうしても外せない攻撃を(《†奇跡》などで)僅差で回避されてしまった時、それを無理矢理当てることもできる。
 命中の確定した攻撃を保証してくれるため、できれば確保しておきたい。
 しかし1シナリオに1回の制限があるため、《ホド》と交換するべきかどうかは環境に左右されるのが悩ましい。
 アガペー上昇値も20と高いため、パトスチットを握っていないと666を突破せざるをえず、自爆する危険もあるので注意すること。

ビナー/A
 シンガーのオーギュメント。
 他者にだけ使える《ホド》であって、汎用性は高い。その他の特性は《ホド》に同じ。「エンドレスサマー」で追加された、数々のダメージ軽減系エネミー特技を尽く突破できる点で、相対的に価値が高まった。
 逆に言えば、《ホド》に重ねて+20d6ダメージ! と派手なコトをやらかすのは、基本的に愚策である。あたまのわるい偶像に陥らないよう、使用するタイミングには気を使いたい。
 また、《ヒディケル》と組めばダメージ+60確定という破壊力を発揮するが、オーギュメントを2つ使用することは忘れないように。20d6の期待値は70である。

アシェル/A
 シンガーの追加オーギュメント。
 ラウンド終了時まで、これを打ち消す効果以外のオーギュメントと権能、果ては災厄さえ使用できなくする。つまり《ケテル》も《†奇跡》も使えないのに、《接合》や《※戦場の歌姫》は使える環境が発生する。
 これを使って不利になる状況とは、すなわちオーギュメントを駆使しても苦戦が必至である、と考えれば使用をためらう理由は何も無く、敵側の《†難攻不落》も《†復活》も《†ケルンV》でさえも、それどころか《†黒き業炎》や《†憎しみの代価》すらこれ1枚で対処できてしまうという、とても酷い効果を持つ。
 基本能力が高く《†奇跡》などに頼らないベテラン兵士、あるいはエネミー特技をふんだんに所有するフーファイターライダーなどが相手の場合のみ裏目に出そうだが、それなら1ラウンド耐えてから、他のオーギュメントをフル投入で圧倒すればいいのであまり気にならない。
 ――現状、打ち消し系の権能が無いため、これを使われると天使兵ではどうしようもない状況に陥る。敵に《ベニヤミン》を使われた時は素直に諦めよう。
 いちおう、敵味方関係なく巻き込むので評価Aだが、実質的には評価S。
 アガペー上昇値が20と高いため、使い方次第では簡単に自爆するのがほぼ唯一の欠点。戦闘開始直後に使って、味方がダーザインのオープンアップをフルドライブする時間を稼ぐ使い方が基本だが、他にも使いどころは多いので、セットしたらパトスチットを貯めておくようにしよう。

テアテラ/S
 シンガーの追加オーギュメント。
 自身こそ対象にできないが、任意のタイミングで、対象が昇華したダーザインを回復させる効果を持つ。例えばオーギュメントの使用に昇華したダーザインを、次はアガペー減少に使ってもらうなど、汎用性の高い支援が可能。

 しかし――。このオーギュメントの真価はそんなものではない。

 どのダーザインを回復させるかは、対象が決定するため、ギアドライバーがナビゲーターから提供される専用オーギュメントの数が、事実上《テアテラ》の数だけ増えることを意味するからだ。
 さすがに1シナリオ1回の制限はあるものの、専用オーギュメントが1枚増えると考えれば単純明快にして強力。ほぼ《イサカル》の上位互換に近いが、自分を対象にできないため純粋な上位互換とは言い難い。むしろ仲間のウィザードが《イサカル》でこれをコピーすればいいので、両方あった方がお得だったりする。

 余談だが、これの初出(GF誌14期2号)では回数制限が無く、《ミカエル》でも《ラファエル》でも《ガブリエル》でも打ち放題という破綻した性能だった。
 ――暴虐なオーギュメントの連打で騎士級天使を圧倒するドライクロイツも見たかった気もするが、今となっては幻、すべて“無かったこと”である。


マルクト/B
 ソルジャーのオーギュメント。
 《ラファエル》と比べてはいけない。向こうは瑞穂基地最強、こちらは一介の機械化兵である。
 それでも《†神罰》に対して何とか頑張れることを信じて――。という使い方は想定の範囲内。いっそダメージ軽減効果は気にせず、[捕縛]や[重圧]など、喰らうとキツいバッドステータスを弾けるオーギュメントと割り切った方が、精神的にはラクかも。
 特に、《讃美歌》や複数重ねの《BS攻撃》を受け、同時に多数のバッドステータスが発生する状況なら、かなり輝けるかも知れない。しかしPCにしてみれば、そんな状況は厳しい以外の何物でもないのだが……。
 また、《ヒディケル》と組めばダメージ−60確定だが、ソルジャーには《不死身の異名》という奥の手がある。オーギュメント2つを使うより効果が高いというステキさなので、《マルクト》を使うなら最優先で取得するべき。
 その場合は、評価A。たぶん七支隊のメンバー(+なんとなく天野ツバサ)は、全員がこれを取得していると思われる。

アッシャー/A
 ソルジャーの追加オーギュメント。
 攻撃の対象を自分1人に変更するという、とても漢らしい効果を持つ。要するに対《場面攻撃》及び《‡星を落とすもの》用の切り札。さすがにオーギュメントなだけあって《攻撃誘導》が霞むほどに強力。やっぱりソルジャーさんは、不可能を可能に――!
 ただし、どうあがいても自分は攻撃の対象になる。《不死身の異名》付き《マルクト》と併せれば《ミカエル》や《ラファエル》に比肩するが、そもそも比べてはいけない。

ガド/B
 ソルジャーの追加オーギュメント。
 同意した対象にしか効果が無いが、キャラクター1人をシーンの好きな場所に移動させることができる。白兵系だが鈍足な仲間(あるいは自分)をボス敵まで直送すれば、とても喜ばれるだろう。
 敵に囲まれた、あるいは[戦闘不能]でとどめを刺される直前の味方を救出するのにも使えるが、これがあればルールブック付属シナリオの第1話で散るソルジャーが減ったかどうかは定かでない。
 なお、《†至高天の誘い》で孤立させられた味方を一瞬で引き戻せるのは、覚えておくといつか役に立つかも知れない。

ケセド/B
 ツィヴィールのオーギュメント。
 他者にだけ使える《マルクト》だが、逆に汎用性は高い気もする。
 バッドステータスを弾けるのは、やはりありがたいが……《マルクト》と異なり、ダメージを0に軽減する特技が無いのでどうしても地味な印象は否めない。《†神罰》1本で相殺されるままでは、やはり辛いものがある。喰らうとキツいバッドステータス多重攻撃を無効化する用途と割り切り、ダメージ減少はおまけ、ぐらいに考えた方が使いやすいかも知れない。
 追加オーギュメントである《ヒディケル》と組めば、ダメージ60点軽減という凄い効果を発揮する。ただし、オーギュメントを2つ使用していることは忘れないように。ちなみに20d6の期待値は70である。

ゼブルン/D
 ツィヴィールの追加オーギュメント。
 一見すると、自分のオーギュメントを他者に回してアガペー減少をしてもらえる効果で、なかなか面白い。
 効果自体は《テアテラ》の下位互換そのもの(ダーザインが回復すればアガペー減少も使えるため)だが、1シナリオ1回しか使えない《テアテラ》が、この用途でわざわざ使用されることは基本的に無いので、回数制限を持たないこちらにも、それなりに意味はある。
 しかし、どのみち他者が自前でできることであり、さらにはパトスチットによるアガペー減少まで可能となったので、どうにも存在意義が薄い。これを連打しないとまずい状況とは、ほぼ負け確定とも言えそうなので、あまり旨みの無いオーギュメントである。

ペルガモ/B
 ツィヴィールの追加オーギュメント。
 他者の持つ、回数制限のある特技やオーギュメントの使用回数を、1回分回復する。《激励》と違って持っているもの全てに及ぶのが特徴。
 対象は他者に限られるため、うまくパーティ内で調整しておかないと紙切れに成り下がるが、その分、《フィラデルフィア》より汎用性が高いとも言える。
 ソルジャーの《心頭滅却》を増やして守ってもらう、ホムンクルスの《アツィルト》を増やして立ち上がってもらう、サムライの《奇襲》を増やして強敵を打倒してもらうなど、いろいろと使いどころはある。一番の使い道は、仲間のシンガーに《テアテラ》を増やしてもらうことだろう。
 これが自分にも使えれば、シンガー/ツィヴィールが強力な支援役になれるが、さすがにそれは高望みし過ぎということか。
 アガペー上昇値が20とキツく、単発セッションやコンベンションの場で使うのは難しいが、キャンペーンなら採用の余地もある。

アツィルト/B
 ホムンクルスのオーギュメント。
 《ネツァク》と異なり自分限定の復活系ブレイクスルーである。1シーンに1回しか使えないのがネックだが、《スケープゴート》と組み合わせれば、美味しい状況が作り出せるだろう。
 決して悪くないオーギュメントなのだが、それを使用する代償となるダーザインの昇華がオートアクションであるため、単純にルールを適用するとシーン1回どころか、まったく使えるタイミングの無い死にオーギュメントに成り果てる。
 本当にその運用をするなら、評価E。
 なお、HP1で復帰することを逆手に取って《ピソン》と組み合わせれば、素敵な破壊力を叩き出す。追加オーギュメントにより、株を上げたひとつである。

エフライム/S
 ホムンクルスの追加オーギュメント。
 一見すると《予測射撃》と同じ効果ながら、これは「誰でも対象にできる」上に「武器が捕縛されない」ことに加え「アガペー上昇が無い」だけでなく「何度でも使える」ため、非常に使い勝手が良い。
 ただし、《予測射撃》と異なりメジャーアクション追加での連打はできない。
 よって、《デッドエンド》持ちを支援するのが基本戦術となるだろう。

スミルナ/B
 ホムンクルスの追加オーギュメント。
 GF誌での初出時は生身で打ち放題。「エンドレスサマー」収録時はヴィークルに乗っていれば使い放題。……という紆余曲折を経て、ようやく本来の機能である自己犠牲を伴う特別攻撃に落ち着いた。
 ケルンや結界を無視して「アガペー÷10」のダメージを与えることが可能。代わりに自分のHPは1に、ヴィークルの装甲も0になって[操縦不能]になるなど代償も大きい。
 しかしアガペーが600なら、(アガペー上昇値を含めて)確実に62ダメージを叩きこめるため、最後の手段、あるいはあと一押しとして非常に優秀。さりげなく範囲(選択)なのも見逃せない。
 よって、代償を何らかの手段で回復または回避する見込みがあるなら、評価A並みの威力は持っている。純ホムンクルスで《アツィルト》と重ねて取るのが手っ取り早いが、戦闘以外で活躍しづらいのが難点だろうか。
 なお、天使化を厭わなければ最大66ダメージ。完全機械化兵を消耗品として7体自爆させれば、66×7=462ダメージが見込める。理屈の上では騎士級天使を倒す最も確実で簡単な方法、かも知れない。

イェソド/B
 ミーディアムのオーギュメント。
 他者にだけ使える《ゲブラー》だが、そのぶん汎用性は高い。特に、アーティラリーの《予測射撃》を先制あるいは連打できるため、その運用なら評価A。
 《感応》と違って純粋に行動を追加するので、まったく同じ効果ではない。上手に使い分けられるか、腕の見せ所だろう。
 なお、ゲームを崩壊させかねないほど強力なので、あえて評価基準には含めないが、【聖霊】に特化したギアドライバー/シンガーと組むと、毎ラウンド[福音]を発生させるエンジンに化ける。

イエツィラー/A
 ミーディアムの追加オーギュメント。
 いわゆる全体攻撃。場面(選択)に4d6+【聖霊】ダメージ。
 一見すると地味に思えるが、【聖霊】8もあれば20ダメージが期待でき、これだけでホイシュレッケをほぼ一掃する火力を持つため、さりげなく強力。ナビゲーターとシュネルギアで補強して【聖霊】が17あたりまで上がれば30ダメージが期待できるため、サジッタやシュトラーへなどの上位種も駆逐できる。
 結界やケルンを無視するので、低いダメージでも強力な天使兵までちゃんと効くのもポイント。
 アガペー上昇値が20と、似たような効果を持つ《ブリアー》や《シメオン》と異なりキツい代償がある。しかし、これは戦闘が始まったらすぐに打ち込んで良いオーギュメントなので、あまり気にならない。
 欠点があるとすれば、同時攻撃した敵からそれぞれ《†黒き業炎》や《†憎しみの代価》を受けた時だろうか。何となくヤシマ海軍で陰陽部が壊滅している理由が透けて見えるオーギュメントである。

レビ/C
 ミーディアムの追加オーギュメント。
 対象の装甲を20点回復する。上限を超えた分は[元の装甲+20]点までは許容されるが、増えた分はシーン終了時に消えてしまうため、頑張ってミドルフェイズで使ってもあまり役に立たない。
 これで場面(選択)かミドルフェイズでも使えるなら評価Bだが、クライマックスフェイズの初期配置がGMの掌にある上、PC側の移動や配置を操作する災厄まで登場したりと、あまり日の目を見そうにない。
 所詮20点なので、かけ放題にしてもバチは当たらない気がする。あるいはシナリオ1回限定で良いので+50点ぐらいなら随分と違ってくるのだが……。
 いちおう装甲の最大値も上げてくれるようなので、回復系の特技にちょっと活躍の場が出てくる……のは夢を見過ぎだろうか。

 味方全員に使えたなら、それなりに悪くない効果。《装甲換装》あたりと併せれば、《†神罰》1回くらいは耐えてくれる。《†奇跡》で増加したダメージと相殺と考えればお釣りが来そうだが、割と気のせいなので頼り過ぎないように。


エヴァ/A
 八坂凍の専用オーギュメント。始まりの女性の権能。
 効果は+30成功と、単純に1.5倍《ケテル》。
 残念ながら(《マナセ》の助けを借りなければ)タイミングの問題で《ケテル》と《エヴァ》の同時使用は不可能であり、ナビゲーター専用オーギュメントの中では、いま一つ地味な存在になってしまった。
 とはいえ、さすがに《ケテル》の純粋な上位互換だけあって、[福音]を狙うなら評価S。

エヴァU/SS
 八坂凍の専用オーギュメント。タイトルヒロインの権能。
 効果はジョーカーそのもの。特に制限の無い願望実現機。ただし内容はGMとの相談になるため、パワーには(通常)限界が存在する。従って、普通は任意のオーギュメントの効果を発揮できるという指針により、オールマイティとして使う事になるだろう。

 ……ゆえに、単純かつとても強い。
 元々の凍のオーギュメントが1.5倍《ケテル》であると考えれば破格の性能である。状況に応じて《ミカエル》でも《ラファエル》でも《メタトロン》でも使える上、場合によってはシナリオを解決する最後の切り札にもなるだろう。
 GMが許可すれば、既存のオーギュメントの欠点を克服した状態で使用したり、本来は天使兵しか使えない災厄を使用することさえ可能である。

 使用条件は、「シナリオダーザインとして」凍のダーザインが設定されること。もちろんGMの権限なので、これを使いたい場合は確認すると良いだろう。
 これにより、凍は《エヴァ》と《エヴァU》の2つのオーギュメントを持つ状態も発生しうる。その万能性があらゆるオーギュメントを凌駕するため、評価SS。


ミカエル/S
 トゥアレタ・クレーリオンの専用オーギュメント。《ティファレト》を守護する四大天使の権能。
 対象の判定の成功数を0にするという、恐ろしいことが書いてある。
 一見すると大したこと無いように思えるが、ここぞという時のダメージブースト(差分値的な意味で)にも、《†奇跡》の乗った《‡星を落とすもの》を叩きつぶすのにも使えるため、非常に汎用性が高い。
 基本レギュレーションの4人のナビゲーターが持つ、専用オーギュメントの中ではおそらく最強。さすがは四大天使の長だということか。

ラファエル/S
 草薙伊音の専用オーギュメント。《ホド》を守護する四大天使の権能。
 これまた恐ろしいことに、《マルクト》と《ケセド》を好きなだけ揃えた上で、無限大にサイコロを振って良いと書いてある。《†奇跡》の乗った《‡星を落とすもの》による《†神罰》さえも叩きつぶす。条件が合えばさらに《捨身撃》して、自分だけ立っていることも可能。
 正直、出撃したシュネルギア隊全体の生存性を上げるなら、トゥアレタか伊音は必須なのではなかろうか?

ガブリエル/A
 セラピア・パルマコンの専用オーギュメント。《イェソド》を守護する四大天使の権能。
 HPと装甲全快、バッドステータス全解除でいつでも戦線復帰という素晴らしい効果を持つ。もっとも、それで救えるのは1人だけであり、全滅の脅威から全体を救える《ミカエル》《ラファエル》に比べると、やはり地味な印象はぬぐえない。これが[範囲(選択)]なら、かなり凄いことになったと思われるのだが……。
 それでも、撃墜されるまでの敵の攻撃を無効化したのと同じと考えれば、相応に強力。シナリオギミックでヒロインを救う最後の手段になることもあるだろう。
 なお、《フルファイア》や《モータルストーム》で受けた複数の[捕縛]を同時に回復可能。追加した武装の使用回数が残っていれば火力も回復できるのは、覚えておいて損は無い。
 《ベレシス》持ちのギアドライバーに対しては微妙。それでも、こちらは代償が無いため、純粋に下位互換というわけではない。

ウリエル/A
 クベルタ10-9の専用オーギュメント。セフィロトの樹の内側に存在しない、四大天使の権能。
 効果は、白兵限定の解除された《ダン》そのもの。汎用性が著しく向上しているのにアガペー上昇は起こらず、回数制限も無しと、専用オーギュメントに相応しい破格の性能を誇る。……とはいえ、クベルタからのダーザインで7枠埋めるわけにもいかないため、実質的には1〜2回が限度と思われる。
 よって、基本的な使い方は《ダン》に準じる。
 色々な状況で使えるが、基本としては絶対命中または確定回避、と覚えておけば良いだろう。

メタトロン/A
 雛子・K・ガイストの専用オーギュメント。《ケテル》を守護する七大天使の権能。
 効果は、ほぼ強化版《シメオン》。エキストラ及びモブの種別:天使のキャラクターは自動的に粉砕され、そうでないものでも6d6+【聖霊】のダメージを受ける。また、この効果は「命令を拒否したことによる自害」のため、《†黒き業炎》や《†憎しみの代価》も(おそらくは)無効。ギアドライバーの守護天使にして大天使かつ熾天使の名を冠するだけの効果はある、と言えるだろう。
 実際には、天使兵を支配下に置くという効果なので、GMが認めればあの騎士級天使すら味方に付けることが可能。……現実にそんなことはまず起こらないだろうが、それでもホイシュレッケや能天使を支配下に置いて戦力にできれば、いい働きをしてくれるかも知れない。

ナヘル/S
 特殊オーギュメント。専用オーギュメントの無いナビゲーターから提供する場合は、「エンドレスサマー」環境ではメイリィ、紀央、(登場していれば)T−Xの三人からとなる。
 効果は、他のオーギュメントや権能を打ち消すというもの。打ち消し系ブレイクスルーであるため、基本的な効果ながら、それ故にとても強い。取得条件が明確になったことで、一気に株を上げたオーギュメントである。
 もちろん、使いどころは見極める必要があるが、とりあえず慣れないうちは他のオーギュメントでは対処しづらい権能、特に《†難攻不落》や《†復活》を潰すだけでも、かなりの効果を発揮するだろう。
 対天使戦闘に限って言えば、ウィザードに《ルベン》が追加されたために、やや使用回数の面で不利となった。これを補うため、同じクラスを重ねて取得する選択も十分に考えるべきだろう。
 特に、敵が人間と天使兵の混成部隊である場合、強力なオーギュメントと権能に同時に対処できるのは、これだけである。じゅうぶんに活用されたい。

フラーテ/B
 特殊オーギュメント。専用オーギュメントの無いナビゲーターから提供する場合は、「エンドレスサマー」環境ではメイリィ、紀央、(登場していれば)T−Xの三人からとなる。
 かつてのエンゼルギア1stの、「ロゴスを消費して判定ダイスを増やす」環境を復活させる効果を持つ。よって決して悪い効果ではないのだが、技能レベル5でも投入ロゴス18で成功数+15が期待値と、実に微妙。
 起動に必要な5レベルダーザインの昇華で成功数+10、ロゴス18で普通に成功数を買うと+6の合計+16成功と考えると、技能レベル5でロゴス20以上を投入しないと割に合わない。しかし、ロゴスは使えば使うほど天使化が近づく両刃の剣であることも忘れてはならない。
 こうして見ると、実に使いどころの難しいオーギュメントである。
 他者や自分に使う分には、素直に《コクマー》や《ケテル》を使うべきだろう。
 《フラーテ》の真の価値は、それが出来ない場合……つまり純オフィーツィアが自分の判定値をブーストしたり、純ギアドライバーが他者の判定値をブーストしたりすることで発揮される、かも知れない。
 また、キャラクターを失うことを厭わなければ、理論上、技能レベル5でロゴス100も突っ込めば自分1人でも[福音]を発生させることは可能。――戦場から「大空の騎士」が減っているのも頷ける話である。
(なお、この場合でも《エフェソス》の支援があれば、上昇するアガペーは25で済むため、けっこう生き残れる目が出てくる。優秀な指揮官が如何に大事か分かる話である)

 なお、大量のパトスチットをクライマックスフェイズに用意できる環境(主に、PC全員が常に裁定者であるなど)の場合は、ロゴス消費によるアガペーをパトスで相殺できるため、多少は使いやすくなる。
 さらに《ギホン》があれば、投入したロゴスを全て成功数に変換できるようになるため、凄まじい効果を発揮することもあり得る。特に「正念場宣言」と組み合わせれば何か凄いことが起こりそうな気がする。
 あなたが『エンゼルギア1st』にも興味をお持ちであれば、いちどはあの福音を味わってみては如何だろうか?


ギホン/A
 特殊オーギュメント。専用オーギュメントの無いナビゲーターから提供する場合は、「エンドレスサマー」環境ではメイリィ、紀央、(登場していれば)T−Xの三人からとなる。
 同意した対象が次に振るダイスの出目を、全て1にするという効果を持つ。一見するとあらゆるダメージを最低レベルに抑え込む擬似《ラファエル》に思えるが、同意しない対象には効かないので意味が無い。
 つまり、これの真価は味方のダイス目を全て1にすること。言い換えれば判定値を成功数に1対1で変換することにある。
 さらに《フラーテ》と組み合わせると、投入したロゴスがすべて成功数となって凄いことが起こる気がする。ただし、その実現には事実上オーギュメントと5レベルダーザインを2つ使っていることには注意しよう。
 あまりやらないとは思われるが、とても強い共鳴判定や侵食(目安は5〜7以上だろうか)を喰らった時、それを最低値で済ます裏技もあるので、覚えておくと役に立つかも知れない。

ピソン/A
 特殊オーギュメント。専用オーギュメントの無いナビゲーターから提供する場合は、「エンドレスサマー」環境ではメイリィ、紀央、(登場していれば)T−Xの三人からとなる。
 効果は、ほぼ《ゲブラー》の上位互換。全く同じ効果に加えて、いわゆる憤怒系(装甲の最大値と現在値の差分)の追加ダメージというおまけまで付いている。
 シュネルギアの装甲は概ね30点程度にはなるので、《ネツァク》直後から使用すれば《ホド》や《ビナー》の期待値程度は追加ダメージが見込める。
 逆に言えば、ガンスリンガーはあまり取らない方が良いかも知れない。自分の力で何とかしてみよう。ヴィークルに乗っていなければ《ゲブラー》と効果も変わらないのだし。

 まったくの余談だが、改大和級戦艦のHPを1にしてからこれを使えば、騎士級天使も2撃で轟沈する冗談めいた破壊力を発揮する。シナリオクラフトでの最後の手段として、《伝家の宝刀》と併せて仕込んでおくのは悪くない選択……か?


ヒディケル/A
 特殊オーギュメント。専用オーギュメントの無いナビゲーターから提供する場合は、「エンドレスサマー」環境ではメイリィ、紀央、(登場していれば)T−Xの三人からとなる。
 同意した対象が次に振るダイスの出目を、全て6にするという効果を持つ。一見するとあらゆる判定を邪魔できる擬似《ミカエル》に思えるが、同意しない対象には効かないので意味が無い。
 つまり、これの真価は味方のダイスロールを最大値にすること。例えば5レベルダーザインによるアガペー減少を30で確定したり、《ホド》や《マルクト》の効果を60で確定したりできる。言い換えれば、ダイスロールの結果が期待値なら概ね1.71倍、特にダイス目の悪い人なら2倍以上になるオーギュメントと言えるだろう。
 ただし、その実現には事実上オーギュメントと5レベルダーザインを2つ使っていることには注意。単純に2回やって同じ効果を得られる場合は、使用を控える方が良いこともあるだろう。

ベニヤミン/B
 特殊オーギュメント。専用オーギュメントの無いナビゲーターから提供する場合は、「エンドレスサマー」環境ではメイリィ、紀央、(登場していれば)T−Xの三人からとなる。
 ぱっと見は《ナヘル》と同じ効果に見えるが、打ち消せるのはオーギュメントに限定されている。つまり権能に対しては全くの無力。敵が人間(ゲストNPC)の場合なら使いようもあるが、通常の対天使戦闘ではまず何の役にも立たないため、要注意。
 ただ、打ち消し効果の他にラウンドの間、対象の技能レベルの最大値を1で固定するという、ちょっと怖いことが書いてある。
 言うなれば、「人間が人間を打倒するための」オーギュメントなのだ。
 決断には勇気が必要だが、ハンドアウトから敵がオーギュメントを使用してくると読めた場合はいい動きを見せてくれるかも知れない。
 裏返せば、敵にNPCが存在した場合、これを使われると大変な事態になる、ということである。《ルベン》ではこれに対処できない。くれぐれも警戒されたい。

マナセ/B
 特殊オーギュメント。専用オーギュメントの無いナビゲーターから提供する場合は、「エンドレスサマー」環境ではメイリィ、紀央、(登場していれば)T−Xの三人からとなる。
 対象がオーギュメントを使用する時、同タイミングで2つのオーギュメントを同時使用させることができる。しかも同名のものでも効果が重複するため、2倍《ケテル》で成功数+40や、2倍《ホド》でダメージ+20d6、果ては《エヴァ》と《エヴァU》で成功数+60といった、ちょっと夢のような環境が実現する。
 これ自体が何かしてくれるわけでは無く、事実上3つのオーギュメントを2つのオーギュメントとして集約しただけなので、微妙といえば微妙な効果だが、ゆえに思わぬ強力な結果が出せたり、浪漫を追求したりもできるだろう。
 慣れてきたら一度は試してみたいオーギュメントである。

ハニエル/A
 仁科小雪の専用オーギュメント。《ネツァク》を守護する七大天使の権能。
 効果自体は、対象がギアドライバーとなった《ケテル》。自分がギアドライバーであれば、自分にも僚機にも使える汎用性が出てくる。さらに《ケテル》(または《エヴァ》)や《コクマー》と併用可能であり、[福音]が鳴らしやすくなる優良な効果を持つ。特に【聖霊】に特化したギアドライバー/シンガーが、これに加えて凍を相棒にすると、5レベルダーザインを2つとロゴス15〜20程度を要するものの、単独で[福音]を発生させたりもできる。

 ギアドライバー/シンガー/凍にレープハフトで【聖霊】15。
 《ハニエル》を判定前に使用する。
 判定では、《※接合》《※戦場の歌姫》<芸事>5レベルで《春風の楽》を使用。成功数は期待値で45(15+15+18÷6×5)。
 ここで《エヴァ》を使用する。
 成功数は、合計で20+45+30=95となる。
 不足している成功数5について、ロゴスによる成功数ブーストを行なって[福音]発生。

 もし仁科小雪がNPCとして登場しているのであれば、取得しておくと何かと便利。1シナリオに1回の制限はあるが、基本的にダーザインは1つしか取得しないはずなのであまり気にならない。
 なお、使用タイミングは《ケテル》と異なり「判定の直前」である。ここを間違うと泣きを見る可能性も無くは無いので注意すること。

総評
 「エンドレスサマー」の導入により、そう大幅では無いものの、オーギュメントの価値にも多少の変動が出た。
 ナビゲーターの専用オーギュメントはさておき、使いやすさと効果の分かりやすさで《コクマー》《ケテル》が頭一つ抜きん出ている状況は変わらない。
 《ホド》《ビナー》《マルクト》も、使いどころがはっきりしている上、特技の追加により使い勝手が増している。効果も相応で初心者向けと言えるだろう。
 《ネツァク》と《アツィルト》は、上位互換である《ガブリエル》が環境にあると影が薄くなりがちだが、きちんと使えばちゃんと強いことを忘れずにおきたい。
 《ティファレト》《ゲブラー》《イェソド》は、ぱっと見では強いかどうか分かり辛く、あまり初心者向けでは無い。使いこなせば(毎ターン[福音]爆撃は極端な例としても)いい働きをするので、上級者なら挑戦しては如何だろうか?
 《フラーテ》も、ロゴスを消費して上昇するアガペーをパトスで相殺できるようになったため、そこそこ使えるようになった。
 《ナヘル》は打ち消し系であることを考えれば、最強の1枚。クラスを重ねてでも取りに行く価値は高い。

 追加オーギュメントでは、効果が分かりやすく強力なものとして、《ブリアー》《ラオデキヤ》《ルベン》《マナシヤ》《ダン》《アッシャー》《エフライム》《スミルナ》《イエツィラー》を上げることができる。使用のタイミングも取りやすいので、導入できる環境なら積極的に交換してみるのも良いだろう。
 《エフェソス》《シメオン》《ベレシス》《サルディス》《アシェル》《ガド》も悪くは無いが、何も考えずに使えるほど単純な効果では無い。《ギホン》《ピソン》《ヒディケル》も使い方次第では強力だが、《ナヘル》の単純明快さと引き換えにするという意味では、やや上級者向けだろう。
 《イサカル》《テアテラ》《ペルガモ》は、《テアテラ》を中心として2つ以上揃えると面白いことになる。状況が許せば、積極的に狙ってみてもいいだろう。
 《フィラデルフィア》と《レビ》は、活躍させようと思うといろいろ仕込みが必要なので、モノプレイにはあまり向いていないかも知れない。
 《ベニヤミン》と《マナセ》は、状況次第なので評価しづらい。


記:2009.06.30
総評を追加:2009.07.16
20090820版エラッタ、質疑応答に対応:2009.09.03
追加オーギュメントに対応:2009.11.03
追加オーギュメントに対応、その2:2009.12.28
「エンドレスサマー」ぶんを増補・改訂:2010.03.27
20110228版エラッタ、質疑応答に対応:2011.09.03


エンゼルギア研究所/管理人:相馬斉遠