■幼馴染でメガネでおでこで
「セッティングマテリアル」には、トゥアレタについて興味深い事実が書かれている。彼女は幼年学校時代、神楽と一緒に通学していた幼馴染なのだ。幼馴染で眼鏡でおでこで委員長(そしてツンデレ)と、ヒロインとして多数の切り札を持つトゥアレタだが、ここで引っかかるのは「幼年学校」という言葉である。 実のところエンゼルギアにおいても、学校制度は我々の現代日本と変わらない、小学校6年、中学校3年、高校3年、大学4年と思われる。
戦前の学制を採用しなかったのは、TRPGとしての遊びやすさを優先した結果だろうし、何より14歳の少年少女が通う舞台に「中学校」が設定されていることからも証明できるだろう。実際、GF誌8期1号のシナリオ『誰がための、銃口』において、PC1(サンプルキャラクターを使う限り年齢は14〜15歳程度)が通うのは“足立市立第三中学校”で、普通に男女共学の学校として描かれていた。
にも関わらず、トゥアレタと神楽が通っていたのは「幼年学校」で、しかもこれは6歳から10歳までの少年少女が通う、統一帝国式のものというのだ。
余談だが、現代のドイツにおいてもシュタイナー学校や総合学校を除けば、6歳から10歳までは小学校に通い、そこから大学進学を前提とするギムナジウムや、職業専門学校への進学を前提とする中学校、各種実科学校へと分岐している。
エンゼルギアにおける「幼年学校」が、ドイツにおける小学校をモデルにしているのは想像に難くない。名称が小学校でないのは、ヤシマ式の学校と区別するためだろう。
とどのつまり、ヤシマ=統一帝国においては、ヤシマ式の学制と、統一帝国式の学制が混在する、実に複雑怪奇な状態となっているようなのだ。
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