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Last Update/2012.02.05


◇ パイロットの組み合わせ ◇

「シュネルギアを単座式にすることは不可能ではない」
――『エンゼルギア・マテリアル』第21(実質22)回より

 

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■基本の組み合わせ
 GF誌11期1号に掲載された、NPC同士でシュネルギアに搭乗した場合の基本の組み合わせは、次の通りである。

1番機:ヤークト  ――天野ツバサ&セラピア・パルマコン
2番機:シュトルム ――(未定)&八坂凍
3番機:マサムネ  ――リュンマ・サカモト&草薙伊音
4番機:イェーガー ――アクシア・リヒトヴィッツ&トゥアレタ・クレーリオン

 シュトルムのドライバーが不在なのは、凍の反応速度に対応できないためとされている。もちろんこの空白がパソコンゲーム版「エンゼルギア」における神楽・K・ガイストの基本ポジションなのは間違いないのだが、ルールブックやGF誌でも言及されているとおり、ギアドライバーとナビゲーターの関係は固定されて決まっているわけでもない。
(余談だが、ルールブックでトゥアレタにサンプルPCが対応していないのは、最初からアクシアと組ませることを想定していたからとも考えられる)
 戦況や新装備、果てはドライバーとナビゲーターの喧嘩に至るまで、組み合わせを変える理由は山ほど存在する。ならば逆に、この組み合わせが基本とされていることにも、何かしら理由があるのだろう。
 そこで今回は、この視点から瑞穂基地の公式ドライバー、ナビゲーターの組み合わせについて、もう少し考えてみたい。


■シュネルギア:マサムネ/リュンマ&伊音
 この組み合わせ自体に違和感を覚える人はほとんど居ないと思われるが、逆に何故この組み合わせであるかも、いま一つピンと来ない人も多かったのではないだろうか。
 実のところ、アクシア、ツバサ、リュンマのうち、もっとも近接格闘戦能力に長けているのは間違いなくアクシアだろう。だが、これは他の機体特性についても概ね該当する――言い換えれば、アクシアは誰がナビゲーターでも一定以上の戦力になるため、彼女でなくリュンマが選ばれている理由が存在するはずなのだ。
 おそらく、それは能力ではなく性格の問題からの消去法だと思われる。ツバサは言うに及ばず、アクシアでも堅物真面目一辺倒の軍国娘である伊音とは、いまいち相性が悪いのだろう。その点、やはり生真面目かつ素直な努力家であり、教えれば教えた分だけ吸収して成長するリュンマであれば、初期の戦闘能力は低くとも、大きな伸び代が期待できる――として、この組み合わせが選ばれた可能性が高い。
 これまで描かれたイラストで、リュンマが腕力を鍛えようとするシーンが印象深いのも、伊音の相棒としての努力の一端だとすれば、また違った見方ができるのではないだろうか。

 ただ、この組み合わせには、潜在する問題点がひとつある。
 それは、リュンマが最新兵器に目がないと言う一点に集約されるだろう。最新型のミサイルと聞けばそれだけでドキドキワクワクできる彼女にとって、ヤシマ刀と手裏剣以上の装備は不要と云わんばかりのシュネルギア:マサムネは、最初の頃はともかく、実に「面白味の無い」乗機だろう。
 伊音は伊音でミサイルなど興味の欠片も無いため、リュンマがマサムネに飽きるか、あるいは無理矢理に新装備を搭載しようとした時、この組み合わせは一気に崩壊の危地に陥る可能性が極めて高い。
 もちろん、その事態は想定されていると思われる(たぶん、犠牲者はトゥアレタになるはず)が、この2人にとってどこで妥協点を見出すかが、今後の戦いに於いて何気に重要なポイントとなるのは間違いなく、そこでどのような結論が出されるかが、機体スペック上は最強を誇るシュネルギア:マサムネの命運を決めることになるのかも知れない。


■シュネルギア:ヤークト/ツバサ&セラピア
 この組み合わせも、意外と言えば意外だが、やはりさほど違和感の無いコンビと言えるだろう。天使感知能力と狙撃に異才を持つセラピア、空間把握能力に優れ、ベテランのアペルギアドライバーも舌を巻くほどの操縦技術を有するツバサ。2人の才能は非常に相性が良く、大いに戦果も期待できる組み合わせである。

 ――2人の能力が噛み合えば、だが。

 実際問題、表面ではウザがりつつも年少者の集まりであるドライバー、ナビゲーター陣を気遣っている天野ツバサをして「理解できない」と匙を投げさせる存在がセラピア・パルマコンであり、この点に於いて2人の組み合わせは最悪と言っても過言ではない。
 ドライバーとナビゲーターの相性が戦闘能力をも左右するシュネルギアという兵器において、喧嘩というコミュニケーションすら成立する余地なく、相手のことを「理解できない」のは致命傷である可能性すら持つ。
 それでもこの組み合わせが選ばれ、何とかなっているのは、ひとえにツバサの割り切りとセラピアの不思議能力の賜物だろう。相手を理解することを棚上げにしてもツバサが有能なギアドライバーであることに変わりはなく、またセラピアも日常の振る舞いが一種の偽装である可能性を鑑みれば、相手に理解されずとも協調する程度のことはしてのけるに違いない。
 おそらく、それでは通用しない強敵に出会った時が、この組み合わせ最大の試練となるだろう。――あるいは、ツバサがセラピアの本質を理解“してしまった”時かも知れない。
 それはそれで実に興味深い展開が考えられるが、いったんそうなってしまえば、かなりの間、シュネルギア:ヤークトは戦力外となる危険性をも秘めている。この2人は安定しているように見えて、諸刃の剣を抱えているのだ。


■シュネルギア:イェーガー/アクシア&トゥアレタ
 GF誌で挙げられた基本の組み合わせで、もっとも納得できるのがこの2人だろう。戦闘経験豊富で、どのナビゲーターでも一定以上の戦力として期待できるアクシアに、高度な並列演算能力を持ち、ミサイル戦闘に長けているトゥアレタの組み合わせは、最適解と言っても過言では無いポテンシャルを持つと言える。
 また、トゥアレタがその委員長気質も含めて、アクシアから信頼されているのもポイントが高い。何度も繰り返されるように、シュネルギアという兵器の戦闘能力を、ドライバーとナビゲーターの相性が左右する事実がある以上、2人の間に信頼関係が存在するのは、戦闘に投入される最低限の条件とも言えるからだ。

 ただ、ここで気になるのは、ここまで完璧な組み合わせが敢えて選択されていること、そのものである。
 前述したように、豊富な戦闘経験を持つがゆえに、セラピアでも伊音でもその才能を引き出せるアクシアが、敢えてトゥアレタと組んでいる理由。
 ……それは、シュネルギア隊の隊長であると同時に、ほぼ唯一の成人シュネルギア乗りとしての負担を考慮された結果ではないだろうか。

 小隊長として、アクシアは戦場に出る部下を直卒する立場にある。当然、自分の戦闘だけに専念するわけにはいかない。リュンマが不利になれば援護を行ない、ツバサが隙を見せればフォローする必要がある。そういった点で、後方支援機であるイェーガー(あるいは、パワードアーマー装備時の呼称であるストライカー)は最適な機体だろう。
 また、ミサイル戦闘そのものは、敵の懐に飛び込むマサムネや、狙撃に必要なポジション取りに労を割くヤークトに比べれば、あまりドライバーに負担がかからないと考えられる。トゥアレタの才能も加味すれば、アクシアは最低限の機動と回避以外、戦闘での負担を考慮しないで済んでいるのかも知れない。
 ――逆にいえば、これまでのシュネルギア開発において、アクシアにかかっているエーテル負荷が、それ以外の戦闘を許さないほどに進んでいる可能性も否定しきれない。
 アクシアは、リュンマやツバサと組まないのではなく、組めないのだとしたら。シュネルギア隊は一撃で崩壊しかねない傷を、既にその大黒柱に刻まれているかも知れないのだ。


■シュネルギア:シュトルム/神楽&凍
 ひとつ、不思議なことがある。
 凍の反応速度に誰もついていけないのなら、凍が反応速度を落とすわけには行かないのだろうか?

 結論から言うと、たぶんそれはできないのだろう。
 凍はシュネルギアを運用するための戦闘人形として八坂機関に造られた存在――というのが私の見方だが、これを援用すれば、凍はその調整によって、自分の反応速度を一般人レベルに落とすこともできない仕様になっていると考えられる。
(何らかの理由で性能が落ちかければ“調整”が待っていることは、公式シナリオでも言及されている)
 すなわち凍に反応速度を落とせと言うのは、F1カーで公道を走れと言うに等しい無茶な要求なのだ。兵器としては汎用性に欠けた不良品とも見てとれるが、彼女がそう調整されているならば、やはりそうされる理由があると思うのは考えすぎだろうか。
 ともあれ、天野ツバサやアクシア・リヒトヴィッツでも追随できない反応速度を持つ八坂凍を運用する方法は、3つ考えられる。

(1)シュトルムを単座式にして出撃させる。
(2)シュネルギアを操縦できる完全機械化兵を開発する。
(3)凍に追随できるギアドライバーを探し出す。

 このうち、(1)は最も現実的な選択だが、それゆえに選択されていない。シュネルギアという兵器が2人乗りを強く前提条件とする以上、また単座式の方が天使化の危険性も高まる以上、この選択は(よほどの非常時、あるいは非戦闘時でなければ)考えられない。

 (2)については、クベルタの存在や、T−Xのそもそもの開発目的なども併せて、ある程度考慮されている節もある。常人でついていけないとはいえ、凍は(スペックを鵜呑みにするなら)生身の人間であり、完全機械化兵の反応を上回るなど眉唾ものだろう。
 また、完全機械化兵がフライングユニットや戦闘機、アペルギアを操縦できるなら、技能的にシュネルギアを操縦できない理由は存在しない。すなわち“黒い天使核”を内蔵した完全機械化兵さえ建造できれば、ドライバーとナビゲーターの相性や技量にいちいち悩む必要もなくなる――。しかし第10世代の完全機械化兵は、この時代ではまだ試作機ができるかどうかも怪しい段階であって、これも現実的な選択ではない。

 ならば(3)はどうだろうか。
 そうそう簡単に、そんな都合の良い人材が見つかればヤシマ陸軍情報部も苦労はしないだろう。だが、実はここに「エンゼルギア」の物語を読み解く鍵の1つが潜んでいる気がしてならない。神楽・K・ガイストはおそらく凍の反応速度についていける“天才”的なギアドライバーだと思われるが、真実は逆かも知れない。
 神楽が凍についていけるのではなく、神楽についていける専用のナビゲーターとして八坂機関に用意されたのが、凍という存在だと仮定すると――。神楽の出自も含めた、維馬篭代胤の複雑な感情のひだが見えてきそうである。
 また、それはパソコンゲーム版「エンゼルギア」において、主人公が神楽であり、タイトルヒロインが凍であることそのものを象徴づける物語となりうるのだが――。


■その他の組み合わせ
▼アクシア・リヒトヴィッツ
 彼女の場合、前述したとおり誰と組んでも一定以上の戦力となることは間違い無い。トゥアレタ以外に組むことが物理的に可能であるなら、相性の悪い組み合わせは存在しないため、最も戦況に応じた柔軟な運用が行なえると思われる。
 強いてアクシアの戦闘スタイルから見た場合、一番やりやすいのは凍、やりにくいのは伊音と考えられるが、これも些細な差異でしか無いだろう。

▼天野ツバサ
 素行及び性格面の問題から、草薙伊音との組み合わせは何を置いても避けるべきと考えられる。
 トゥアレタとは一見そりが合わないように見えるが(実際、ツバサは【トゥアレタからの軽蔑】のダーザインを持っている)、裏返せばそれだけコミュニケーションが取れているという証左でもある。「ツバサBB付属本」の設定が正しいとすれば、少なくとも一緒に銭湯に入る程度の友誼は存在すると見ていい。
 反応速度の問題がクリアできるなら、凍と組んでも優れた戦績を納められると思われる。もっとも、彼女の無口さ、無反応さにどこまでツバサが耐えられるか、という問題は残るのだが。

▼リュンマ・サカモト
 アクシアとは別の意味で、どのナビゲーターとも相性が良い。
 強いて挙げるなら、セラピアとは微妙に噛み合わない可能性もあるが、それもリュンマが慣れてしまえば問題なく運用可能だと思われる。

▼神楽・K・ガイスト
 パソコンゲーム版の主人公なだけあって、相性の悪いナビゲーターというものが想像できない。その意味から見ると、神楽がギアドライバーとして“天才”を謳われるのは、ツバサのように操縦センスから来るものではなく、どのナビゲーターと組んでも、彼女たちの能力を120%引き出せる――という点にあるのかも知れない。
 すなわちトゥアレタと組めば圧倒的な制圧力を、伊音と組めば凄まじいまでの攻撃力を、セラピアと組めば精密な狙撃能力をそれぞれ発揮するのだろう。この点だけでもパソコンゲーム版主人公の面目躍如かも知れない。
 そして、このことはクベルタの存在にも対応しうる神楽のポテンシャルを示すと共に、ある疑問への回答ともなっているのだが――。


記:2008.01.02


エンゼルギア研究所/管理人:相馬斉遠