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Last Update/2012.02.05


◇ セラピア(逃避)ルート/前編 ◇

「セラピアはヤシマ生まれではない」
――『エンゼルギア』第参章より

 

01/02/03/04/考察TOP


■前置き
 セラピア・パルマコン。――たぶん1986年の4月末に“連邦”西部の小都市で生まれた少女。“連邦”の大地で育ち、数年前にヤシマへと渡ってきた女の子。
 彼女の、あのまったりのほほんとした性格は恐らく偽装だが、それにしてもその生い立ちが何らかの影響を及ぼした可能性は否定できない。今回は、僅かな手がかりをもとに、彼女がヤシマにやってくるまでどのように過ごしていたかを考えてみたい。

■ヤシマ生まれでない
 セラピアの出生地は、まず“第三の喇叭”の舞台となった“連邦”西部の小都市で間違いないと思われる。これはGF誌の記事において、彼女の母親(と、思われる人物……“緑の聖母”ことエクリシア)がかの事件以降消息を絶ち、行方不明とされる記述に基づく。
 もちろんエクリシアがあの日あの時あの街に居なかった可能性も否定はできないが、あの地域に居たことはほぼ間違いないだろう。これ以降、消息が絶たれたということは、何らかの形で関わっていたことの証左に他ならない。

 そして数年前――おそらくトゥアレタが幼年学校を卒業したであろう1996年よりも後に、セラピアは大陸からメーヴェの手によってヤシマの大地に渡ってくる。これはまったくの推測だが、“黒い天使核”を持つセラピアを大陸から連れ帰ることは、当時のヤシマにおいて極秘中の極秘かつ最優先の任務であり、作戦に従事した将校が“メーヴェのヒロイン”ことアクシア・リヒトヴィッツだったことも想像に難くない(※)
 アクシアは大陸での極秘任務中、“赤毛の魔女”ことアンナ・Oと出会い、彼女の“黒い天使核”を継承したとされる。その任務と出会いにセラピアが関わることは、エンゼルギアそして瑞穂基地を物語る上で重要な意味を持ってくるのだ。

 発想を飛躍する。
 アクシアが大陸でアンナ・Oと出会い、セラピアを連れ帰ったということは、少なくともセラピアをアクシアに引き渡したのがアンナ・Oだったということだ。
 そしてセラピアの母親は“第三の喇叭”以降、生死不明とされており、僅かな目撃証言にも子供連れであることは示されていない。
 ここから導き出されるのは、エクリシアからアンナ・O、アンナ・Oからアクシア・リヒトヴィッツへと託されたバトンとしての、セラピア・パルマコンという少女の姿である。――それは“第三の喇叭”を経てなお人間に残された、数少ない希望の1つかも知れない。

 では、セラピアはどのような逃避行を経てヤシマに至ったのか。
 まったくの空白だが、ある程度想像で補いながら考察する。


■出生〜幼児期
 地図を紐解けば、“第三の喇叭”の舞台となった街は黒海に注ぐドニエプル川の上流に位置する。おそらく最期の戦いを覚悟し、“赤狼隊”は部下に任せてひとりかの街に参じていたアンナ・Oは、旧智であり戦友でもあったエクリシアと再会したのも束の間、彼女の出産に立ち会う羽目になり――セラピアと名づけられた娘を託されてしまう。
 “黒い天使核”を擁し、現代のギアドライバーを圧倒する戦闘経験を以って単身で天使兵に抗することのできるアンナ・Oが、決戦に参加することなく、セラピアと共にかの街を離れた理由は定かでない。
 ただ、恐らくはエクリシアから、この戦いが戦いにならずに終わると聞かされたのではないか。そして、セラピアただ一人を救うため、統一帝国の生き残りたちを捨石にしてまで脱出したとするならば。

 アンナ・Oが向かったのは“連邦”の首都イヴァンナではなく、黒海とカスピ海の狭間、カフカス地方であったと思われる。“連邦”南端に位置するこの地方は、厳寒で知られる“連邦”のイメージとは違ってヤシマにも似た風光明媚な土地柄であり、また“緑の聖母”のゲリラ作戦を支える複雑な地形にも恵まれていた。
 恐らく40年戦役を通じて“緑の聖母”の根拠地の1つだった彼の地は、その娘を守り育てる幾つもの好条件にも恵まれていたのである。

 また、統一帝国の最期の組織的な抵抗が殲滅され、ヤシマが鎖国に追い込まれたことから、合衆国の目が軍事行動から各地の反天使同盟的であった政権の交代に向いたことも、逃げ延びたアンナ・Oとセラピアの一時の安息に寄与するという皮肉な幸運もあった。
 カフカスの優しい自然に包まれ、すくすくと育つセラピア。
 その一方、世界では1987年の「天使核兵器全廃条約」調印、1988年のビルマ政権交代、1989年から1990年にかけては、統一帝国の影響下にあった東欧各地で政権交代が起こり、一連の共和国群を統括する“連邦共和国”と呼ばれる国家の樹立が行なわれる。
 また、同じく1989年の夏、コンロン首都太京では反天使同盟を掲げた学生運動が弾圧され、やはり政権が交代。翌1990年のホウライにおける“血の真夏日”事件に繋がっていく。

 何より象徴的だったのは、1989年11月、かつての統一帝国帝都グラズヘイムに残されていた超要塞の解体終了だった。40年戦役の展開によって集中的な要塞化が行なわれ、それが仇となって一方的に天使兵に蹂躙された帝都グラズヘイムは――見せしめの意図もあってか、破壊された要塞部分はそのままにされていた。
 だが、戦争が終結して3年。復興を遂げたかつての統一帝国帝都は、“連邦共和国”首都として生まれ変わり……3年をかけて解体が進められたかつての超要塞の最後の区画が、この時に破壊されたのである。

 これらのニュースは、あらゆるメディア、あらゆる手段を用いて世界中に届けられた。カフカスの地に留まるアンナ・Oは、如何なる思いでそれを聞いたのだろうか。――少なくとも、まだ3歳になったばかりのセラピアに関わり無いニュース、と判断していなかっただろうことは確かである。
 なぜならば、これらはすべて、彼女の元に迫る“天使同盟”の足音であったのだから。

後編に続く


記:2005.12.24
GF誌10期3号の記事に基づき修正:2006.07.04
見出しを追加:2006.11.09


GF誌10期3号の記事により、まず間違いないと思われる。なお、彼女はヴィヴリオの命を受け、1995年から偽装したアペルギアとともに大陸に潜入していたとのこと。――とんでもないひとだ。

エンゼルギア研究所/管理人:相馬斉遠